〜 2日目(3/14)編 〜


2日目を迎えた土曜日、あいにくの雨空にも関わらず、会場は朝から熱気ムンムン!この日は延べ5000人ちかくのお客様が来場したそうです。ホール内なら、雨も寒さも関係なし。ホワイトデー当日ということもあり、来場客のカップル率が高かったのも納得。まさに、スイート スイーツ日和だったというわけです。

オープン前から、会場入り口前には長い列が…


開場するやいなや、フレデリック・ラロ氏の「ル・カルティエ・デュ・パン」のブースには早速行列が。その他のブースにもあっという間にひとだかりが出来ていました。初日を迎えた「世界パティスリー」の実況がスクリーンに映し出され、白熱した試合の様子を観戦しながらも、どこか気持ちはそぞろに・・・。さぁ、お目当てのスイーツを早くゲットしなくちゃ!!
場内を行き交う人の右手には試食品が、左手にはブースでお買い物した紙袋がしっかり握られ、視線の先は前方のステージへ…?!おや、たくさんの女性が集まっているようですが…。なるほど、そこでは、本イベントで“スイーツ大使”を務める、タレント石田純一さんのトークショーが行われていたのでした。




【スイーツ大使 石田純一さん スイーツトークショー】


たくさんの観客を前に、爽やかな笑顔を振りまく石田純一さん。実は、このトークショーの前に、「カルティエ・デュ・パン」のバゲットを試食したのだそう。

「意外と硬すぎず、軽い食感なんですね。人間も、重さもあってもいいけど、飽きられないように、軽さも必要ですよね」

まさか、ラロさんのパンからそんな感想が飛び出すとは!トークの間も、「今日は素敵な笑顔が並んでいますね」「みなさん、ときめいていますか?」と客席に優しく語りかけます。そして話題はやはり…“女性とスイーツ”の関係について。

「女性がスイーツを好むのは、脳が自然に欲するもの。男性には集中力があるのに対し、女性には分散力があると言われています。日本のスイーツを世界に発信していく為に、パティスリー界で女性の力を発揮してもらいたいと思っています」

スイート・スイーツ ジャパンの会場を見渡してもわかるように、確かにスイーツ好きの多くは女性。でも食べすぎると太るのが心配…というのも悩みのひとつなはず。いえいえ、スイーツには体に良い成分も。石田さんは、カカオに対する博識を披露しました。 「チョコレートも、適量ならばすごく体に良いそうですよ。ピロリ菌はカカオで飛ぶという説もあります。泊まりで仕事に行くと、ホテルの枕もとにチョコレートが置いてあることがありますが、僕は必ず食べて寝ますよ」

もうひとつ、世界パティスリーの記者会見で、“素足に靴”がトレードマークの石田さんが、日本代表の優勝を願掛けして、“靴下”を履くことを宣言したというのが話題になりましたが…?
「どんな色にしようか迷ったのですが、チョコレートの原料ということで、カカオ色をチョイスしました」
と、ロールアップしたジーンズの裾から、靴下をちらり。履くのは20年振りという靴下に「履き心地?いいですよ」と満面の笑みを浮かべていました。


さて、今日はホワイトデーということで、トークショーに参加した観客に、握手とチョコレートのプレゼントが。思わぬサプライズに、歓声と拍手があがりました。チョコレートは、辻口博啓シェフのオリジナルのボンボン・ショコラ。
ずらりと並んだ行列には女性だけではなく、カップルや男性の姿も。ひとりひとりの目を見て会話を交わし、女性にはすかさず「素敵なお洋服ですね」との気遣いも。男性にも、チョコレートを手渡しながら「彼女にあげてね」と言葉を添え、カップルには「たまには喧嘩してもいいんだよ」とアドバイス。1時間近くかけて150名の観客一人一人と丁寧に対応する姿に、一層ファンになった方も多かったことでしょう。





【アンジェロ・グラッソ氏の軌跡と新しいアイスクリームの製法】


さて、続いてはアイスクリームや製菓製パン機械メーカー「株式会社エヌワイビー」による、イタリアのジェラート職人アンジェロ・グラッソ氏のセミナーが開催されました。
グラッソさんは、イタリア国内外でジェラート職人のトレーニングや教育を行い、良質なジェラートの普及に尽力しています。ここスイート・スイーツ ジャパンの会場でも、スライドを駆使しながら手作りジェラートの栄養性と魅力、そして製法を紹介。

ジェラート職人 アンジェロ・グラッソ氏


「世界には国によって様々な食習慣があり、ジェラートもそれぞれ。文化に合わせた良質なジェラートのレシピを提供する必要があります。暖かい地域ならば、ライトで甘いジェラート。寒い地域ならばどっしりと油分の多いクリーミーなジェラートが好まれます」

また、ジェラートに含まれる糖分や脂肪分は、味わいのためだけでなく、ジェラートを作る際になくてはならない重要な存在なのだそうです。

「ジェラートを作る際、マシンの温度計は−15℃に達しますが、決して氷の塊にならないのは、糖分や脂肪のおかげ。糖分が多く含まれるほど、凍った水分の結晶が小さくなり、凍りにくくなります。そして、脂肪分によって固さが調節され、クリーミーな舌触りにする効果があります。ホエーのような無脂乳脂肪には、つなぎの役割があって、ジェラートのミックスを安定させたり、空気を含みやすくする効果があります。空気をたくさん含んだジェラートは結晶の間に隙間ができて、冷たさを感じさせません」

作りたいジェラートの「冷たさ」、「食感」、「コク」を生み出すために、糖分と脂肪のバランスが重要であることがわかりやすく解説されていました。スライドは、グラッソさん自らが描いたというイラストで表現され、楽しいアニメ仕立てに。これらを小学校に持っていき、ジェラートの授業を行っているそうです。これは楽しそう!!

アニメ仕立てで、楽しく学ぼう


世界のどこでも、安定したおいしいジェラートを作るために、グラッソさんがおすすめするのが、イタリアのジェラートマシーン「trittico(トリティコ)」。なんと、世界パティスリーでも公式に使用されているのだそうです。

ジェラートマシーン「トリティコ」


特徴のひとつは、2つのタンクによる温度コントロール。上部の加熱タンクでチョコレートをテンパリングしたり、カスタードを炊きながら、下部の冷却タンクでジェラートを作るという構造になっています。もちろん、上部で作ったチョコレートやカスタードを機械内のコンベアで直接ミックスに流し込んでジェラートにすることが可能。このマシンで作った出来立てのジェラートが食べてみたい!!試食がないのがちょっぴり残念でした…。

「何でも、自分がやることを愛するのが大切。私は人生の3分の2は仕事に捧げています。私の仕事は、世界の人々に良質のジェラートを普及することですが、中にはありあわせの材料で適当に作ろうとする人もいる。でも、私はそういうやり方は断じてしたくない。何かをするならば最善を尽くすべき。それは自分が好きだから、やりたいからそうしているのです」

ジェラートを自らの人生の仕事として、誇りと情熱を持つグラッソさん。ひんやりと冷たいジェラートの陰には、グラッソさんはじめ、たくさんの職人達の熱い想いと努力が秘められていたのですね!





【ケーキハウス ツマガリ 津曲孝シェフによるウェディングケーキデモンストレーション】


夕方より開催されたイベントには、神戸・甲陽園の人気洋菓子店「ケーキハウス ツマガリ」が登場。シェフパティシエの津曲孝氏はじめ、総勢6名のスタッフがこのイベントの為にプリズムホールに集まりました。
今回行われるのは、なんとウェディングケーキのデモンストレーション。通常は4〜5時間かけて行われる仕上げ作業を、なんと1時間で完成させるというから驚きです。失敗はご法度の一発勝負!シェフもスタッフも気合十分です。まずは、土台となるスポンジにナッペをする作業から。

「スポンジには、バタークリームとプラリネで6段のサンドを。ナッペにもサンドにも使用しているバタークリームは、生クリームから作った出来立てのもの。フレッシュな味わいを楽しんでいただくため、店でもバタークリームを冷凍することはありません。口どけの良い食感を守るためにスポンジには素早くナッペをしなければなりません。このような大きな面積でも、パレットの腹の部分を使って均一に塗るには熟練の職人技が必要です」


黙々とパレットを動かす津曲シェフの横で解説を行うのは、ご長男の泰弘氏。たしかに、目元が良く似ています、現在ツマガリのパティシエとして、父であり師である津曲シェフの元で修業生活中とのこと。

「息子は小さい頃から厨房に立たせていました。あまりに厳しく指導するものだから、小学生の時、私に向かって「退職願」を出したんですよ。誰に教えてもらったのか…(笑)」

トークを交えながらも、手元は素早く動き、他のスタッフも一瞬の隙も無いほどの迅速さで作業を進めます。ナッペを終えたスポンジ台には、マジパンペーストで作ったバラと、ホワイトチョコレートで作ったハートでデコレーション。アーチと柱を組んで、ケーキを3段、4段…と積み重ねていきます。アーチの間には、バラとカサブランカをイメージした美しいアメ細工が組み込まれ、客席からは感嘆のどよめきが。しかし、柔らかなケーキをまっすぐに積み上げるのは至難の業。シェフ曰く“一分でも作業が遅れるとイライラしてしまうA型”。「遠くから見ろ!」「もっと左へ!」と檄が飛ぶ中、ケーキは職人の身長をはるかに超える高さに。脚立を使って、さらに一番上の段のケーキを積み重ねます。


世界パティスリーの開催を記念して、側面にはマジパンで作った8カ国の国旗を並べます。そして、トップには、優勝トロフィーを掲げる職人の雄姿。これも、スタッフの手によって作られた“パスティヤージュ”という製法によるもの。もちろん、すべて食べることができます。そして周囲に、ウェストサイドストーリーを彷彿させるような“踊るパティシエ”達の人形が並べられました。まさに技の粋が一挙に集まった、世界にひとつだけのウェディングケーキの完成です!


その高さ、2m50p。バタークリームは60s使用、ケーキ全体では100sの重さに達しました。舞台が柔らかいせいか、振動でケーキが細かく揺れています。司会者も、シェフも、忍び足で移動しなくてはなりません。いつも、完成形でしか見たことのなかったウェディングケーキ。制作風景をライブで見られるなんて、とても貴重な体験です。
でも、ケーキは食べるために作るもの。これをすぐに解体するなんてもったいない!そこで津曲シェフから提案が。
「この中に、結婚する予定のカップルはいませんか?ぜひケーキカットをしてもらいましょう!」
客席の中から、一組のカップルが手を挙げました。なんと、5月に挙式予定とのこと。ステージにあがり、感動のケーキカット。会場は拍手とカメラのフラッシュに包まれ、さながら本物の結婚式のようでした。


この後、ツマガリのスタッフによるダンスパフォーマンスもあり、盛りだくさんの内容。ケーキは解体、カットされ、150名の観客ひとりひとりに配布されました。卵の香りがふわりと香る、しっとりとしたスポンジに、まろやかなバタークリームがサンドされたツマガリのウェディングケーキは、どこか懐かしく、ツマガリの温かい雰囲気がそのまま表れているようでした。
ケーキを作る楽しさと厳しさ、造形の美しさとおいしさを支えるたくさんの努力。スイーツの様々な魅力が観客の誰にも伝わったイベントでした。


この後、大会のテーマソングを歌うKanonさんのミニライブなども催され、夜の20:00まで盛り上がった、この日のスイート・スイーツ ジャパン。翌日は、世界パティスリーと共にいよいよ最終日を迎えます!






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