取材・文 下園 昌江  


日本では様々な国の料理やお菓子を食べる機会がありますが、いまだスペインのお菓子、特に郷土菓子的なスペイン菓子はあまり出会う機会がありません。
そんな中スペイン菓子の美味しさを日本に伝えようと、スペイン菓子専門店ドゥルセ・ミーナが2012年茨城県守谷市にオープンしました。
スペインの代表的なお菓子ポルボロンをはじめ、アーモンドたっぷりのトゥロンなどを手作りし、スペイン菓子の魅力を感じさせてくれるお店です。
そのドゥルセ・ミーナからスペインの北部をテーマにした「スペイン北部の菓子巡り」セットがこの夏登場しました。


「スペイン北部の菓子巡り」セット。赤い箱に賑やかに入っています。




スペイン北部は、海が近いため新鮮な魚介類が有名で酪農も盛んなため乳製品も豊富にあるそうです。リンゴのお酒シードラも有名です。スペインの中でも雨が比較的多く降るため緑豊かで、避暑地と して人気があるエリアです。 そんなスペイン北部のお菓子、いったいどんなお菓子があるのか紹介していきたいと思います。


6種類のスペイン菓子

中には6種類のスペイン菓子が入っています。丸や四角、ねじったものなど様々な形状のお菓子が入っています。そのほとんどが焼きっぱなし、もしくは焼いた後に粉糖をつけたものでとても素朴な雰囲気です。フランス地方菓子やイタリアの焼き菓子に通ずる雰囲気もありますね。
日本ではあまり見かけないものが多いので、一体どんな味だろう?とわくわくしますね。
このセットに入っているお菓子をひとつずつご紹介していきたいと思います。



カサディエーレス クルミ餡がたっぷり入っている

大きなパイ生地を使ったお菓子は、アストゥリアス地方の「カサディエーレス」。
クルミ入りの餡をパイ生地で包んだお菓子です。
香ばしくコクのあるクルミ餡をふわっと軽いパイ生地で包んでいます。くるみのコリコリとした食感も面白いです。
お隣りのガルシア地方にも「エンパナーダ」(惣菜を生地で包んで焼いたもの)という食べ物があるそうです。やはり地域をまたいで似たようなものがあるのですね。



マラニュエレス

同じくアストゥリアス地方の「マラニュエレス」。
北欧の民バイキングから伝わったとされるクッキーです。 生地を棒状に細くこねて様々な形に成形します。渦巻きだったりねじったり、プレッツェルのような形だったりと、成形ならではの温かみがあります。以前は復活祭のお菓子だったようですが、現在は 1 年中食べられているそうです。
ドゥルセ・ミーナでは平飼い鶏が生んだ新鮮な卵と焦がしバターを使用し、レモンの香りでアクセントをつけて、親しみやすく飽きのこない味に仕上げています。


ソバオ

四角いスポンジの様なこのお菓子はカンタブリア地方・ベガ・デ・パス発祥とされる「ソバオ」というお菓子です。
酪農が盛んな地域のため、バターを贅沢 に使用しています。もともとはパン生地にバターを加えてこねていたことから、ソバール(こねる)が語源 (現在は違います)だそうです。
四角い紙の型で焼くのが定番で、ドゥルセ・ミーナでは手折の型で焼いています。きめ細かい生地からは香り豊かなバターの風味がします。
洋風カステラのような風合いで、日本人にも親しみやすいお菓子ではないでしょうか?



バスクケーキ チェリージャム入り

珍しいお菓子が続きましたが、こちらはフランス菓子に精通している皆さんにはおなじみのバスク地方の「バスクケーキ」。
バスク地方はフランスとスペインの2か国をまたいでいますが、スペイン側にもこのお菓子はあります。フランスだと「ガトー・バスク」と呼ばれ親しまれていますね。こちらのバスクケーキは一人用サイズの小さなタイプで、しっとり焼き上げたバスク生地の中には甘酸っぱいサクランボジャムが入っています。



ポルボロン  ロスコ・デ・ヴィノ

そして、スペイン北部ではありませんが、ドゥルセ・ミーナで人気定番のお菓子も一緒に入っています。
それがアンダルシア地方発祥のお菓子「ポルボロン」と「ロスコ・デ・ヴィノ」 。
スペイン菓子の中でも、日本でよく知られているのが「ポルボロン」。 スペインではクリスマスの時期に欠かせないお菓子だそうです。
キャンディのように包むのが定番で、ドゥルセ・ミーナも専用の紙できゅっとかわいく包んでいます。小麦粉とラード、砂糖を主原料としていて、粉の香ばしい風味とほろっとしながら口の中でとけていく独特の食感が特徴です。

ひとまわり大きなリング状のお菓子は「ロスコ・デ・ヴィノ」 ワインのリングクッキーという意味のお菓子です。
アンダルシアのモスカテル(マスカット)ワインを生地に練りこんでいるのが特徴で、華やかで優雅な香りがします。ポルボロンとはまた違った食感でサクっと軽めの香ばしい生地です。


「スペイン北部の菓子巡り」セットいかがでしたか?

バターやラードなどに、粉やアーモンドを合わせた素朴なものが多く、どのお菓子も地方の焼き菓子ならではの表情豊さがあり、ホッと心が和みます。
何度食べても飽きがこないというのは、こういう昔から伝わっているお菓子が共通してもつ魅力だということを改めて感じました。


本店もしくは公式HPからオンラインショップで購入も可能ですので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。


スペイン菓子工房 ドゥルセ・ミーナ
 http://dulcemina.jp/

「スペイン北部の菓子巡り」セット
内容(箱サイズ 21×21×7.2cm)
 カサディエーレス 2個 マラニュエレス 1袋 ソバオ 2個、
 バスクケーキ 2個 ロスコ・デ・ヴィノ 2個 ポルボロン 2個
価格 2,990円(税・送料別)




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