取材・文 佐々木 千恵美  


ブルガリBVLGARIのチョコレートブランド〜ブルガリ イル・チョコラートは、この夏、日本初となるコラボレーションスイーツを期間限定で販売しています。
今年は、ブルガリのレストラン、イル・リストランテ ルカ・ファンティンが「The World's Best 50 Restaurants 2019」で107位に初選出、また「Asia's 50 Best Restaurants(アジアのベストレストラン50)」で18位にランクインを果たすとともに、シェフ、ルカ・ファンティン氏が日本で仕事を始めて10周年。そのお祝いイベントのひとつが世界的パティシエ ショコラティエである、ジャンルカ・フスト氏とのコラボレーションなのです。

フスト氏といえば、イタリア人としては初めてヴァローナ エコール・デュ・グラン・ショコラの一員として活躍された優れた技術・創造性の持ち主。その地の素材を活かし、食べ手をリスペクトし、自分のスタイルで創り上げる哲学がブルガリレストランと共通していることから、今回のコラボレーションが実現しました。



ジャンルカ・フスト(Gianluca Fusto)氏

ジャンルカ・フスト氏は、彼のスタイル、創造性、そして繊細な材料使いで知られています。ミラノで生まれ、イタリア料理界の巨匠Aimo Moroni氏との出会いをきっかけに、料理から製菓の道へ進みました。これを機にペイストリーシェフとしての才能を開花させ、ヴァローナ エコール・デュ・グラン・ショコラの一員として活躍。フレデリック・ボウ氏、ヤン・ドゥイッチ氏、フィリップ・ジブル氏らと5年間を共にし、チョコレートに関する造詣を深め、その技術を成熟させていきました。現在は伝道師としてミラノ、パリ、ロンドン、ニューヨークなど世界中を飛び回り、情熱的かつ厳格に豊かなノウハウを伝えています。


今回発表されたのは“イタリアのモダンペイストリーの建築家”と称されるジャンルカ・フスト氏と、ブルガリ イル・チョコラートが織りなすクラシックにしてモダンなスイーツ6種類。

日本の素材を使い、イタリアの伝統菓子に独自のタッチを加えて現代風に仕立てた3種類のケーキと3つのフレーバーのチョコレートを、プレス発表会で来日したフスト氏のコメントなどを交えながら、内容の紹介をしたいと思います。


プレス発表会はブルガリ銀座タワーで行われた。


旬の地元素材を活かし生み出されるイタリア料理や菓子。それを踏まえ、今回フスト氏は日本ならではのフルーツや素材を使い、イタリア伝統菓子に落とし込んで現代風に軽やかでスタイリッシュに仕上げたといいます。キーワードは、“Ultimate Culture Experience”。単なるスイーツを超え、イタリアと日本、そこにブルガリツイストを加えた新しい食文化の体験を。なんだかわくわくしてきますね。

はじめの一品は旬の桃を使ったトルタ・アマンディーノ。
日本の桃を食べて感動したフスト氏は、アーモンドを使ったシチリア州の「ビアンコマンジャーレ」にヒントを得て、白桃とレモン、アーモンドミルクと生クリームのムースを重ねたアントルメを考案。桃の皮で色付けしたトップのゼリーが美しく、桃の味わいを予感させてくれます。レモンクリームの酸味が味をひきしめ、低温で24時間ミルクに浸したローズマリーが爽やかに香り、桃の甘みを引き立てます。


トルタ・アマンディーノ
サクサクのアーモンドタルト、なめらかなムースがすっととけ、最後にふと桃を感じる繊細さ。
価格:10,000円(税込)
発売日:2019年7月5日より9月30日まで販売予定
販売場所:ブルガリ イル・バール ブルガリ銀座タワー10F、ブルガリ イル・チョコラート 松屋銀座B1F

トルタ・アマンディーノに使われる素材は、桃、レモン、アーモンド、ローズマリー。


世界各地でホテルも展開するブルガリ。試食会であっても最高のホスピタリティーをということで、ペアリングのドリンクをご提案いただきました。トルタ・アマンディーノに合わせたのはサマーブリーズというティーカクテル。フレッシュピーチ、フレッシュオレンジ、アールグレイ、ラヴェンダー、ヴァニラシロップ、ヴィネガー少々を調合した冷たいティーカクテルからはピーチの香りがふわりと広がり、トルタのクリーミーさと交わります。フレッシュフルーティーな味わいは間違いなく女性好みです。

見た目にも涼しげなサマーブリーズ。


2品目はクルスタータ・ディ・タンジェーリ 。
フレッシュマンゴーを同系色のオレンジと組み合わせ、夏のイタリアをイメージしたクルスタータ(タルト)仕立て。
ひと口入れたとたんにマンゴーの瑞々しい甘さに感動、そしてオレンジとホワイトチョコレートとマスカルポーネで作ったクリームとのハーモニー、最後はチョコレートを使ったタルト生地と地中海のフレーバーとして使ったシナモンの温かみが口の中で広がります。

「みなさんをチョコレートで、スパイスの入ってきた南イタリア地中海沿岸に案内したい。ルカからすすめられたマンゴーを、文化的にも創作的にも非常に思い入れのあるタルトにしました。」と語るフスト氏。マンゴーとオレンジはカットしたそのまま。シナモンの香りづけをしたオレンジクリームと、マンゴー、パッションフルーツ、ユズを使ったゼリーを重ね、タルト生地にはアーモンドを使うことで砂糖量を控え、ココアではなくチョコレートを使うことでブルガリの象徴を表現したそうです。

「見た目の美しさも大事だけれど、プロはお客様への健康意識を高め、カロリーにも心配りすべきです。それは高級宝飾と同じ美のディテールへのこだわりです。」フスト氏は語ります。


クルスタータ・ディ・タンジェーリ
フレッシュマンゴーの果実感がこれほどチョコレートのトルタと合うとは。
価格:10,000円(税込)
発売日:2019年7月5日より9月30日まで販売予定
販売場所:ブルガリ イル・バール ブルガリ銀座タワー10F、ブルガリ イル・チョコラート 松屋銀座B1F

クルスタータ・ディ・タンジェーリのメイン素材はマンゴー、オレンジ、シナモン。


合わせるのはシャンパーニュ、シャルドネ100%のルイナール ブラン・ド・ブラン。香り高く濃密なタルトの後で口がさっぱりしてもうひと口食べたいと思えるシャンパーニュ。柑橘系の香りがブラン・ド・ブランとぴったりでした。
本当はお水を用意する予定だったのが、急きょ2日前にペアリングドリンクを出そうと決めたといいます。本当に来て良かった!

フスト氏の著書にはCrostate(タルト)をテーマにしたものも。


「旬ではないけれど柚子が大好き。10年前に日本で食べたときにとても感動しました。」というフスト氏が3品目に選んだ日本の素材は柚子。南イタリア伝統菓子カプレーゼを新しい解釈で表現したケーキに、柚子の香りを吹き込みました。
それが、ゆず・カプレーゼ 。

「世の中には乳糖不耐症、小麦粉アレルギーの方も多くおられます。本当のプロであればそういう方たちも美味しいスイーツを食べられるように配慮をすべきです。このケーキでは小麦粉は不使用。代わりにアーモンドを使い、バターの代わりにオリーブオイルを使いました。味ではなくしっとり食感を出すためです。」
食べ手への思いやりが、一歩先のおいしさを生む。手で持って食べてみると驚くほどしっとり。ざくざくナッツの食感も柚子の香りと心地よく重なり甘さもすっきり。日本人の柚子使いとはまた違う、イタリアならではの表現にはっとさせられました。
カプレーゼは通常刻んだナッツをたっぷり混ぜ込んだチョコレートケーキ。


ゆず・カプレーゼ
柚子は皮と果汁両方使っている。周りはホワイトチョコレート。
価格:5,500円(税込)
発売日:2019年7月5日より9月30日まで販売予定
販売場所:ブルガリ イル・カフェ 阪急うめだ本店 4F、ブルガリ イル・チョコラート 高島屋大阪B1F、オンラインショップ: http://gourmet.bulgari.com/

ゆず・カプレーゼのメイン素材は柚子、アーモンド、ホワイトチョコレート。


ペアリングはイタリアのカクテルの中で最も有名なもののひとつ、ネグローニをもとに作ったエスターテ(夏)。ネグローニは通常赤かオレンジで、ベースはベルモット、カンパリ、ジン。これにツイストを加えたカクテルで、イタリアのハーブリキュールのストレーガ、エルダーフラワーのリキュール、ラヴェンダーの香りをつけたジン、グレープフルーツがベースのほんのり甘くビターな風味が、柚子やアーモンドのカプレーゼをひきたてます。

エスターテのほろ苦さが柚子の香りと共鳴する大人のマリアージュ。


「おそらく日本も40年前に比べたら料理も進化しているでしょう。イタリアも同じです。もちろんトマトパスタは好きだけれど、コンテンポラリーなものもたくさん出てきています。」
おいしいものは身体に悪いという概念はもう古い。美味しくて身体にもやさしいものが求められる時代なのです。


ブルガリ チョコレート・ジェムズ 3種 。

ブルガリ チョコレート・ジェムズ 3個入りセット。
「サフラン&ソルティ・アーモンド」、「抹茶&ローズマリー・ピスタチオ」、「キャラメル&オレンジ」の3種類のフレーバーは、日本人が好む生チョコのソフトな食感に、イタリア人が好むパリパリとした食感のチョコレートでコーティング。イタリアと日本の食文化を融合させた、繊細な食感と風味が楽しめる逸品です。

フスト氏の案内でチョコレートの旅へ。 はじめにミラノのフスト氏の家へ。ミラノ風リゾットを召し上がっていただきたいと考案した「サフラン&ソルティ・アーモンド」。お米のでんぷんの甘みを表現したいと思ったから生のアーモンドを使い、サフランのホワイトチョコガナッシュを合わせた一粒。

「サフラン&ソルティ・アーモンド」イメージ


「味覚の世界で夢を見たり遊んだりはとても大切なことだと思う。」と語り、次の「キャラメル&オレンジ」へ。今度は場所ではなく時の旅行です。
オレンジの香りをつけたミルクチョコは子供が夢見る味。そんな幼年時代の思い出をシンプルなガナッシュに閉じ込めました。

「キャラメル&オレンジ」イメージ


「どのバカンスにも終わりがあって人は現実に戻る。東京に戻って、ブルガリ銀座タワーへのオマージュを「抹茶&ローズマリー・ピスタチオ」にこめて。」
イタリアを表すピスタチオにローズマリーをカラメリゼしたものを混ぜて使用し、東京の味は抹茶のガナッシュで、イタリアと日本を二層に重ねて表現しています。

「抹茶&ローズマリー・ピスタチオ」イメージ


ブルガリ チョコレート・ジェムズ 3個入りセット - リミテッド エディション by Fusto
限定フレーバー「サフラン&ソルティ・アーモンド」「抹茶&ローズマリー・ピスタチオ」「キャラメル&オレンジ」を1個ずつセットにした3個入りの限定ボックスです。
価格: 3,100円(税込)
発売日:2019年7月5日より9月30日まで販売予定

ブルガリ チョコレート・ジェム 1個入り - リミテッド エディション by Fusto
限定フレーバー「抹茶&ローズマリー・ピスタチオ」1個入りの限定ボックスです。
価格: 1,500円(税込)
発売日:2019年7月5日より9月30日まで販売予定

販売場所:ブルガリ イル・バール ブルガリ銀座タワー10F、ブルガリ イル・カフェ 阪急うめだ本店 4F、ブルガリ イル・チョコラート 松屋銀座B1F、ブルガリ イル・チョコラート 高島屋大阪B1F、オンラインショップ: http://gourmet.bulgari.com/


このコラボレーションにあたり、ブルガリ イル・チョコラートのメートルショコラティエである齋藤香南子さんは、「今まで使ったことのない素材であったり、使ったことのある組み合わせだけどその食材を違う状態で使ったりするのが新しい発見でした。」と語ります。

ブルガリ チョコレート・ジェムズ 3種類の美しい断面。


「抹茶&ローズマリー・ピスタチオ」でのローズマリーの使い方など、これまで生クリームに香りを移していたけれど、乾燥させてキャラメリゼし、粉砕してガナッシュに混ぜるのは初めてだったそう。香ばしさがナッツであるピスタチオとの調和がとれるのか、とても印象的なおいしさです。

プレス発表会終了後のフスト氏と齋藤さん。


宝石を活かすため、宝石の裏の石止めを使わない最初のハイジュエラーであるブルガリ。そのありかたをスイーツに映し出した見事なコラボレーションスイーツとチョコレートは、2019年7月5日から9月30日までの期間限定販売です。この機会にぜひ、ブルガリのフィロソフィーに触れてみてはいかがでしょうか。

また、トルタ・アマンディーノと、クルスタータ・ディ・タンジェーリは、ブルガリ銀座タワー10Fの「ブルガリ イル・バール」にて、ティーセット(3,000円<税・サ別>)としても提供されているので、こちらもぜひ、お楽しみください。


販売期間、店舗など詳細は下記サイト等でご確認ください。


ブルガリ イル・チョコラート

BVLGARIのWEBサイト
 https://www.bulgari.com/ja-jp/

ジャンル―カ・フスト氏とのコラボレーションスイーツ
 http://gourmet.bulgari.com/shop/pages/bulgari_fusto.aspx




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