〜 3/15(結果発表)〜


さて、大会2日目です。1日目に行なわれた、“皿盛り”、“アントルメ”の両部門で1位という、圧倒的な成績を収めたフランス。このリードを、なんとか覆したいと目論む各国ですが、果たしてどうなるのでしょうか?!

改めて説明しておくと、今大会で評価されるのは、味覚点〈皿盛(デザート)、アントルメ(ホールケーキ)、ボンボンショコラ、ガトー・ド・ボワイヤージュ(焼菓子)、プティガトー〉と、芸術点、作業点。つまり、作品の味はもちろんのこと、3人がどんなチームワークで作業を進めていくかということも含めて、総合的な結果が決まるというわけなのです。



【IPGP審査内容】
芸術点:アメ細工ピエスモンテ、チョコレートピエスモンテ、プレゼンテーション全体
味覚点:皿盛りデザート、アントルメ、ボンボンショコラ、ガトー・ド・ボワイヤージュ、プティガトー
作業点:衛生面、時間の厳守、効率性、技術度、チームワーク



大会2日目のメインイベントはなんといっても、アメ細工とチョコレートのピエスの制作。限られた制限時間の中で、芸術的センスやチームワークを発揮し、かつパティシエとしての高度な技術が必要となるこの作品は、今大会最大の見どころ!もちろん、お待ちかねの結果発表もありますから、会場の雰囲気もぐっと盛り上がっているようです。

熱い応援で選手を盛り上げるのは、フランスチームの応援団。インタビューを受けているのは、フランスチームのキャプテン アントワーヌ・サントス氏の奥様、愛さん


本日最初の審査は、“ガトー・ド・ボワイヤージュ”から。これは、いわゆる焼き菓子のことで、常温で1週間日持ちすることが条件。縦横、高さ20cm以内のサイズで、持ち運び可能な仕上げであることも考慮に入れ、じっくりと審査が行なわれます。

薄く、美しく。試食用のカットは慎重に

細部まで記録に残すため、審査員はデジカメで撮影しながら評価していきます


ガトー・ド・ボワイヤージュ部門で興味深いのは、それを包むパッケージも審査対象になるところ。単なる包装と侮るなかれ!シックなものあり、派手なものありと、各国のお国柄が見えてくるようです。

オーストラリアチームは、色も形も個性的。まるで飛び出す絵本のようなスタイルは、ちょっとしたサプライズになりそう!

アジアンテイストが美しい、シンガポールチームのパッケージ

鮮やかな深紅の型押しケースはイタリアチーム

日本チームは、春らしい桜をあしらったプレゼンテーション

鮮やかなイエローに、動きのあるリボン使いはさすがフランス


いよいよ、作業はプティガトーとアメとチョコレートのピエスを残すのみ。では、どんな作業が進んでいるのか、各国のブースをのぞいてみることにしましょう。




●U.S.A アメリカ


「オクシタニアル」の監修者としても有名な、M.O.Fパティシエ、ステファン・トレアン氏が率いるアメリカチーム。赤いタマゴ??いえいえ、赤いピストレをした上に、フランボワーズを並べた、プティガトーの土台部分を製作中です。ビビットな色使いは、さすがアメリカ!という感じですね。




●JAPAN 日本


帝国ホテルの秋城俊徳キャプテン率いる我らが日本チームをのぞいて見ると・・・。あっ、すでにチョコレートのピエスの土台が出来上がっている様子です。かなり大きなものが出来そうですね。メッセージの入った日の丸の下で、グラスデセールを仕込んでいるのは、チーム最年少の野田朋宏氏(アンテノール)。横顔から並々ならぬ気迫が感じられます!




●ITALY イタリア


細かくカットしたフルーツを散りばめた、ロマンティックな色彩のグラスを組み立てているのはイタリアチーム。その隣では、アメのピエスの製作中でしょうか?ガラスのように鮮やかなブルーのパーツを手に奮闘中です。97年クープ・デュ・モンドでイタリアを優勝に導いたイジニオ・マッサーリ監督率いるイタリアチーム。どんな作品ができるのか、楽しみです。




●SINGAPORE シンガポール


皿盛部門で見事1位に輝いたシンガポール(※フランスと同点1位)は、今回のダークホース的存在。気になるアメのピエスはどうやら水をテーマにしたもののよう。今回は、テーマの“エコロジー”にちなんでか、水や緑、曲線を使ったものが多いのが特徴です。




●CHINA 中国


翡翠のような深い緑を湛えたアメ細工は、いかにも中国といった雰囲気。透明感のある純白の花びらを重ねた大輪の花を、慎重に飾り付けていく様子には、見ている方も思わず息を止めてしまいそう!作業審査員は、97年度クープ・デュ・モンド香港チーム代表を務め、香港パン・製菓協会副会長でもある陳景祥氏。




●AUSTRALIA オーストラリア


中国と同じ緑色といっても、こちらはちょっとワイルドな雰囲気。土台のゴツゴツした黒い岩のような部分は、オーストラリアの大自然をイメージしたものでしょうか?動物や自然に恵まれた“エコロジー”と密接に関わる国だけに、ここからどんな作品に進化していくのかと、想像が膨らみます。




●FRANCE フランス


えっ、鉄骨?いえいえ、これはチョコレートで作ったピエスの土台です。優勝候補のフランスチームでチョコレートを担当するのは、2007年度ショコラティエ・コンフィズリ部門でM.O.Fを獲得したブルーノ・ルデルフ氏。エコなのに金属・・・、なんだかフランスチームのピエスには深い物語が隠されていそうですね。




●MALAYSIA マレーシア


なにやら不思議な花を仕上げているのはマレーシアチーム。もしかすると、マレー半島に生息するといわれ、世界最大の花としても知られるラフレシアでしょうか?鬱蒼とした密林を思わせるデザインは、さすがマレーシア。他にも、個性的な動植物が登場するかもしれませんね。




“ピッピッピッ、プー!”

という合図と共に、ついに制限時間が終了。いよいよ、これからピエスの審査に入ります。

試食できないピエスの採点では、芸術点がメイン。細部まで仔細にチェックしていきます


ところで、このピエス。どんな決まりがあるか、ご存知ですか?
まず、アメ細工ピエスは、砂糖とそれに準ずるもので作ることが条件。ゼラチンや食用色素、水などの使用は認められていますが、とにかく、非食品を骨組みや接着用に使用することは厳禁です。さらに、ピエスの中に、提出したアントルメと同じものを1台飾ることが決まりになっています。
また、チョコレートのピエスも同様で、チョコレートやそれに準ずる製品で作るのが決まり。こちらは、提出したものと同じガトー・ド・ボワイヤージュ1台と、チョコレートボンボン各5個ずつを組み込むことが条件です。ちなみに、ピエスは部品、モンテは組み立てるという意味。立派な芸術品でもあり、正真正銘お菓子でもあるというわけなのです。

え?本物!?と見紛うほどリアルな狼は、アメリカチームのチョコレートピエス。これだって、食べられるんですよ

名誉総裁である、常陸宮正仁親王殿下、妃殿下も作品をご覧になられていました

今大会の筆頭理事 比屋根毅氏(株式会社エーデルワイス 代表取締役)より挨拶

「オーボンヴュータン」の河田勝彦氏は、世界パティスリー2009の審査員長として登場しました




さて、いよいよ待ちにまった審査結果が発表されます!

2日間、13時間に及ぶ戦いに決着が。今のところ、優位に立つのはフランスチームですが・・・


と、その前に・・。各国のピエスをご覧いただきましょう。
デザインや作り込みはもちろんですが、今回のテーマ“エコロジー”にちなんで、動物や虫、魚、草花などのモチーフが随所に盛り込まれているのにも注目です。


●U.S.A アメリカ

かわいい表情のお魚が




●JAPAN 日本




●ITALY イタリア

ヒラヒラと舞う蝶々たち




●SINGAPORE シンガポール

大きなイカもモチーフに。かなりリアルです!




●CHINA 中国

今にも飛び跳ねそうなカエル




●AUSTRALIA オーストラリア




●FRANCE フランス

幸運を呼ぶテントウムシがあちこちに




●MALAYSIA マレーシア

これは、もしやタランチュラ?!




さすが世界大会だけあって、どの国も渾身の力作揃い!写真ではなかなかお分かりいただけないと思いますが、高さ150cm、幅60cm、奥行き40cm以内という規定サイズいっぱいに作られたピエスは、かなり迫力のあるもの。これが全てアメやチョコレートで出来ているなんて、本当にパティシエの技術には感動を覚えます!

さて、それでは、お待ちかねの結果発表です。
フランスチーム優位とはいえ、日本チームのピエスは、なかなかの迫力。逆転の可能性もありそうです。

結果を待つフランスチーム。果たして優勝は誰の手に・・?!


「3位、アメリカ!」

2日目の追い上げで、見事3位に。抱き合って喜ぶアメリカチーム


「・・・2位、フランス!」

「そして優勝は、日本です!!」

“わー!”
日本の逆転優勝に、会場からも大きな歓声が!

大きなトロフィーを掲げ、喜びに顔を輝かせる選手たち!本当におめでとうございました!



ちなみに、順位は下記の通り。かなりの接戦になったようです。







普段はなかなか見ることの出来ない、パティシエたちの技や想像力を存分に教えてくれたこの大会。
勝敗はともかく、国境を越えて固く握手を交わす選手たちを見て、こういった大会を通して世界の輪が広がっていくのは素晴らしいことだと改めて感じました。
選手の皆さん、2日間、本当にお疲れ様でした!

大会を支えたパティシエの皆さん、本当にお疲れ様でした!






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