世界最高のパティシエと称賛されるピエール・エルメ氏が、パリを飛び出して世界第一号店をオープンさせたのは1998年9月1日のこと。ホテルニューオータニ内に作ったブティックがまさにその店で、今年、15周年を迎えます。

バラの香りのイスパハンを初めて食べた時の衝撃的な味。シンプルで大胆なミルフィーユ。瓶の中で2層になったコンフィチュールというのもありました。そしてなんといっても様々な味のマカロンの個性的なおいしさ! 鮮烈な味とビジュアルの記憶は、振り返るといくらでも蘇ってきます。





会場までの通路には、過去のエルメ氏のコレクションが並びます


15周年という節目となる今年も、進化し続けるエルメ氏の気合の入った新作がたくさん登場予定です。お披露目されたスイーツたちを、早速ご紹介します。

まずはマカロンから。ピエール・エルメの「ジャルダンの庭」と称したマカロンコレクションは、4月から11月まで、毎月1作品ずつが販売になります。

4月 「ジャルダン ジャポネ=日本の庭」
イメージするものは桜。
「桜そのもの味を表現したのではなく、桜によってイメージされる味を表現したんだ」とエルメ氏。グリオットチェリー、レモン、トンカ豆を使っています。グリオットチェリーの甘さにレモンの酸味を加え、甘酸っぱくも爽やかに昇華させた味わいに、トンカ豆がほろ苦くスパイシーなコクをあたえています。

4月
ジャルダン ジャポネ
=日本の庭


5月 「ジャルダン ダンブル=琥珀の庭」
香水のアンバー(琥珀)を思い起こさせる味わいを表現するのには、バラのクリームとカラメル入りのクリームの2種類を組み合わせました。ローズキャラメルともいえそうな、濃厚な香ばしさ、そしてフローラルの余韻があります。

5月
ジャルダン ダンブル
=琥珀の庭


6月 「ジャルダン ポタジエ=野菜の庭」
りんごとミント、そしてキュウリにルッコラを使うという、この月のマカロン。多くの人が興味をかきたてられた組み合わせです。そして、試食に登場しなかったのが、またみんなの心をかきたてました(笑) 一体どんな味かしら……、6月のお楽しみです。

7月 「ジャルダン フリュイテ=フルーツの庭」
野菜の翌月はフルーツ。ライムとフリュイルージュの組み合わせは、エルメ氏らしい、インパクトのある鮮烈な味わいでした。赤いフルーツの取り合わせに、ライムの皮を加え、刺激的な酸味が心地いい。口の中に太陽いっぱいの夏がやってきた感じ!

8月 「ジャルダン アンダル=アンダルシアの庭」
マンダリン風味オリーブオイルとフリュイルージュという熱い組み合わせは、マンダリンオレンジと赤いフルーツたちが、アンダルシアのフラメンコのように情熱的な恋愛結婚を遂げたらこんな味! というイメージだそう。オリーブオイルクリームの中ではじけるオレンジが、赤いフルーツの強い味と見事に調和し、さすがエルメ氏と思わせる味わいでした。

8月
ジャルダン アンダル
=アンダルシアの庭


9月 「ジャルダン メルヴェイユ=驚異の庭」
マンダリン風味オリーブオイルとキュウリウォーターの組み合わせ。さてどんな味なのか……こちらも試食はありませんでしたが、8月と同じオリーブオイルクリームも、今度はきっと、全く違う表情を見せるのでしょう。

10月 「ジャルダン マラン=海の庭」
抹茶とジロール茸とレモン。この素材が「海の庭」となるの?? 香水レパートリーから拝借した「大海のヨードの香り」に啓示を受け、そこに茸のジロール、レモン、抹茶を混合して自分流のフレーバーを作り上げたそう。こちらも10月になってからのお楽しみです。

11月 「ジャルダン パンプルムース=柑橘類の庭」
グレープフルーツ、クローブ、グレープフルーツのコンフィを使って作るそうです。モーリシャスのパンプルムース(フランス語でグレープフルーツの意味)県にある立派な植物園から着想したそう。クローブとナッツメグで引き立つグレープフルーツの味は、11月までおあずけ!



マカロンの次は、ボンボンショコラをご紹介します。
今回発表されたのは2種類でした。
雲という意味の「ニュアージュ」は、スモークソルトを使った燻製香が特徴です。キュルキュマが入り、エキゾチックな香りも。これらの香りがすっと立ち上っていく感じが雲なのかしら? 余韻も素晴らしい。
もうひとつは、「アンパ」。マダガスカル、ミヨ農園の単一のカカオ“アンパマキア”を使っています。力強い中に少し酸味があり、余韻が長い。キャラメリゼしたパッション、パインの味がそのあとを追います。

新作のボンボンショコラは2種類。平らで四角い方が「アンパ」。長方形が「ニュアージュ」


このほかにも、とてもミルキーなローズのマカロンと、黄桃のようなフルーティーさのあるジャスミンのマカロンなどもブティックに新登場予定です。
ホテル内の「ガーデンラウンジ」や「SATSUKI」ではパフェなども食べられ、「ビュー&ダイニング THE Sky」の夏のビッフェのデザートにもプティガトーやパウンドなどエルメ氏の作品が登場するというから見逃せません。

ミルキーな味わいの「アンフィニマンローズ」 ジャスミンのマカロン「ヤサミン」


さらに、ホテル ニューオータニの開業50周年を記念した新作ウエディングデザートも、この日発表されました。レモン尽くしの甘酸っぱいおいしさは、飛び切り! 日本で唯一、エルメ氏のウエディングデザートを楽しめるホテルニューオータニ。結婚をひかえている方は、こちらでのウエディングセレモニーを検討してみては? ゲストもきっと大喜びですよね。

デセール ドゥ マリアージュ アンフィニマン シトロン



さて、最後に、会場にいたエルメ氏に、15年を迎える今年についてお話を伺うことができました。
「節目の年、日本で頑張るのはもちろんのこと、今年は香港で2店舗の展開を予定しています。パリそのものをお贈りするのは、日本も香港も同じ。ただ、香港はギフトのマーケットが大きく、もらったプレゼントを飾る習慣があると聞きました。ラッピングにはひと工夫し、気を使う予定でいます」

香港での展開とは! エルメ氏の味は着実に世界に広がっていきますね。20周年を迎える頃にはどうなっているのか、想像すると今から楽しみですが、それはさておき、まずは4月からのマカロンの新作登場をお楽しみに! 毎月一作品だけの登場なので、食べ逃さないようにくれぐれもご注意ください。



ホテルニューオータニ
住所:東京都千代田区紀尾井町4-1
URL:http://www.newotani.co.jp/tokyo/




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