(c) Michael Holmes  
取材・文 佐々木 千恵美 


4月22日、東京・自由が丘に新たなコンセプトのコーヒー店がオープンしました。「ALPHA BETA COFFEE CLUB(アルファベータコーヒークラブ)」は、駅から歩いてすぐ。新商業ビル(ミルシェ自由が丘)の3階、解放感あふれるテラスを持ち、白を基調とするインテリアが心地よい空間です。


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ALPHA BETA COFFEE CLUBの店内 
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もともとweb上で、単一農園、単一品種のスペシャリティコーヒーの会員制定期購入型セレクトコーヒーデリバリーサービス「ABC COFFEE CLUB」を立ち上げた二人の男性が、フィジカルショップとしてオープン。オンライン会員用にセレクトした日本各地のロースターによるスペシャリティコーヒーを実際に楽しめ、さらにフードやアルコールの提案、コミュニティの生まれる空間として、ITのセンスを取り入れた展開をしていくそうです。

ITのセンスって? 実はこちらのブランド、元「Google」アジア太平洋地域におけるデジタルマーケティング責任者という経歴のKevin Otsuka(大塚ケビン)さんと、サンフランシスコのフードデリバリーサービス「Zestly」の創業者でもあるAlvin Cheung(アルヴィン・チャン)さんのお二人の創業者によるもの。


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創業者の大塚ケビンさん(右)と、アルヴィン・チャンさん(左)

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「ABC COFFEE CLUB」のパッケージ

アメリカ西海岸発のテクノロジーとトレンドを、一杯のコーヒーを通して発信していきたい。
その試みのひとつがカリフォルニアのカフェで主流となっている「サブスクリプション型(会員制)」を採用した「Membership」システム。月額7500円(税込み)で、お好みのコーヒー一杯(ビール、ワイン、ソフトドリンクを除く)が注文ごとに無料(飲み放題)、コミュニティイベントに無料で参加できる特典など、訪れる人が心地よく過ごせるアイデアを体現。RFIDチップを採用し、登録情報を電子的に保存しているため、カードを紛失しても問題なく再発行ができるのだとか。これぞIT目線ですね!


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ハンドドリップコーヒー

さあ、ITとか、先端な話題はここまでにして、実際お店ではどんなコーヒーが飲めるのか、コーヒーのお供にはどんなスイーツが用意されているのか紹介していきましょう。

まずはコーヒー。
「ABC COFFEE CLUB」でパートナーシップを結んでいる日本全国のコーヒーロースターから、月替わりで3種類のコーヒー豆を好みで選ぶことができます。お店がオープンした4月は、A:大阪・TAKAMURAのケニア・マサイ、B:東京・GLITCHのルワンダ・ニャカブエ、C:大阪・Mel coffee roastersのグァテマラ エルインフェルト ブルボン。実物の香りで決めたり、好みを伝えて選んでもらったり、気になるロースターのコーヒーを飲んでみるのも手。スペシャリティコーヒー初心者でも3種類からなら選ぶのも楽。アイスもありなので6通りの味わいが可能です。
コーヒーはやっぱりカフェラテという人には、エスプレッソメニューもありますし、新しいもの好きには、まるで黒ビールのようなクリーミーな泡立ちのNitro Cold Brew(ニトロコールドブリュー=窒素ガスを浸透させた冷たいコーヒー)がおすすめ。豆の産地、生産者、ロースター、淹れ方と、コーヒーも楽しみ方の幅がぐっと広がってきましたね。


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日本全国のコーヒーロースターから、月替わりで3種類のコーヒー豆が登場

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マキアート

コーヒーのあるところにフードとスイーツあり。
カリフォルニア先端のセンスは、フードメニューにも反映されています。日本人のソウルフード「おにぎり」にメキシカンテイストをプラスした「Taco Onigiri」や、キムチ風味が食欲をそそるカンパーニュのチーズトースト「Kimchi Grilled Cheese」、スーパーフード・キノアを取り入れた「Quinoa Salad」やひよこ豆のペースト「Hummus」など、ちょっとしたランチやスナックメニューが目を引きます。これらはサンフランシスコのラグジュアリーレストランで腕を振るったKaty Cole(ケイティー・コール)さんによるコーディネート。これまでのサードウェーブ系コーヒー店にはありそうでなかったユニークかつヘルスコンシャスなフードが揃いました。


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Taco Onigiri

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Kimchi Grilled CheeseとQuinoa Salad

フードデザインを担当したケイティー・コールさん

そしてスイーツの柱は2つ。グルテンフリーとノーマル、いずれもアメリカ風の焼き菓子でナチュラルな色合い。グルテンフリーシフォンケーキ、グルテンフリーキャロットケーキ、クラムマフィン、オートミールクッキー、そのどれもがとびっきり美味しく、優しい甘さの虜に! アルヴィンさんに聞くと、グルテンフリースイーツは、アレルギーのある子供を持つお母さんの手づくりで、マフィンやクッキーは彼の義理のお母さん(日本人)の作。トランス脂肪酸を含む油脂や余計な添加物を使わない、身体にやさしく質の良い材料を使ったスイーツたちは、ここで飲めるコーヒーと同じく、手仕事と人のつながりを感じます。


奥からグルテンフリーシフォンケーキ、クラムマフィン、オートミールクッキー

グルテンフリーキャロットケーキ

そういえばサードウェーブ系コーヒーは生産地や淹れ方にこだわるだけでなく、作り手への配慮、社会支援などへの協力など活動は多岐に渡ります。単に物だけを売るのではなく、一杯のコーヒーが人(作り手)と人(消費者)を繋ぎ、そこから生まれる新たなコミュニティを創り出す。さりげない仕掛がいっぱいの店内で過ごしていると、ケビンさんとアルヴィンさんの志すところが少しずつ伝わってくるのでした。

平日は朝7時から、土日祝日は10時から23時まで。クラフトビールやカリフォルニアワイン、紅茶やソフトドリンクもあるから、シーンに合わせてふらっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。


ジュースやコンブチャ、クラフトビール、紅茶など、コーヒー以外のトレンドメニューも豊富

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石巻工房のロングテーブルを配した店内はフリーWifi



ALPHA BETA COFFEE CLUBのサイト
  http://www.alphabetacoffeeclub.com/

ABC COFFEE CLUBのサイト
  https://abccoffee.co/



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