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「バニラの達人」としても知られている、「フレデリック・カッセル」のフレデリック・カッセル氏が来日し、クリスマス、バレンタインに向けた新作を発表しました。
会場となったのは、六本木にある国際文化会館。美しいお庭が有名なところです。

当日、部屋のドアを入ると、ぱあっと柑橘系のとてもいい香りに包まれました。グレープフルーツのような、ライムのような……。オレンジ色の柑橘というより、黄色や黄緑色系の、爽やかな香りです。部屋中に広がったその香りに、きっとテーマは柑橘なのかな、と思っていたら、目の前に、石臼を挽いている人を発見! きっと香りはここから来るに違いないと、近寄って見ると……、なんと、挽いているのは山椒だったのです。そして香りは確かにここから発せられていたのでした。



聞けば、これは和歌山県でとれる「ぶどう山椒」というものだそう。ぶどうのような房になるためこの名前がついていて、京都でとれるものとは品種が違うそうです。収穫は7月ごろ。それを乾かし、ちょうどこの会が行われた10月ごろに初物がでてくるとのことでした。そして、なんといっても特徴は、この柑橘系の香り。山椒にこんなにしっかりとした柑橘の香りがあるとは心底驚きました。流通の関係などで、なかなか手元に挽きたてのこの香りが届くことは難しいかもしれませんが、和歌山までいってでもかいでみたいと思わせる香りです。

こんなに魅力的な素材ですから、カッセル氏が魅せられたのは、容易に想像できました。では、何と合わせたかというと、ショコラでした! バレンタインのショコラコレクションのひとつが山椒を使ったものだったのです。

「“面白いもの”があると誘われて和歌山まで行きました。それがぶどう山椒でした。最初に香りをかいだとき、グレープフルーツの香りがすると思いましたね。頭の中に、グレープフルーツと組み合わせたショコラがすぐ浮かんだんです。わたしはこうして先入観なく山椒と出会いましたが、もし事前に“山椒は鰻と合わせるものだ”と言われていたら、このショコラは生まれなかったかもしれません(笑)」 とカッセル氏。

フレデリック・カッセル氏

出来上がったのは、「パルファン・ド・サンショウ」。山椒の香りのショコラ5種類です。

シンプルなダークショコラガナッシュ。ダークショコラと組み合わせたのは柚子とマンダリンオレンジ。ミルクショコラと組み合わせたのはグレープフルーツとライムでした。

「山椒はみかん科に属するんです。その通り、みかん(オレンジ)と組み合わせて作品ができたのも嬉しい」
ともカッセル氏は語りました。日本を代表するこのスパイスとの出会いが、本当にとても嬉しかったようです。

パルファン・ド・サンショウ
5個入り 2,592円(税込) 2015年1月下旬発売開始予定

パルファン・ド・サンショウ
Frédéric Cassel × NOSAKU Limited Edition 5個入り
5,400円(税込)2015年1月下旬発売開始予定
日本の伝統的な鋳物ブランド“能作”とコラボした商品も。箱の中には山椒のショコラと、鋳物でできた小さなお皿。これは、カップにつけてショコラをのせたり、そのままお皿として使うことも



さて、お庭の美しい会場(カッセル氏もこのお庭から登場したのでした)が示唆した作品もありました。もう一つのバレンタイン向けショコラの新作は、“ジャルダン(庭)”をテーマにしたものだったのです。

会場の後ろには緑鮮やかな“ジャルダン(庭)”が広がる。この日は好天に恵まれ、とても気持ちのいいひとときを過ごすことができました


フランスでカッセル氏の店があるのは、パリ郊外のフォンテーヌブロー。美しい森があることで知られるところです。この店は、今年で20年を迎えました。
「バラード・ア・フォンテーヌブロー」。これがもう一つのショコラのテーマでした。フォンテーヌブロー・アヴォン駅に貼られていた古いポスターをモチーフにしたボックスには、庭園のデザインを施した色とりどりのショコラが詰まっています。

フォンテンーヌブローの森でとれたはちみつを使った“ミエル”。
得意のタヒチ産バニラが香る“ヴァニーユ”。
栗が名物の、近隣のバルビゾン村に思いを馳せた“マロン"。
フォンテーヌブローにある城壁にあるシャスラ種のぶどう。この品種でできたワインに漬けたぶどうをつかった“レザン”。
家族思いで知られるカッセル氏の、息子であるルイ君の大好きなフランボワーズとショコラの組み合わせでできた、“ルイ・フランボワーズ”。
ほかにも、“プラリネ・ノワゼット”や、シンプルなガナッシュなど、この土地と、ご自身にまつわるエピソードのあるショコラばかりが入っているのだから、カッセル好きには見逃せないコレクションです。

バラード・ア・フォンテーヌブロー
8個入り 3,024円(税込) 2015年1月下旬発売開始予定

このコレクション、一粒一粒が大きく、食べ応えもあります。たっぷりと食べ、フォンテーヌブローの森にいるような気分に浸りたい! そう、「旅」もカッセル氏の新作のテーマだそうです。


バレンタインよりも早くカッセル氏の新作を食べられるのがクリスマスです。
今年は6種類のケーキが用意されています。そのうち4種類は銀座三越、東急本店の百貨店店舗での予約販売となりますが、2種類のケーキのみ、12月20日〜25日の4日間だけ店舗販売されます。そして、なんとそれぞれに同じ構成のプティフールがある! こちらは12月1日〜25日の販売です。「まずこれで味見をして、クリスマス本番のケーキを選んでもらえれば」という、良心的でユニークな発想で生まれています。


マンジャリ アントルメ
3,888円(税込)

マダガスカル産のカカオ豆を使用したヴァローナ社のマンジャリを使用したショコラとフランボワーズのムース。赤い果実の華やかな香り。真中にはフランボワーズクリームが閉じ込められていて、下にはカカオの香りのビスキュイ。


ブッシュ プラニフォリア
3,888円(税込)

カッセル氏こだわりのバニラが香るホワイトチョコレートムースにいちごのクリームを合わせた優しい甘さのブッシュ。バニラビーンズたっぷりのグラサージュがカッセル氏らしい。

11月5日からは、ミニクグロフも発売に。486円(税込)とお値段も手ごろで、デコレーションが可愛らしいので、プチギフトに最適です。


12月26日〜1月12日までは、ガレット・デ・ロアも発売予定です。今年の新作のテーマである「ジャルダン」が、今年のフェーブのテーマでもあるそう。5種類のフォンテーヌブローの庭園にまつわるフェーブが用意されていて、どれが入っているかはお楽しみです。

ミニクグロフとガレット・デ・ロア


11年もの間、「ルレ・デセール」の会長も務めているカッセル氏。忙しい毎日を送っていそうですが、旅が大好きというから、今回の日本滞在もきっと楽しんだのではと勝手に想像します。そして、ぶどう山椒のような魅力的な素材にまた出会い、次の新作に向けてときめいているかもしれないな……などと、にこやかなお姿を見て、勝手に想像するパナデリアでした。

◆フレデリック・カッセル 公式サイト
 http://www.frederic-cassel.jp/





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