© Pierre Monetta  
取材・文 浅妻 千映子  


アラン・デュカス氏といえば、誰もが知るフランス料理界のトップ。
実は、料理修業中の1970年代、ショコラティエのミッシェル・ショーダン氏の仕事を垣間見たとき、魂を揺さぶられるような衝撃を受けたのだとか。ショコラに開眼した瞬間だったのでしょう。

なんとその後、料理修業をしながら、休日にはリオンのショコラティエ「ベルナシオン」で働いていたというから驚きます。
料理人としての地位を築きつつも、ショコラへの熱い想いと夢を持ち続けたデュカス氏は、2013年、パリに「ル・ショコラ・アラン・デュカス」をオープンさせたのでした。

ショコラへの膨らんだ想いは、自ら選んだカカオからショコラを作る「工房」を実現させました。ただ完成した商品を売るのではなく、ガラス張りでショコラのできる工程を見られるブティックを作ったのです。もちろんパリでも大きな話題に。

今回、海外初出店となる支店がオープン。
それが、日本橋にオープンした「ル・ショコラ・アラン・デュカス 東京工房」です。





パリと同じく、ガラス張りの工房があり、その壁にはパリ工房で作られたひとつ約12.5キロのクーベルチュールの塊が本のように棚に並んでいます。ペルー、マダガスカル、グレナダ、エクアドル……、12か国20種類以上のクーベルチュールをパリから持ってきているとのこと。


そのクーベルチュールの塊をハンマーで砕いたり、チョコレートをコーティングしたばかりの柔らかいボンボンショコラの表面に手作業で模様を付けていたり。溶かした大量のショコラを台のはじからはじまで流し込んでいたり、箱詰め作業をしていたりと、訪れた人だれもが眺められる工房の中では、いま目の前にあるショコラにつながる様々な風景が流れています。

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© Pierre Monetta  
ブロック・ド・ショコラ
フランス製の木のトレイと小槌がセットになったブロック型のショコラは、そのまま食べても、製菓材料としても。もちろん、ブロックのみで買うこともできる


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ショコラバー
幾何学模様のボリュームのあるショコラバーは「ル・ショコラ・アラン・デュカス」のシグネチャー。風味豊かなプラリネがたっぷりつまった一本をいつでもどこでも


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ガナッシュ
ガナッシュ・オリジンの味わいのカギはカカオ豆の産地。栽培された国や地方によって世界に一つだけの味が作られる。


特別内覧会にはデュカス氏も来日。シャンパーニュが振る舞われ、ボンボンショコラやサブレ、ドラジェなどに加えて、ムースやミルフィーユといったサロンでのメニューも試食できました。



〜サロンで楽しめるメニューより〜

ミルフィーユ・トゥ・ショコ
¥1,700/

クープ・グラッセ・オ・カフェ
¥1,900

バー・クロッカント
¥1,500


ムース・オ・ショコラ
¥1,600

スフレ・オ・ショコラ
¥1,800

アグリューム/ジンジャー/ソルベ・オ・グリュエ
¥1,900



そして、これだけの想いを持って作っているお菓子の数々は、さすがに、本当にレベルが高い!
プラリネのボンボンショコラを噛んで口に広がるナッツの香りの高さに感動し、バー・クロッカントの濃厚な味のあとのキレの良さに驚かされ、ミルフィーユ・トゥ・ショコの生地のバターの芳醇な香りと軽やかなクリームにうっとりし。もちろん、シンプルなボンボンショコラでは、個性的なショコラの味をしっかりと感じることができます。

東京工房のシェフ・ショコラティエは、銀座のレストラン「ベージュ アラン・デュカス 東京」でシェフ・パティシエを務めていたジュリアン・キンツラー氏。「ベージュ アラン・デュカス 東京」でのあと、ル・ショコラ・アラン・デュカスのパリ工房で2年の研鑽をつみ、東京工房のシェフ・ショコラティエに就任です。



© Pierre Monetta  
ジュリアン・キンツラー氏(左)アラン・デュカス氏(右)


高い技術と、選び抜かれた素材。
世界トップクラス、いや、トップと言い切っても過言ではないショコラが、パリそのままに現在進行形で味わえるのだから、しかも工房を見ながら。ショコラ好きは早めに日本橋に足を運ぶことをお勧めします。


ル・ショコラ・アラン・デュカス 東京工房
住所:東京都中央区日本橋本町1-1-1
TEL:03-3516-3511
営業時間:11:00〜20:00





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