今年も、食の展示会「ファベックス」が開催されました。
新商品や注目素材などが一堂に会するのはもちろん、スイーツ好き注目の、グラス(氷菓)を使ったアシェット・デセール・コンテストが開催される「デザート・スイーツ&ドリンク展」が開催されているのも魅力のひとつ。さらに、米産業展、食肉産業展、ワイン&グルメ、そして麺産業展が同時開催され、食に関するあらゆるニーズに応えられるようになっています。
さて、今年はどんな様子だったのでしょうか?



パナデリアが伺ったのは、オープンの10時少し前。それにも関わらず、会場のビックサイトはすでに大勢の来場者でにぎわっていました。昨年度は震災の影響により開催自体が心配されていましたが、今年はその分を取り戻すかのような勢い! 後日発表されたところによると、3日間トータルの来場者数は70,118名!昨年の45,168名はもちろん、一昨年の63,478名をも大きく上回る結果になりました。
では、さっそく進んでいきましょう!



甘いパンの香りに誘われてたどり着いたのは、ベーカリー原料などを取り扱う「csmジャパン」のブース。
粉やリキッド酵母などパンに関する原料が並ぶ中、興味深かったのは「アイゼラ・カラマンデル」という粉末。なんと、生地の表面にナッツを散りばめ、その上にこの「アイゼラ・カラマンデル」をふって焼成するだけで、香ばしいフロランタン風のキャラメルができてしまうという優れもの。サクサクと食感や歯切れがよく、何より手軽なので、これから市場に出回ってくことでしょう。



どんな新作が登場しているか毎年楽しみなのが、パッケージのブース。今年もありましたよ、かわいいアイテムが。
カップケーキにクルリと巻いて使う最近人気のケーキラップですが、この「スイートラッパー」は文字入りや色などもバリエーション豊か。ディスプレイやちょっとしたプレゼントに使えば注目度もアップ間違いなしです。しかも、これなら断面がキレイじゃなくても大丈夫なのが素晴らしい!



もうひとつは、中央に穴が開いた「リングカップ」。中央が開いているだけですが、デコレーションにも楽しさが生まれているような気がするから不思議です。ちょっとクグロフのような感じでしょうか?シフォンケーキ型が短くなったようなイメージなので、火通りも良さそう。



北海道の乳業メーカー「サツラク」で見つけたのは、“濃縮ヨーグルトペースト”。ヨーグルトの風味はそのままに、水分を蒸発させて味を濃縮させているので、濃厚かつ自然な味わいです。しかも、カロリーはクリームチーズの約半分で、カルシウムは約3倍!生クリームと合わせれば簡単に夏にぴったりの爽やかなクリームができるし、チーズケーキに入れれば軽さを出すことも可。なかなか魅力的な素材です!
家庭用の170g入りもあるそうです



洋酒メーカーの合同酒精で面白かったのは、「GODO-YNL」という新商品。酵母中性ラクターゼというもので、ほんの少し加えるだけで、乳製品の旨みや甘みを引き出したり、お腹のゴロゴロ感をなくしたり・・・ということが出来る優れもの。完全な業務用品なので普段私たちは目にしませんが、こういった新製品がヒットの影には隠れているんです!



最近、色々な藻塩が出回っていますが、やはり元祖藻塩といったらこの「海人の藻塩」です!
素材の持ち味を引き出すといわれる、この藻塩。お料理はもちろんですが、意外といいのがバターとの相性。サブレやケークなどの焼菓子に使うと、全体の味が馴染み、旨みが引き立つのでおすすめです!



日本初上陸のコロンビア産ショコラを発見!
「カカオ・フィノ・デ・アロマ」は、100%コロンビア産カカオ豆にこだわったショコラブランド。コロンビアならではの個性的な風味も魅力的でしたが、面白かったのはホワイトチョコレート「シエラ」。見た目は白いホワイトチョコレートなのに、カカオの風味がしっかりと残っていて、目をつぶって食べたらミルクチョコレートと間違ってしまいそうなほど。これから、色々なところで使われていくかもしれませんね。



じゃーん! 工場には欠かせない製造マシンの登場です。最近はTV番組などでもよく紹介されていますが、この“火星人”は生地を丸めるのはもちろん、生地の中に餡を包み込んだり、模様にしたり・・・と色々なアレンジができる優れもの。世界中で利用されている、超メジャーマシンなのです。


ところで、ずーっと気になっていたのが、この“火星人”という名前。どうして、食とは関係ない名前なんでしょうか?
「実は、このマシンを見て社長が付けた名前なんです」


・・・?!
そういわれて見てみると、確かに、そこには火星人がいるではありませんか!
生地の入った大きな2つの目、そしてちょっと微笑んだような口元・・・。そこから、次々と生まれてくるお菓子の生地・・・。文句も言わずひたすらお菓子を作り続けてくれる火星人、実は職人肌だったんですね。



ファベックスでは、様々な内容で聴講無料のプログラムが開催されています。
「雑穀を使ったパン・お菓子」をテーマにしたプログラムでは、岩手のパティスリー「ブルージュ プリュス」オーナーシェフの高橋大さんが登場。地元岩手・二戸で取れる雑穀を使ったお菓子を紹介してくれました。



岩手の太陽(写真奥)は、生地に“長十郎もち”というヒエの全粒粉を使用した、ちょっと珍しいバウムクーヘン。本来ひえにはもち性がありませんが、この“長十郎もち”は、岩手大学で育種開発された、もち米のように粘りのあるひえの新品種だそうです。
銀河の宝石ラスク(写真下)は、雑穀はもちろん、粉や醤油、油まで、岩手の生産者の思いが1つに結集した人気アイテム。香ばしさが魅力です!



枝つきの粟(あわ)、初めて見ました!かなり大きな穂の先に、粒々とした実がずっしりとついています。



ワイン&グルメ2012で開催されているワインセミナーにも参加しました。珍しかったのが、長野県産コンコード種のぶどうで作ったアイスワイン。驚くほど濃いぶどうの味と香りは、通常のアイスワインとはまったく別物!これは、お菓子やデザートにも使えそうです。



お菓子研究家、並木麻輝子さんと「ル・ポミエ」オーナーシェフ、フレデリック・マドレーヌさんによるセミナーのタイトルは、「パティスリーの伝統と革新のバランス〜パリでの変化と日本のスイーツ〜」。




ちょっと喉が渇いたなぁと思っていたら、見覚えのあるボウヤを発見! ソフトクリームの日世の子供たちでした。



レユニオン島産の天然バニラと北海道産生クリーム、国産卵黄をブレンドしたROYAL VANILLAを試食。プレミアムをうたっているだけあって、なかなかリッチなおいしさ。コクがありながらも、意外に後味がすっきりしていました。




さて、本日のメインイベントがこれ。「第6回 アシェット デセール・コンテスト」の表彰式です。
氷菓を組み入れ、お皿の上に芸術的なデセールを組み立てるアシェット デセール。今回も、味覚・デザイン性・バランスをポイントに、予選を勝ち抜いた12名がその技とセンスを競い合いました。



審査委員長の大島陽二氏(全日本洋菓子工業会副理事長(レピドール))をはじめ、望月完次郎氏(帝国ホテル東京)、鈴木薫氏(ホテルニューオータニパティシエ料理長)など、そうそうたるメンバーが審査員を努めています。



司会・進行を努めるのは、「幸せのケーキ共和国」主宰、 スイーツジャーナリストの平岩理緒さん。



見事優勝に輝いたのは、 住吉知佳さん(ウェスティン都ホテル京都)。おめでとうございます!


住吉さんの作品「アンジェ」。 女性らしいやわらかな色を重ね、羽を添えたかわいらしい一品です。



今回も、新製品や新情報、食べることに関するヒントが満載だったファベックス。人とものとがこの場所でつながり、今、この瞬間にも未来のヒット商品が生まれようとしているのでしょう。新しいメニューを提案したり、よりおいしいものを提案したりと考えている方には、本当に役に立つイベントだと実感しました。
日々進化していく、食の世界。来年はいったいどんなものが登場するのか、今から楽しみです!




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