「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」のクリエイティブ・ディレクターが交代!? そんなニュースが飛び込んできたのは今年春のこと。
創始者であるロベール・ランクス氏の後を継いだのは、パスカル・ルガック氏、そしてジル・マルシャル氏でしたが、さて、そのあとは一体誰が? どんな実力派の登場なのか、興味津々で待ち望んだ、今回のプレス発表会。9月19日〜9月20日、青山通りにある「ラ・メゾン・デュ・ショコラ青山店」で行われた、2012年クリスマスと2013年バレンタインコレクションの紹介は、実質上、新ディレクターの味の紹介でもあったのです。



 新しいシェフ・パティシエ・ショコラティエに就任したのは、ロベール・ランクス氏の右腕として、16年間もの間、「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」で働き続けてきた、ニコラ・クロワゾー氏でした。
 1974年生まれ、ブルターニュ出身。M.O.F.の保持者でもあり、特に、チョコレートでオブジェを作らせたら右に出る者はいないという腕前で、ランクス氏からも長年尊敬を受けていたとのことです。
そのニコラ氏、残念ながら今回は来日しませんでしたが、彼が作成し、フランスから運んできたというチョコレートツリーのオブジェが会場に。緻密な作業をほどこされたそのツリーからも、腕前は充分に伝わってきました。

ラ・メゾン・デュ・ショコラらしい華やかで洗練されたディスプレイが、これから来るショコラシーズンを心躍るものにしてくれます


 当日会場では、日本語も堪能なジャパン・ディレクターのフレデリック・ジェダ氏が、ニコラ氏の話をしてくれました。
ワインやレストラン、他店のショコラにも精通していたジル氏とは対照的に、ニコラ氏は「知らないうちに影響されるのがいやだから」と、他のショコラティエを訪れることはしないそう。外に出回る社交的な性格というより、地味な職人気質。普段はおとなしいのに、ショコラを語らせると細かいことに話が及んで、止まらない。その性格を聞いていると、どこか日本人に通じるものがあるような気も……。
「その通り。日本語を話したら日本人になれそうな性格かもしれません(笑)。でも、実はニコラはまだ一度も日本に来たことがないんです。今度のバレンタインあたりの来日を予定していますが、いろいろなことに驚いて、いい刺激を受けそうですね」

 さて、会場に並んだニコラ氏がクリエイトしたショコラを口にしてみると。
どのショコラも、最初に広がるのはカカオの味。そして加えたテイスト――たとえばタイ生姜だったり、ジャマイカ産のペッパーだったり――がその中から花開くように優しく広がって、最後はまたカカオの香りが口に漂って、長い余韻を残して終わります。
「ニコラは、世界の面白い素材をいろいろ勉強しています。それらのナチュラルな味を、余計なものを加えず、そのまま表現したいと強く思っているようです。ユニークな組み合わせをしますが、大切にしているのは、もちろん、メゾンの味。一つのレシピの完成までに半年以上を費やしています。今までよりも、より原点に戻った味と言えるかもしれません」
 どのショコラも切れがよく、ついついいくつもつまんでしまいます。いくつ食べても飽きることがないのは、さすがは「ラ・メゾン・デュ・ショコラ」の味作り。

 今年のクリスマスのテーマは、エトワール。星でした。お祝いには欠かせない、シャンパーニュを入れたボンボンは、ブラン・ド・ブランという白ブドウからのみ作られる繊細なシャンパーニュを贅沢に使用しています。他に、パン・デピスを彷彿させるクリスマススパイス(シナモン、ジンジャー、クローブ、ナッツメグ)を閉じ込めたものや、ココナッツ風味のホワイトチョコレートとライムの風味のダークチョコレートを組み合わせたもの、クルミとはちみつを用いたアーモンドペースト入りのミルクチョコレートなど、魅力的なものばかり!


エトワール・ドゥ・ノエル


ノア・アシデュレ
ドミニカ共和国産カカオを使用したまろやかなダークガナッシュ
ノアール・エピセ
パン・デピスを彷彿させるクリスマス・スパイスのダークプラリネ
ノアール・ペティヨン
シャルドネのみで作られたシャンパーニュ、ブラン・ド・ブランを使用したガナッシュ
ノア・ラクテ
ペリゴール産のクルミとモルヴァン産のハチミツを用いたアーモンドペースト入りのミルクチョコレート
ノアール・フリュイテ
ココナッツ風味のホワイトチョコレートとライム風味のダークチョコレートのマリアージュ
マロングラッセ
イタリア・トリノ産の栗を使用し、グラッサージュでお化粧したマロングラッセ


 星をあしらった箱に詰め合わされたものを見れば、なんだかクリスマスが、もうそこまで来たような、うきうきした気分になります。
 製作に4日をかけたという高さ90センチのチョコレートのツリー「アーブル・セレスト」は、残念ながら今回は日本での販売はありませんが、丸の内店に展示予定とのこと。バレンシア産アーモンド170粒、シチリア産ピスタチオ140粒、ピーカンナッツ25粒をあしらい、大きさの異なる5種類の星を合計36個はめ込んだこのツリー、みなさんぜひ見て、クリスマス気分を盛り上げてください。

これまでニコラ氏が手がけたオートクチュールの中でも、最も大きなもののひとつ「アーブル・セレスト」。ミルクチョコレートとダークチョコレート、金箔に包まれた小さな星、そして赤いリボンが色のハーモニーを奏で、ツリーを輝かせます

その他にも「マンディアン・エトワール」や「ショコラ・カレンダー」が、今年のノエルを彩ります。カレンダーは12月1日から24日のイブまで、毎日ひとつずつ扉を開け、クリスマスまで美味しいカウントダウンを楽しみましょう!




 そして、2013年バレンタインコレクションのテーマは、「エキゾチックなランデブー」。
ペッパーとバニラ、ライチとフランボワーズ、タイ生姜とレモンピール、ペルー産とエクアドル産のカカオのといった、2つの素材を組み合わせた面白さとおいしさをエキゾチックに表現。外からはわからない、これらの情熱的な味を秘めたボンボン・ドゥ・ショコラが、赤い箱に詰められています。

デュオ・ダムール


ポワーヴル・ヴァニエ −揺らぐ心
ジャマイカ産ペッパーを利かせたアーモンド&ヘーゼルナッツのプラリネと、マダガスカル産ブルボンバニラで香り付けしたダークガナッシュの2つの香辛料が絶妙なコントラストを生み出します
ライチ・アシデュレ −愛情
ライチとフランボワーズ風味のダークチョコレートを、やさしい甘さのミルクチョコレートでコーティング。ライチの甘みとフランボワーズの甘酸っぱさが、エキゾチックな味わいを
ガランガ・シトロネ −弾けるような情熱
見た目も麗しいハート型のショコラは、タイ生姜ともいえるガランガとレモンピールで風味付けし たアーモンドのプラリネ。ガランガのフルーティなノートとレモンの力強さで弾けるような情熱が沸きそう
ペルー・エクアトゥール −ハーモニー
ペルー産とエクアドル産の2種類のピュアなカカオを用いたプレーンなダークガナッシュ。赤い実のフルーツのようなノートのペルー産カカオと、フローラルなノートのエクアドル産のカカオの 繊細なハーモニーが楽しめます
キャラメル・ポワゼ −ランデヴー
アンティル諸島の熱帯気候地帯に自生し、媚薬として用いられる樹木、ベイシダーをほんのり香らせたキャラメル風味のダークガナッシュ。ウッディなノートとやさしい甘さ、スパイシーさが運命の出会いを感じさせます



 バレンタインの頃はニコラ氏も来日予定とのこと。日本にどんな感想を抱くでしょうか。バレンタインデーにチョコレートを求める人の多さに驚くかしら? 和食の感想は? ショコラの味作りについてはもちろん、日本の印象など、ご本人に直接お話しを聞いてみたいと今から楽しみにしているパナデリアです。



ラ・メゾン・デュ・ショコラ 店舗情報

丸の内店東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1階  03-3201-6006
青山店東京都港区北青山3-10-8  03-3499-2168
松屋銀座店東京都中央区銀座3-6-1 松屋銀座1階  03-3562-7707
梅田阪急店大阪府大阪市北区角田町8-7 阪急うめだ本店地下1階 06-6361-1381(百貨店代表)

 ※梅田阪急店は2012年10月25日(木)オープン予定






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