取材・文 佐々木 千恵美  


どんなものにもトレンドというものがありますが、ここ最近、新しい商業施設の飲食フロアに増えているのが横丁スタイル。

ちょっと一杯とおつまみで、店主や周囲の人とおしゃべりし、その後は違うお店で別のお酒とつまみを、〆にもう一軒と、はしごを楽しむことができる横丁スタイルは、ジャンルを超えた美味しさや出会いの愉しみに溢れているからでしょう。

9月11日(金)オープンの食に特化した「JINGUMAE COMICHI(じんぐうまえ こみち)」も、ネーミングが示す通り、横丁スタイルを取り入れた商業施設。
原宿駅竹下口から北に歩いて3分。1階と2階からなる小径(こみち)には、18もの飲食店が軒を連ねており、その大半がカウンター形式のオープンキッチン。店内はこじんまりとしていながらテラスがあり開放感たっぷり。建物の入り口が広い階段なのも入りやすそうです。

©株式会社エスエス 黒沼芳人
原宿駅から北に歩いて数分。5階建てビルの1階、2階がJINGUMAE COMICHI。

©株式会社エスエス 黒沼芳人
入り口はオープンになっていて入りやすい。


原宿とは言ってもこの周辺、食事のできるお店が少なく、近所のワーカーたちにとってランチを取るのにも意外に不便。カフェはあっても、夕食に大人の楽しめる雰囲気のお店となるとそれほど多くないエリアなのだとか。今後は選択肢も増え、友達と立ち寄ったり、ひとりでふらりとランチなんてこともできますね。
また、コロナ禍による新しい生活様式に寄り添い、デリバリー、お取り寄せ、テイクアウトでの販売も予定されているとのこと。お店で、オフィスで、家でJINGUMAE COMICHIの味をはしごするのも楽しそうです。

集結した18店は、ミシュランガイドで星を獲得する名店の新業態店、東京初出店の店舗まで個性豊か。
ミシュランの高級店が手がけたカジュアルな雰囲気&リーズナブルで味は本格的といった新業態店はフレンチの敷居をとっぱらい、多くの人にデイリーで親しめるメニューを展開。


■Sincere BLUE (シンシアブルー) 新業態!

北参道の予約のとれないフレンチ“シンシア”が提案する、サステナブルシーフードを多用したカジュアルレストラン。
サステナブルシーフードとは、未来に豊かな海をつないでいくために獲りすぎない、海を傷つけない、漁師コミュニティを守るという考えかたのもとに獲られた、または養殖された魚介類のこと。
世界にはすでに認証制度がいくつかあり、スーパーの魚売り場で、特にサーモンなどで見られた方もいると思います。日本でもシェフがメッセンジャーになるChefs for the Blue (シェフス フォー ザ ブルー)の活動が始まっていて、メンバーのひとりであるシンシアの石井真介シェフは、この新しいお店で積極的に認証シーフードを使い、知っていただきながら美味しいお料理を楽しんでいただくことで、食文化を未来につなぎたいと語ります。

おすすめは週末のブッフェ。本家のシンシアで土曜日限定のブッフェを、シンシアブルーでも気軽に楽しめるよう、コロナ禍に対応したオードブルのテーブルブッフェスタイルを考案。メインのひとつはシンシアのスペシャリテでもある鱸のたい焼きで、もちろんサステナブルシーフード使用。
このたい焼き、元はフランス料理の古典、鱸のパイ包み(ルー・アンクルート)。大きな一尾を何人かで取り分けるスタイルは今となっては登場する機会も少なく廃れさせては勿体ない。そこで後につなぐべく考えたのが日本のたい焼きに包むアイデア。ただ映えるだけではない、未来へのメッセージを包んだ一品なのです。

テーブルブッフェコースのメインのひとつ「FIP鱸のたい焼き」。15種類のオードブルブッフェには特製ブリオッシュも含まれ、デザートにはスフレが付きます。4,900円(税サ別)。
内容は変更になる場合があります。


またランチには、ブイヤベースラーメンやアメリケーヌカレーなど、本格的なフランス料理を日本の食文化に融合させ、カジュアルに食べられるメニューを用意。こちらも気になりますね。

La colere (ラ・コレール) 新業態!

外苑前でシャンパーニュとのペアリングが話題のフレンチ、「L'orgueil(オルグイユ)」の加瀬史也シェフが新業態での出店です。
コース料理主体の本家とは違い、ここは食事の前に一杯飲んでつまむフランスのアペリティフという習慣を、ワインと共にアルザスのタルトフランベというスナックで楽しんで欲しいという想いと、アルザス版たこ焼きのような位置づけのタルトフランベに対するシェフの熱いこだわりが詰まった8坪の可愛いお店です。
無発酵の薄い生地を下焼きしてからフランス産フロマージュブラン、ベーコン、玉ねぎをのせ再度焼き上げるクリスピーで香り豊かなタルトフランベの他、アルザスの鍋料理ベッコフ、フォアグラ、スープ、サラダ等、アペリティフ用だけでなくお食事になるメニューも展開します。
日本ではパン屋の作るタルトフランベは時々見かけますが、お店で提供するのは稀です。焼きたてを頬張るのが一番だから、アルザス好きはマストで、そうでなくてもぜひ一度足を運んでみてください。

「沖縄やんばるベーコンと玉葱のタルトフランベ」900円(税別)
フランス・アルザス地方の郷土料理タルトフランベを、焼き方にこだわった加瀬シェフ独自の製法で提供。日本の素材を使ったオリジナルトッピングのタルトフランベも気になります。


有名店の新業態にも気になるお店があります。

MOTOMU'S BY KAPPA 新業態 ! 東京初出店 !

1日に約2,000本を完売し「幻のカレーパン」と呼ばれ、オンラインショップで人気沸騰中の「もとむのカレーパン」が新業態として沖縄から東京に初出店。A5ランクの黒毛和牛を存分に楽しむことのできるトラットリアとしてオープンします。
ランチには黒毛和牛がふんだんに入ったラグーパスタやカレーを提供。ディナーは黒毛和牛を使ったグリルをはじめワインに合う上質なイタリア料理を展開します。

ランチメニューから「MOTOMU'S 白のラグー タリアテッレ」サラダ、パン、コーヒーまたは紅茶付き 1800円(税込)
パスタに旨味の濃い黒毛和牛のソースが良く絡み満足感の高い一品。

気になる「もとむのカレーパン」は、11時00分〜13時30分に整理券配布によって数量限定販売されます。こちらは2本セットのテイクアウトのみ。競争率高くなりそうですね。

細長い形が特徴の「もとむのカレーパン2本セット」800円(税込)



USAGIYA 東京初出店!

北海道旭川市発の日本茶専門店が東京に上陸です。昭和20年創業の老舗茶店「吉川園」を起源とした専門性をベースに、形式にとらわれず、もっと気軽に日本茶を楽しんでもらいたいとスタートしたUSAGIYAは、トラディショナルな日本茶からミントや柚子などの味・香りを取り込んだ新ジャンルの日本茶、さらにお米やごぼうなどから作るノンカフェインティーなど 15 種類のお茶をテイクアウトとカウンターで提供。抹茶やほうじ抹茶、美瑛牛乳を使用したスイーツドリンクもラインナップ。
SNSで話題となった日本茶のサブスク(30日間税別1500円)「USAGIYA TEA BOTTLING™」も都内では初展開。専用ボトル持参で使い捨てのない、お茶を通した新しいカルチャーとコミュニティが、ここ原宿からも生まれそうですね。

「USAGIYA TEA BOTTLING™」は、30日間定額制で、何度でも質の高いお茶をボトリングできるエコなサブスクリプション。たっぷり500ml容器なので毎日通えばかなりお得。


他にはラーメン、小籠包、寿司、クラフトビールなどの専門店や、北海道、福岡、鹿児島、沖縄など日本全国からの味なお店がいろいろ。各店ともこだわりの味ながらお値段はリーズナブル。それぞれの味と雰囲気をはしごすれば、さながら旅行気分に浸れますよ。私はスペインバスクのサンセバスチャンのバル巡りを思い出しました。日本の中の知らない食と飲みのカルチャーを、ここJINGUMAE COMICHIで楽しまれてはいかがでしょうか。



JINGUMAE COMICHI(じんぐうまえ こみち)

 https://www.jingumaecomichi.com/

所在地:東京都渋谷区神宮前一丁目23番26号
アクセス:JR線山手線「原宿駅」竹下口出口より徒歩3分、地下鉄東京メトロ千代田線「明治神宮前」駅下車出口より徒歩7分





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