取材・文 佐々木 千恵美  




元プロサッカー選手の中田英寿氏が、日本文化の世界発信へ向け、日本酒の魅力を世界に発信するためにはじめたJAPAN CRAFT SAKE COMPANY主催の「CRAFT SAKE WEEK at ROPPONGI HILLS 2018」が、2018 年4 月20 日(金)〜30 日(月・祝)の11 日間開催されました。

JAPAN CRAFT SAKE COMPANY代表の中田英寿氏。


六本木ヒルズのアリーナを会場に、日本全国から選りすぐりの酒蔵と、一緒に楽しみたいフードを提供する厳選レストランが出店する“SAKE”イベントは今年で3年目。今回は‘地域性’というキーワードで北海道から沖縄まで全国47都道府県を網羅した110蔵をセレクト。11日間の期間中、日替わりテーマで1日10蔵ずつ紹介されました。

 4月20日:SPARKRING SAKEの日
 4月21日:北海道・東北の日
 4月22日:北信の日
 4月23日:関東の日
 4月24日:東海の日
 4月25日:関西の日
 4月26日:中国・四国の日
 4月27日:九州・沖縄の日
 4月28日:SAKENOMY ALL STARSの日
 4月29日:SAKE COMPETITIONの日
 4月30日:チーム十四代の日

日替わりで紹介される蔵元の代表酒


そしてお酒とのペアリングが楽しめるスペシャルメニューを、日本を代表する15のレストランが期間ごとに提供しました。

4月20日〜24日:「ESqUISSE」、「La Barrique Tokyo」、「麻布十番 すぎ乃」、「Wakiya 一笑美茶楼」「うなぎや酒房 画荘 越後屋」
4月25日〜29日:「器楽亭」、「Restaurant Page」、「BON DABON / A due passi」、「Sal y Amor」、「華都飯店」
4月30日:「三谷」、「富麗華」、「L'evo」、「ちいさな台所ひらた」、「くろぎ」

和食だけでなく、フレンチ、イタリアン、中華、スパニッシュなど幅広いジャンルから選べるのも、日本酒の可能性を試すチャンス。ちょっと前にはワインを和食に合わせる動きがありましたが、その逆だってありですよね。最近ではフランスでも日本酒が好んで飲まれるようになったと聞きます。面白そうなので会場に伺いました。

まずは入り口でCRAFT SAKE スターターセットを購入。1819年創業「石塚硝子」の槌目盃(みぞれ仕上げ)の酒器グラスと、飲食用コイン11枚を手にしたら竹の回廊をくぐり会場へ。鹿児島県薩摩川内市の孟宗竹を約500本使用した竹の回廊は、ドットアーキテクツ(dot architects)とのコラボレーションによる演出。圧巻です。



約500本の孟宗竹がダイナミックに組まれた竹の回廊と入り口。


日替わりで10蔵が並ぶ酒カウンターで、これはと直感したお酒を選ぶもよし、会場を廻る利酒師のおすすめに任せるのもよし。蔵元とコミュニケーションを取りながらのお酒は、いつもと違った味わいがします。

「SPARKLING SAKE の日」だった初日20日の酒カウンター。

さてどこから巡ろうかガイドを見ていると、早速酒瓶を持った女性がやってきて自慢の一杯をすすめます。山形県の出羽桜‘咲’(さく)というスパークリング日本酒で、アルコール度数9度の軽やかな飲み口。一般的な日本酒はアルコール度数15〜17度位。ワインより度数が高いので、ちょっと構えてしまいがちですが、これなら最初の1杯にもぴったり。女性好みのラベルからもタイプが想像できます。

山形県の出羽桜‘咲’(さく)。軽やかな口当たりもピンクのボトルも女性好み。予め購入したイベント用酒器と飲食用コインを使って。


最近増えてきたスパークリング日本酒。シャンパーニュの製法のように、瓶内二次発酵させ造る方法と、炭酸ガス注入するやり方があり、のどごし軽やかな咲は後者のタイプ。出羽桜では前者タイプもありそちらは15度。味わいも違うのでシーンに合ったチョイスをすることもできますね。とりあえずビールとか、まずはシャンパーニュで、といったお決まりを日本酒スパークリングに置き換えてみては。そんなサジェスチョンを受け取った感じです。

佐賀県の天山 純米吟醸 おりがらみ。こちらは瓶内後醗酵でアルコール16度。おりが残った状態なので春霞のような雰囲気。

どうせなら合わせるお料理も置き換えてみましょう。「ESqUISSE」でフレンチの一品をいただきました。ホワイトアスパラガス、柚子のオイル、からすみに、発酵米ジュレや凝乳レカイエといった発酵ものを使った‘リリシスム〜直感’。柑橘系の爽やかな香りと酸、ほろ苦さにホワイトアスパラガスの旨味とまろやかな発酵の風味が重なります。スパークリング日本酒と交互にいただくと、引き立て合い、もうひとつの喜びが生まれます。

夜のレストランブースには行列が。

「ESqUISSE」の‘リリシスム〜直感’。イベントではお料理を盛り付ける器にもこだわり、竹とバカスのパルプでできた環境にやさしい「WASARA」を使用。フォーク類も捨てるのが勿体ないデザイン。

この日はデザートやパンメニューを提供するレストランは無かったのですが、工芸作家の酒器を販売する「しゅきや」ブースで、パティスリー「a tes souhaits!」川村英樹シェフによる、日本酒を使ったボンボンショコラや酒粕を使った焼き菓子を発見。それこそ「SPARKLING SAKE の日」のテーマにぴったりではないですか!

「しゅきや」に並ぶ工芸作家の酒器とスイーツ。「a tes souhaits!」の他、京都の老舗「京菓子司 末富」の酒酵饅頭が限定販売されていた。

「a tes souhaits!」の日本酒のメレンゲと日本酒のクッキー。


ショコラとクッキーを購入するや即酒カウンターへ。ほとんど直感でピッタリはまりそうな1本を見つけました。小さなボトルに見たことのある花のデザイン。スウェーデンのガラスブランド、コスタボダのデザインに似ている!? そう思って聞くとやはりそうでした。東日本大震災からの復興を祈り、ウルリカ・ハイドマン・バーリンさんがデザインしてくれたという人気一(福島)のRice Magicスパークリングレッド。黒米をブレンドすることで日本酒なのにロゼ。そして華やかさを添える泡は、発酵の過程でアルコールとともに造られる炭酸ガス。ナチュラルな甘味と酸味が、ショコラやクッキーに合います。これはちょっとした発見でした。

福島県の人気一、Rice Magicスパークリングレッド。とっておきたくなくデザインボトル。みぞれのようなガラス酒器に注いだ直後のシズル感もいい。

「a tes souhaits!」のChocolat au SAKE(日本酒のショコラ)。山形県高木酒造「十四代」の日本酒と酒粕をジュレにし、ガナッシュのショコラも贅沢使い。白いコックにはパッションフルーツでカカオ豆を二度発酵させたイタクジャを使用。「十四代」のフルーティーな香りと見事調和。もちろんRice Magicスパークリングレッドとも。


こうして蔵元と直接コミュニケーションをとりながら日本酒を味わってみると、一層味わいも深く感じられます。何より日本の食文化の奥深さに改めて感動します。まずは私たちが知ってこそ「日本の食文化やものづくりを世界に広める」ことができるのだと。日本人に交じって外国人が日本酒片手に楽しくテーブルを囲んでいる姿を眺めながら、中田さんの多くの人につなげたいという思いが伝わってくるイベントでした。

初日夜の会場は溢れんばかりの人。

日本酒風味のスイーツはここでも。「キットカット日本酒」カーリングコーナー。点数に応じてもらえる個数が決まるから燃えます!



「CRAFT SAKE WEEK at ROPPONGI HILLS 2018」開催概要
* 終了しました  
日時: 2018 年4 月20 日(金)〜30 日(月・祝) 11 日間
   各日12:00〜21:00 L.O. 20:30
場所: 六本木ヒルズアリーナ(東京都港区六本木6 丁目10-1)
参加蔵数: 各日10 蔵 計110 蔵
レストラン数: 延べ15 店

主催: JAPAN CRAFT SAKE COMPANY
 http://craftsake.jp/




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