2011年9月13日、ラ・メゾン・デュ・ショコラの新作発表会が開催されました。
場所は東京・原宿にある「Restaurant-I(レストラン アイ)」。
当日は、2011年クリスマス限定コレクションと2012年バレンタイン限定コレクションの紹介のほか、この発表会のために来日したクリエイティブ・ディレクターのジル・マルシャル氏によるショコラショーの実演や、レストラン アイの松嶋啓介シェフ監修によるショコラを使った料理とのコラボレーションが楽しめるとのこと。どんなお披露目会になるか、わくわくしながら出かけてきました。


クリエイティブ・ディレクターのジル・マルシャル氏


会が始まり、ジル・マルシャル氏の挨拶の後、今年のクリスマス限定コレクションが紹介されました。
テーマは「パリのクリスマス」。
それは、フランス人がいつも口にする art de vivreへのオマージュだそうです。

クリスマスに欠かせないパリジャンたちが愛してやまない食材が、ボンボンショコラのクリスマスボックスの中に閉じ込められています。ディスプレイには、シナモンやいちじく、ドライフルーツやナッツが使われ、華やかな中にも、どこかノスタルジックな雰囲気に。
クリスマス限定ボックス
マジー・ドゥ・パリ

1.
イチジク入りミルクガナッシュ
プロヴァンスのトレーズ・デセール(プロヴァンスでクリスマスに食べられる、キリストと12人の弟子を表わす13種類のデザート)にも必ず含まれるいちじくを使った品。ミルクガナッシュの中に、いちじくのプチプチした食感を表現しています。
2.
シェフが最近訪れた、豊かな食材に恵まれたブルターニュ地方のキャラメルブールサレを使ったミルクガナッシュ
3.
グラナダ諸島原産のピュアなカカオを使ったプレーンなダークガナッシュ
4.
ドライフルーツ入りプラリネ
イチジク、アプリコット、ヴォージュ山脈の森の蜂蜜でポワレしたアーモンド、ヘーゼルナッツ、胡桃のプラリネ入りのショコラ。
シェフの子供時代の思い出の中の味。大好きで、これからもずっと食べ続けるであろうお菓子のイメージで作られた品。
5.
シャンパン風味のミルクガナッシュ
クリスマスには欠かせない飲み物であるシャンパーニュで仕立てたガナッシュ。
シャンパーニュには酸味があり、ワインの一種なので、収斂性を持ちます。ショコラの苦みとのバランスを取るため、試作を繰り返し、果肉の部分を加えることで、バランスを取り、このショコラが完成したそうです。
6.
マロングラッセ
シェフは、「マロンクリスタル」と呼んでいます。
外にコーティングしてある砂糖がクリスタル状で、甘さ控えめなのが信条。

そして、昨年好評だったショコラのアドベントカレンダーに加え、今年は、ユニークな、大きなマンディアンが発売されます。


ブール・マンディアン

フランスのクリスマスシーズンには、大きなショコラのピエスを作ることから発想した品。
楕円形のダークチョコレートの中に、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピーカンナッツ、ピスタチオといったナッツを芸術的に配置したマンディアンのクリスマスオーナメント。
楽しみや美味しいものは、皆で分かち合うもの。皆で、美味しさを分け合って、楽しんでもらえるように、大きなサイズのマンディアンを作ったのだそうです。

また、今年のクリスマスのビュッシュ・ド・ノエルでは、ショコラ、マロンに加えて、ブルボンバニラを紹介したいとのことでした。

続いて、2012年バレンタイン限定コレクションの紹介がありました。

ブックスタイルのバレンタイン限定コレクション。表紙の扉を開いて、あなただけの物語を詰め込んで、大事な人に届けて


今回のバレンタインボックスの形は、開けるブックスタイル。
愛というものは一つの物語であるということからインスピレーションを得て作られたそうです。
この他、定番のハート型のボックスも用意されています。

さて、気になるバレンタイン限定のボンボンショコラは

1.「ボーテ」(元気づける)
カカオの中でも、最も力強い味わいとされる、トリニダード産のカカオ豆のみを使ったプレーンなダークガナッシュ
3年前に、シェフが現地に足を運び、このカカオ豆を使うことを決められたそうです。 シンプルなガナッシュだからこそ、おいしさが際立つ品。

2.「エキゾティズム」(魅惑する)
カンボジア産のブラック・ペッパーをほんのり効かせた、パッションフルーツ風味のダークガナッシュ
ビターなショコラとパッションフルーツの酸味、そして、ほのかに香らせた、こだわりのカンボジア産ブラック・ペッパーの香りが、後から追いかけてきます。

3.「エレガンス」(陶酔する)
マダガスカル産のブルボンバニラで香りづけしたダークガナッシュ
バニラ風味のマカロンを細かく砕いたものを、ショコラの上に乗せています。
口の中で、バニラの香りがふわっと広がるガナッシュ。マカロンの食感も楽しい。

4.「フォリ」(誘惑する)
香ばしくローストしたヘーゼルナッツのミルクプラリネ。ほんのりとした塩のアクセントと共に
ハート型のショコラ。香ばしいプラリネに、塩の効かせ具合が絶妙です。

どれもいずれ劣らぬ逸品。これら4種類のショコラが詰め合わされたバレンタイン限定コレクション「ルセット・ダムール」は、4粒入りから販売されるそうです。

そして、今回は、「Experience Chocolat」と銘打って、会場となったレストラン アイの松嶋啓介シェフとジル・マルシャル氏とのコラボレーションによる、ショコラを使ったコースが用意されていました。

5品のお料理すべてにショコラを使用するという斬新な試み。
松嶋シェフにとっても、初めての経験だったそうです。
そして、レストラン アイのテーマである、江戸食材も、随所に使われています。
この大役を一任されたレストラン アイの静井弘貴シェフから、お料理の説明があり ました。
さて、どんなふうに、お料理にショコラが使われたのでしょうか。


フォワグラとカカオのボンボン、
東京七味唐辛子・オレンジ・エピスのアクセント

フォワグラをテリーヌに仕立ててから丸め、その周りにスパイス風味のケーキ(パンデピス)のクラムをはりつけ、東京らしさを出すために七味唐辛子を加え、さらに、オレンジの皮のコンフィを細かくカットしたものをはりつけた品。 濃厚なフォワグラのテリーヌとショコラが好相性で、スパイスや柑橘の香りが味わいに奥行きを与えています。


シャンピニオンのヴルーテ、カカオの香り、
東京原木椎茸、栗のテュイル添え

秋をイメージして、マッシュルームをヴルーテにし、原木椎茸とマッシュルームのソテーを入れ、カカオを散らして。付け合わせとして、同じく秋のイメージで、栗を使用。栗の粉で作り、ナッツを散らしたテュイルに、栗のピュレを挟んでいます。
美味しいきのこのヴルーテ、秋の素材を駆使した一皿。


白レバーのムースとショコラのマカロン、
黒胡椒のチュイル添え

ショコラの甘さと苦みに、白レバーのムースのねっとりとした食感と塩気のハーモニー。
黒胡椒の清涼感がよいアクセントに。見ても楽しめる美しいマカロン。


手長海老のトルテリーニ、カカオバルサミコ、
ソースフロマージュ

贅沢な手長海老のトルテリーニ。
生クリームベースの4種のチーズのソースに浮かべて。
チョコレート風味のバルサミコソースがアクセント。


穴子の天ぷら カカオサレをまぶして

穴子の天ぷらの上に、ココアパウダーと塩を混ぜたものをかけて。カカオ風味のヴィネグレット(細かく刻んだコリアンダー入り)につけて食べる演出が楽しい。


デセール

デセールは、ショコラノワール、キャラメリゼしたヘーゼルナッツ、ブルボンバニラのクリーム、フレッシュのパッションを合わせたヴェリーヌ。
酸味の効いたパッションとショコラを、甘い香りのバニラがつなぎます。

その間に、会場では、ジル・マルシャル氏によるデモンストレーションが披露されました。



まず、作られたのは、ショコラショー。

ガナッシュを作る要領で、温めた生クリームとミルクをショコラに注いで、丁寧に混ぜて作ります。今回は、アクセントに胡椒を加え、鍋に戻して温めたら、できあがり。

次に、バニラ風味のヘーゼルナッツのキャラメリゼのデモンストレーションが。

バニラビーンズを加えた、贅沢なシロップ「シロ・オ・シュークル・バニーユ」を作って加熱し、濃度がついたら、ローストしたヘーゼルナッツを加え、シロップを絡めて結晶化させ、さらに加熱して、キャラメリゼします。キャラメルの香りが立ちのぼり、ほどよくキャラメリゼされたら、オーブンシートに取り出します。




広いガラス窓から緑が映える、明るいスペースでのプレスパーティ。甘い香りにつつまれた魅惑の時間もそろそろ終わりに近づいてきたようです。 逸品ショコラが登場する今年のクリスマス、そして2012年のバレンタインを待ち遠しく思いながら、レストラン アイを後にしました。
(2011.11) 




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