Text by Chiemi Sasaki  


自動車産業の世界的企業が本社を置くドイツ南部シュトゥットガルト。その代表がダイムラー、ポルシェと、自動車機器から始まったボッシュ。そのボッシュが、東京・渋谷の日本本社1階にショールームを併設したカフェを9月10日にオープンしました。「Café 1886 at Bosch (カフェ・イチハチハチロク・アット・ボッシュ)」という店名は、129年前にボッシュが設立された年にちなんで名づけられました。1886年に自動車機器からスタートしたボッシュですが、その事業内容は「Invented for life」というスローガンのもと、今では多岐にわたった革新テクノロジーとサーヴィスを提供しています。

そう説明されたもののボッシュって何の会社? 
「日本には1911年に進出しているボッシュですが、実は先進12か国の中で、現在ボッシュのブランド認知度が一番低いのが日本なのです。そこで今更ですが、一般の方にボッシュというブランドを身近に感じていただくべく、1階にショールームと隣接したカフェを設ける運びとなりました」と語るのは、ボッシュ株式会社コーポレートコミュニケーション部 ゼネラルマネージャーの下山田淳氏。
展示品を見てみると、私たちにも身近な品がありました。パンやお菓子作りに重宝する卓上ミキサーやコンパクトキッチンマシンも作っているのですね。

天井の高い解放感あふれる空間には、ボッシュにまつわる歴史的な展示物がさりげなく配置され、ボッシュの小さな博物館のよう。店内は、FREE WI-FI、電源完備だからちょっとした用事のときにも便利ですね。

カフェエリアは「過去」、ホワイエリアは「未来」をテーマに、過去から未来へのつながりを意識し、仕切りのない空間で構成されている。ボッシュの歴史をテーマにしたカフェエリアは、古材など温かみのあるマテリアルを基調とし、インテリアとしてボッシュの当時のプロダクトをドイツ本国から取り寄せディスプレイしている



「ボッシュ・グループがブランドコミュニケーションの一環として一般のお客様向けに商業的なカフェを運営するのは、世界でも初めての試みで、大変うれしく思っております」と、ウド・ヴォルツ氏(ボッシュ株式会社代表取締役)

「ボッシュの流通は現在の日本では90%以上が車関係」と語るのは、下山田淳氏(ボッシュ株式会社コーポレートコミュニケーション部 ゼネラルマネージャー)


カウンター席には、個別照明や電源が用意され、ちょっとしたデスクワークスペースにも便利。額に飾られたボッシュのアンティークディスプレーが洒落ている

高い天井を活かしたカウンターの上部もボッシュの歴史をイメージする飾り棚に


高い技術で「モノづくり」に取り組んできたボッシュの理念に基づいて、飲食、空間デザイン、ファッションなどのクリエーター達がコラボレーションしたCafé 1886 at Bosch 。メニューがどうなっているのか気になるところですよね。

コーヒーは、銀座のコーヒー・ロースター「トリバコーヒー」によるボッシュのためのブレンド。毎日飲みたくなるオリジナルブレンドや、ラテアートを施したカフェラテ、はちみつとココナツオイルがほのかに香るオリジナルスタイルのフラットホワイトなど、フードに合うテイストのラインナップ。


「トリバコーヒー」のボッシュオリジナルブレンドは、ジャーマンブレンドをイメージした「ダークロースト」と、オーダーごとに1杯ずつハンドドリップで淹れる「ライトロースト」の2種が用意されている


ウド・ヴォルツ氏と森川典子氏(ボッシュ株式会社取締役副社長)。昔のヨーロッパのワークスタイルをイメージしたモールスキン生地で作成されたオリジナルエプロンがカフェのユニフォーム


注目すべきはここでしか味わえないグルメサンドイッチ。骨太で豪快な肉料理で人気の銀座「マルディグラ」の和知徹シェフが監修した4種のサンドイッチは、いずれもドイツの食文化にインスピレーションをえてシェフが独自にアレンジしたもの。つまりドイツ風であって、ドイツそのままではない。日本人に親しみやすいビジュアル&テイストで、いつの間にかドイツに親しんでしまうような仕掛けがされているのです。例えばドイツのスモークソーセージを輪切りにしてマッシュポテト、ザワークラウトをライブレッドで挟んだ「スラバ」は、マッシュポテトがクッション役となり、パンや具を心地よくまとめて食べ進んでしまう。ブラートブルスト(焼きソーセージ)を、じゃがいもを練りこんだポテトブレッドに挟んだ「フランコニア」は、ソーセージとポテトの相性の良さをかみしめられる一品。これらドイツから直輸入のソーセージ類に加え、マルディグラでもお馴染みの北海道放牧豚のハムを使用したカレースパイスのハムカツサンド「ウィーン」や、雑穀やローストオーツで作ったパンを使った「ファラフェル」など、ベジタリアンでなくても手が出そうなヘルシーサンドまで、どれをとっても具材とパンの組み合わせに唸ってしまいます。そしてこれらのパンは銀座レカン運営の「ブーランジェリー レカン」にイメージを伝えオリジナルで焼かれた特注品というのだからクオリティもお墨付き。


ドイツをイメージして創作されたグルメサンドイッチとスナックメニューなど、いずれもここでしか味わえないオリジナル。ぜひ店内で出来立てを



グルメサンドイッチを監修した銀座「マルディグラ」の和知徹シェフ。ドイツ伝統料理をリスペクトしながらも、日本人の心を掴むテイストにアレンジ

スイーツメニューでは、ボッシュ本社のあるシュトゥットガルトで親しまれているリンゴの揚げ菓子アプフェルキューヘレをアレンジした「ベイクドアップルドーナツ&バニラアイス」や、焼き菓子など持ち帰りのできる品も用意されています。

ベイクドアップルドーナツ&バニラアイス


ドイツの会社でありながら、ドイツそのままを打ち出すのではなく、その地の生活にさりげなく浸透してしまうモノづくり。これもボッシュが掲げる「Invented for life」〜革新なのかもしれませんね。

渋谷駅から六本木通りに徒歩5分、日中だけでなく夜もドイツビール、ドイツワイン、ソーセージやスープなどの軽食が頼めるので、仕事や買い物帰りにも、気軽に立ち寄れるのが嬉しい。今後は様々なワークショップも企画されるとのこと。願わくは、あのコンパクトキッチンマシンを使ったパンやお菓子の教室を!



café 1886 at Bosch
 150-8360 東京都渋谷区渋谷3-6-7
 電話番号:03-6427-3207
 渋谷駅東口から徒歩5分
 http://www.bosch-cafe.jp/index.html




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