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コラボ全盛の世の中。近頃は似たジャンル同士だけではなく、異なった業種のコラボレーションも目立ってきました。特にテーマが単なる「物」ではなく「人」の場合、お客さんもそれぞれ「人」に強い関心を持っているもの。双方の渦がひとつの会場で合流する様はとても刺激的なことです。

今回行われたのは写真とスイーツ、カメラマンとパティシエというコラボレーション。モデルでフォトグラファーの舞川あいくさんが選んだ次世代を代表する7人のパティシエの仕事場での表情、作品を撮った写真展:Café de AIKU -Sweets Photo Lovers が、オリンパスギャラリー東京で2月12日から18日まで開催されました。
ブログやSNS全盛なだけに、買ったケーキは食べる前にまず撮影!なんてみなさん普通にされているでしょうけれど、それを作る人・パティシエの仕事現場を撮るのはそうそう出来ないこと。最大のポイントは、何といっても写真を眺めながらそのパティシエのケーキが食べられるカフェを作ってしまったこと。フォトギャラリーが、まるでそのシェフのお店で食べているかのような、ちょっと夢心ある空間に変身。11日に行われたプレオープンイベントでは、舞川あいくさんご本人が取材中のエピソードなどを語り、撮影したパティシエたちのケーキが登場。Café de AIKUで甘いひと時を過ごしました。

神田小川町にあるオリンパスギャラリーの入り口

愛用のカメラを手に。モデルでフォトグラファーの舞川あいくさん


「私は子供の頃からスイーツが大好きでした。お母さんの手作り菓子がきっかけで、将来はパティシエになりたかったほどです。2012年から写真家になって、ここオリンパスギャラリーで写真展「瞬間の色 極」を毎年開いているのですが、3回目の今年はあと1週間やっていいよ、とチャンスをいただいたので、夢だったパティシエを撮り、自分なりのカフェをやってみようと思ったのです」とあいくさん。

オリンパスギャラリーに実物スイーツを並べるのは初めて。前代未聞の試みも、周囲の協力あって実現。

オリジナルのエプロンを着けて、Café de AIKU限定の捧シェフのケーキを手にするあいくさん


「とにかく人を撮るのが好き。「瞬間の色」でも、アスリートやアーティストの動きや感性を撮影してきました。でもスイーツはおいしく食べるのが好きなだけで、作っている人は知らなかったのです。だからどういう人が作っているのか気になってきて…。それで友人に教えてもらった7人のパティシエに絞り、シェフと代表作の撮影を行うことになりました。実際にお店を訪ねると、それぞれに雰囲気も違って楽しかったです。厨房では厳しさも身にしみて勉強になりました。夢だったパティシエの仕事、自分だったらこんな店にしたいなと思い描いたりしました」
“自然光で撮る”をモットーにしているあいくさん。一日3店撮影でまわって、最後のお店になると陽も傾き焦ったそう。パティシエの手元や仕事での真剣な表情をモノクロで、スイーツはカラーで各店7枚。色を決めて和紙を敷いての撮影です。それでは写真展の雰囲気と7人のパティシエ&ケーキの紹介をしましょう。展示写真には、あいくさんのお店やシェフに対するコメントも掲げられていました。

捧雄介シェフ 〜パティスリー Yu Sasage


展示写真と捧雄介シェフ

イベント限定のフレジエ ピスターシュ ピスターシュの緑色が春っぽい

展示された写真の一枚:カフェにも登場したヌメロトロワはほうじ茶のメレンゲでクリーム、焼いたホワイトチョコレートをサンドしたケーキ



廣瀬達哉シェフ 〜パティスリー ヴォワザン


展示写真と廣瀬達哉シェフ

イベント会場のショーケースを彩ったマロンフィグカシス。マロンクリームの甘さとフルーツの酸味のコントラストが楽しめる

展示された写真の一枚:オランジュアメールは、シンプルな見た目の中にさまざまな香りが閉じ込められたビターチョコレートケーキ



江森宏之シェフ 〜グラッシェル


展示写真と江森宏之シェフ

会場で用意されたアイスクリームケーキのひとつ、ダコワーズはグラッシェルで一年を通じて人気ナンバー1なのだとか

展示された写真の一枚:バルーンドフリュイ。色とりどりのフルーツシャーベットが目をひく



伊藤文明シェフ 〜パティスリー メゾンドゥース


展示写真と伊藤文明シェフ

会場ショーケースに並ぶルイジャドと南大沢プリン

展示された写真の一枚:第12回ガレット・デ・ロワ コンクール優勝作はこのイベントで限定登場



宇治田潤シェフ 〜パティスリー ジュン ウジタ


展示写真と宇治田潤シェフ

ショーケースの中でパステルカラーが目を引くジョアドペッシュはフランス産の桃とピスターチの組み合わせ

展示された写真の一枚:タルトカフェ。厳選されたカフェのムースにキャラメルと胡桃のシックな組み合わせ



菊池賢一シェフ 〜パティスリー レザネフォール


展示写真と菊池賢一シェフ

会場限定のタルトレットオショコラ。カカオ70%とシナモンやコリアンダーなどのスパイスを使ったビターな大人味のタルト

展示された写真の一枚:鮮やかな緑がハートをつかむピスタッシュグリオットはナッツと甘酸っぱいチェリー、サクサクした食感が詰まったスペシャリテ



菅又亮輔シェフ


展示写真と菅又亮輔シェフ

現在開業準備中の菅又シェフのマカロンはイベントだけの限定品

展示された写真の一枚:菅又シェフといえばマカロン。それまで魅力は色だけと思っていたあいくさんは菅又シェフのマカロンを口にした途端に逆転。今ではマカロンが大好きになったそう



会場に設けられたケーキのショーケース

プレオープンイベントで振る舞われた次世代パティシエ7人のケーキたち


写真展を眺めながらスタンド形式でケーキとドリンクをいただくCafé de AIKU


会場にはパティスリーのショーケースを設置し、7人のガトー20種類近くが並び、その場でいただくことができるシステム(ドリンク付き有料)。ケーキはスタッフが毎朝ハンドキャリーで搬入などと聞くと、いっそう感動をおぼえます。

「夢の国に行く感じで、前向きパワーがお店にはありました。今回の撮影でシェフやお店のみなさんとも近づけたので、次回はさらにいいものが撮れると思います」

撮られる側から撮る側に立ったあいくさんと、作品だけでなく自身が被写体となったパティシエのコラボレーション。そこにいる愛好家にも新たな目線を持たせたのではないでしょうか。お話を聞いているうちに、あいくさんがお店で撮影している様子を知りたくなってきました。


ヴァレンタイン明け15日に行われたあいくさんとパティシエたちのトークショーには、たくさんのファンが来場。撮影のエピソードからプライベートな裏話などで盛り上がりました


東京の会期は終わってしまいましたが、大阪のオリンパスギャラリーでこの後3月20日から26日まで開催。(ただし大阪ではケーキの販売イートインはありません)



舞川あいくさんの公式サイト:maikawa aiku official media
 http://pholic.jp/





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