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日本での開催が13回目を迎えた、パリ発のショコラの祭典「サロン・デュ・ショコラ」。昨年までは、伊勢丹新宿店の催事場で開催されていましたが、今年は会場が新宿NSビルに変更になりました。ぐっと広くなり、17カ国約100ブランドのショコラが大集合です。
今回のテーマは「ショコラ、パトリモワンヌ ユニヴェルセル 〜 未来へのオマージュ〜」。
古代マヤ文明を起源に神様からの贈り物として誕生したショコラは、今では世界中の人々に喜びや幸福をもたらしています。そんなショコラを「パトリモワンヌ ユニヴェルセル」、つまり世界共有遺産として、未来につなげていきたい。そんな思いが込められています。
開催前日の朝にプレスプレビューが行われたので、その様子をご紹介したいと思います。

セレモニーのスタートは、チョコレート色の車から! この日(1月20日)に発売という、ルノーのルーテシア「ガナッシュ」に乗って、開催者のフランソワ・ジャンテ氏、シルヴィー・ドゥース氏、そしてショコラアンバサダーをつとめる川原亜矢子さんがグリーンのドレスで登場しました。迎えたのは、株式会社 三越伊勢丹 代表取締役社長執行役員の大西洋社長。赤いカーペットを歩いて、全員が壇上に並びました。

川原亜矢子さんのグリーンのドレスが、ショコラ色の車に映えて美しい

その後、プレスプレビューの日だけ会場内に飾られたルノーのルーテシア「ガナッシュ」


最初の挨拶は、サロン・デュ・ショコラの主催者である、フランソワ・ジャンテ氏とシルヴィー・ドゥース氏から。
「新しい会場が素晴らしいことに、歓びと飛躍を感じます。今年のテーマは、“世界共有遺産”ですが、ショコラは普遍的な芸術。ショコラティエは芸術家です」
といったお話がありました。

フランソワ・ジャンテ氏とシルヴィー・ドゥース氏

三越伊勢丹 代表取締役社長執行役員 大西洋社長


次にマイクを握ったのは、秋にパリで開催された、第20回サロン・デュ・ショコラに行ってきたという大西社長。
「20回という節目となるパリのサロン・デュ・ショコラに行き、生産地や生産者についての理解を深めることもできた。パリに学びつつ、日本人の感性や価値観を加えて、これから新しいサロン・デュ・ショコラを作っていきたい」
そして最後に、川原亜矢子さんからのお話が。そもそも川原さんとショコラの出会いはなんだったのでしょう。
「モデルの仕事をしていた1990年から1997年まで、パリに住んでいました。英語もフランス語もわからないときに、1粒のショコラを買って食べ、優しく暖かい気持ちになったことをよく覚えています。以来、ショコラはわたしのエネルギー源。勇気を与えてくれる食べ物です」
一番好きなブランドもあるのだとか。
「会場にはたくさんのブランドとショコラティエが来ていて、どこも美味しく、一番を決めるのは難しいところなのですが、でもやっぱり、わたしにとってパリで最初に食べたショコラ“ジャン=ポール・エヴァン”は特別な存在。だから一番好きなのはと聞かれたら、迷わずここを挙げますね(笑)」
さらに川原さんからはこんなお話も。
「ホテルのベッドサイドにショコラがあると、朝、必ず食べます。血糖値が上がって元気が出てきますよね。実は、家でも朝にショコラを食べることは日常。ほぼ毎日、ショコラで起きていると言っても過言ではないほど!」
ショコラで始まる一日……。素敵すぎます! そして、
「新たにまたこの会場で、とっておきの一粒に出会えたらいいなと思っています」
と、締めくくってくれました。

ショコラアンバサダーを務める川原亜矢子さん


その後会場では、ショコラドレスのファッションショーが行われました。
本物のショコラがあしらわれた服を着たモデルたちが赤い絨毯の上から壇上を美しく歩きます。


服につけるショコラは、代々木上原のパティスリー「アステリスク」の和泉光一さんと「ダロワイヨジャポン」のシェフパティシエである中野賢太さん、そして「レコールバンタン」の鍋田幸宏シェフの生徒さんたちが担当。彼らからは、「Yavuu」デザイナー、B.Yavuutsagaan.さんの服のエレガントで美しい服のラインを大切にしながら、熱にも弱いショコラを手で縫いつけた大変さや、パーツを薄くした苦労などが語られました。
ショーの直前まで微調整が行われていたようで、なるほど、舞台裏のほうから時折いい香りが漂ってきたのはそのせいだったのかと納得! 「東京ポップファンタジー」というテーマがあり、ショコラだけではなく、ポップさを飴やマカロンでも表現したそうです。

和泉光一シェフとデザイナーの播本鈴二さん

中野賢太シェフとデザイナーの小松友香さん

レコールバンタンの生徒さんとデザイナーのB.Yavuutsagaan.さん


さて、最後はパティシエ達53名が壇上にずらりと並びました。フランスからジャン=ポール・エヴァン氏やクリスティーヌ・フェルヴェール氏、日本の小山進シェフや、鎧塚俊彦シェフ、辻口博啓シェフの顔も。
最初に挨拶をした4人が中央に並んでグラスを掲げ、開会宣言が。
「サロン・デュ・ショコラへようこそ! サンテ(乾杯)!」
こうして、第13回サロン・デュ・ショコラが開幕したのでした。


その後、なかなか会えない海外のパティシエ達が互いに挨拶を交わす姿も多く見られました。パリや東京でのサロン・デュ・ショコラは、パティシエ達の情報交換の場にもなっている様子。他に、川原さんがエヴァン氏と嬉しそうに記念撮影をしているシーンも見られました。

翌日からの開催期間では、昨年までに比べて会場が広がってもなお、来場者が多くてやはり大混雑だったのは皆さんご存知の通り! 初上陸の「ショコラ カズナーヴ」や、たくさんのタブレットを持って来日していた「ベルナシオン」などには、会場の外まで続く大行列ができていました。皆さん、お目当てのショコラは手に入れられましたか?


ちなみにパナデリアが購入した一部をご紹介すると、


「クリスティーヌ・フェルベール」のバラののったホワイトチョコ、タブレットフルール(フェルベールさんの農園に咲いているバラの花びらなんですって!)

フェルベールさんの笑顔はいつもあたたかい!



ショコラ カズナーヴのNo.3(ショコラノワールです。力強く野性的、少しざらついた口どけに、ショコラの原点を感じる味わい)

右から2番目の水色のタブレットがNo.3です。始まってすぐに完売してしまいました




ウィリーズカカオのエル・ブランコ(なんと、カカオの香りのする、目から鱗のホワイトチョコです。パリのサロン・デュ・ショコラでもすぐ完売になったそう。値段も手ごろで嬉しい)



アンマのカカオ分50%のタブレット(ブラジルの大西洋側でつくられているカカオを使用。文句なくおいしい)



ドモーリのコーヒーボンボン Bean to bar の神的な存在でもあるドモーリのジャンルーカ・フランゾーニ氏が手がけるボンボン。コーヒーメーカーのilly社とコラボで作ったもので、チョコレートとコーヒーの香りと味わいがしっかりと一体化し、いままでにない味わい




ティエリーバマスのガトーバスク(ショコラのガレットに、ショコラのクレームダマンドがたっぷり。酸味のあるマダガスカル産ショコラを使っているそう。お酒もしっかりきいていました)



セレクションボックス、ワールド チョコレート マスターズ(パリのサロン・デュ・ショコラで2年に一度開催されているショコラの世界大会、ワールド チョコレート マスターズ大会の日本代表として活躍したメンバー、和泉光一氏、山本健氏、水野直己氏、平井茂雄氏、植崎義明氏、垣本晃宏氏の6名のショコラが入っています)

などです。他にもいくつか購入。サロン・デュ・ショコラが終わると、ちょっと懐具合が心配になるのは、パナデリアだけではないはず(笑)。


ほかに、ユニークだなと目がとまったのは、トシヨロイヅカのショコラ。同じカカオを使い、5分、10分、15分と焙煎時間を変えたショコラを作って売っていました。鎧塚シェフいわく、短い焙煎(5分は極端に短いそう)だともとものとショコラの持つ香りが引き立ち、そのかわり酸味が強い。焙煎時間が長くなるほど酸味がおさまるけれど焙煎香が強くなるとのこと。シェフ自身は一番焙煎時間の短い5分が好きだそうですが、それぞれのおいしさがあり、食べた人に聞くと、驚くほど好みが分かれるそうです。

鎧塚シェフ


パカリからも目が離せません。なかなか手に入らない貴重なピウラ・ケマソン(カカオブランコ)をしっかり押さえています。このところは気候が安定せずに生産量も少なく(世界中でたった4トン)、手に入れられなかったショコラティエも多いこのカカオ。パカリは、カカオ農家の方とクリスマスを共に過ごしたりしながら信頼を得て、この貴重なカカオを生産しています。パカリの創設者であるサンティアゴ・ペラルタ氏のコックコートには、Been to barではなく「Tree to bar」と書かれていたのが印象的です。

「パカリ」のピウラ・ケマソン。その貴重さゆえか、残念ながら会場では販売されませんでした

「パカリ」創設者のサンティアゴ・ペラルタ氏


今年目立ったのはBean to barですが、その陰でもっと日本人の心をつかんだものはトッピングタブレットだと思います。ストレートなスイートよりもナッツがのったり、ドライフルーツが飾られたり、さらにはジャン=シャルル・ロシュー氏のように桜の花をのせたりと、ショコラティエたちも様々アイデアを絞って作り込んだタブレット今後ますます増えると予想しています。

ほかにもきっとみなさんが見つけた美味しいショコラがいろいろあったことと思います。サロン・デュ・ショコラでの戦利品を食べながら、一番寒いこの時期を豊かな気持ちで過ごせますように。



NSビルでの会期は終了しましたが、その他の地域で開催中ですので、詳細は「サロン・デュ・ショコラ日本公式サイト」からご確認ください。
 http://www.salon-du-chocolat.jp/





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