取材・文 佐々木 千恵美  


日本とフィンランドの外交関係樹立100周年を記念し、6月6日(木)〜11日(火)の6日間、松屋銀座8階イベントスクエアにて、フィンランドフェアが開催されました。

1960年代から北欧の優れたデザインに注目し、1990年には関連会社「スキャンデックス」を設立。以来北欧のデザインとライフスタイルを紹介してきた松屋銀座が、今回フィンランド大使館商務部と共催。北欧関係のフェアは毎年開催されてきましたが、フィンランド単独でのフェアははじめてのこと。

6日に行われたオープニングセレモニーには、駐日フィンランド大使ペッカ・オルパナ氏が来場し、フェアへの思いを語ってくださいました。
「1919年5月24日に日本との外交関係が樹立され100年経ちました。これまでもさまざまなイベントを開催してきました。今回もそのひとつで、国のことをもっと知ってもらう重要な機会だと思っています。なぜなら一般の人が最終的には国家間の友好関係を深める担い手ですから。20万個の湖のあるフィンランドでは、シンプルでありながら豊かな生き方を自然と共に楽しむことができます。生産されたものが何であれ、それがフィンランド人をつくっています。このフェアでフィンランドの一部でも感じていただき、実際にご自身でフィンランドを訪れていただければと願っています。」

また、松屋銀座副店長の大高寿美代氏は「幸福度ランキング」で2年連続1位となったフィンランドの豊かなライフスタイルを紹介し、少しでも新しい風をお届けできればと述べられました。


ペッカ・オルパナ駐日フィンランド大使(右)と大高寿美代松屋銀座副店長(左)


フィンランド国旗のカラーであるブルーとホワイトを基調に設営された会場には、初登場を含めたフィンランドブランドが集結。昨年埼玉県飯能にオープンしたメッツァの出張出店では、おなじみのムーミンをはじめ、人気雑貨、フードの他に、「ムーミンバレーパーク」の24種類あるユニフォームのうちの4点を展示。これらは全て人気デザイナー、イヴァナ・ヘルシンキによるもの。ムーミンの世界観を取り入れたパターンとカラーは、見ているだけで心ときめきます。

「ムーミンバレーパーク」のユニフォーム。デザインの中に小さなムーミンキャラクターが隠れている。


さあ、注目のフードを紹介しましょう。“その場で食べて感じよう”を充実させたイートインはフードコート形式。松屋銀座食品部課長の柏木さんが実際フィンランドを訪れた際、フィンランドの食スタイルがとてもカジュアルだと知り、それを取り入れてのこと。食も物だけでなく、スタイルを紹介することで身近に感じられますよね。


フィンランドデザインのテキスタイルを使ったフードコートのテーブル。


会場に入って一番に感じるのは甘いシナモンの香り。フィンランド人なら食べたことのない人はおそらくいないシナモンロール。ヘルシンキで人気のレストラン「ラヴィントラかもめ」のレシピに基づき、会場でくるくる巻いて焼き上げるフレッシュなシナモンロールには、このイベントのために取り寄せた粗挽きカルダモンがたっぷり練り込まれ、シナモンシュガーと相乗効果は抜群。日本で一般的なグレイズたっぷりのシナモンロールよりは甘くないからペロッと食べられます。


この巻き方がフィンランドスタイル。「ラヴィントラかもめ」のシナモンロール。


シナモンロールのお供に欠かせないのがコーヒー。「ロバーツコーヒー」はコーヒー消費量世界一といわれるフィンランドを代表するブランド。一日に何杯も飲むフィンランド人のライフスタイルから、味わいはまろやかで優しい。パッケージデザインも洒落ています。今回は松屋銀座限定のアイスブルーベリーラテが登場。底のブルーベリーシロップ、ミルク、コーヒーと3層になったところを少しずつ混ぜていただくと変化も楽しめ癒されます。


「ロバーツコーヒー」松屋銀座限定のアイスブルーベリーラテ。 パッケージデザインも洒落たロバートパウリグブレンド 100g入り。


ブルーベリーを代表とするベリー類はフィンランドの夏の森の風物詩。いつまでも沈まない夏の太陽の光を浴びて育ったベリー類には、ビタミンやポリフェノール等栄養がいっぱい。北のスーパーフードであるベリーをふんだんに使った「ビオキア」のスムージーを飲んで、爽やかなフィンランドの夏を感じられた方も多いのでは。


「ビオキア」のベリージュース、ベリーパウダー、ドライフルーツは、スムージーやサラダ、パン、お菓子作り等、楽しみ方もいろいろ。リンゴンベリー、ビルベリー、クランベリー、シーバックソーンと、フィンランドの森の恵みを味わえる。


食事系ではフィンランドを代表する魚と肉のメニューが紹介されました。
お魚はなんといってもサーモンとお野菜をふんだんに使ったサーモンスープ。ヘルシンキで人気のスープ専門店「クルマ」のシェフ、Marc Aulen氏監修によるレシピは、日本でポピュラーなクリームタイプではなく、魚の出汁とレモン汁ベースのさっぱりいただけるクリアタイプ。トッピングのサワークリームと、ディルをオリーブオイルとほんの少しのにんにく、チーズをミキサーにかけたオイルで、香り高く仕上がっていました。


「クルマ」のサーモンスープ。オリーブオイルを使うところが今風。 シェフ、Marc Aulén氏を紹介した本が展示されていた。


お肉はメッツァで北欧の食品や雑貨などを販売する「ラーヴ」が、フィンランドでよく食べられるトナカイ肉をソーセージにアレンジし、家庭料理の代表ミートボールとマッシュポテトをワンプレートに盛り付け再現。甘酸っぱさの中にちょっぴり渋みのあるリンゴンベリージャムをお肉に添えて食べるスタイルを紹介しました。


「ラーヴ」のフィンランドプレート。トナカイの肉は鹿肉に似てくせも少ない赤身。


ぶどうのワインは作れなくてもりんごや洋梨ならたくさんあるフィンランドでは、シードル作りも盛ん。クラフトビールやジンに加えてクラフトシードル等、手間ひまかけられたお酒の試飲販売も行われ、同じヨーロッパでもお酒の文化、味わいの違いを体感できました。


後味のとても良い「フィンスキ」アップルサイダー。


スイーツ販売の目玉は「ファッツェル」。特にくちどけクリーミーなチョコレートはフィンランド土産の定番にもなっているブランドです。意外ですが今回東京初出店。ムーミンを描いたクッキーやファッジなど、パッケージデザインでも目を引く、人にあげたくなるお菓子がたくさん登場しました。


「ファッツェル」を有名にしたのがGeishaチョコレート。一度聞いたら忘れられないネーミングのナッティなミルクチョコレート。


他にもご夫婦で営む農園「フィニッシュ・ブラント」のローズペタルのコンフィチュール等、こだわりの詰まったフードが並び、何を連れて帰るか大いに悩ませてくれたフィンランドフェア。食からその土地を想像するのはとてもエキサイティングなことです。ここにこられた方は、まだ見ぬフィンランドへ、あるいは再びフィンランドへ行きたくなったのではないでしょうか?


「フィニッシュ・ブラント」ローズペタルのコンフィチュール。フィンランドに咲くバラの花びらから作ったジャム。



松屋銀座 フィンランドフェア 終了しました。
 http://www.matsuya.com/m_ginza/sp/20190606_finlandfair_8es.html
会期:6月6日(木)〜11日(火)
会場:松屋銀座8階イベントスクエア
 共催:フィンランド大使館商務部



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