取材・文 佐々木 千恵美  


スイーツの魔術師 ジル・マルシャル氏が今年もパリからやってきた。

3年目となり、すっかり秋のお楽しみスイーツイベントとなったハイアット リージェンシー 東京のジル・マルシャル フェア。

今年は例年より少し早く9月14日からスタート。来日されたジル・マルシャル氏がお客様のテーブルに挨拶にまわり、17日にはご本人による焼菓子、アシェットデセールのデモンストレーションを見ながらスイーツをいただく特別なイベントも開催され、集まったファンを喜ばせてくれました。

すでにたくさんの方がジル氏のスイーツを堪能しに来られたと思いますが、改めてプレス向けお披露目試食会でいただいた「ジル・マルシャル スイーツセット」の内容を紹介します。


ジル・マルシャル氏
1966年フランス・ロレーヌ地方生まれ。パティシエになることを夢見て15歳でこの世界に入り、2年間でパティシエ、ショコラティエ、グラシエの国家資格を取得。28歳の若さでパリの一流ホテル・プラザ・アテネのシェフ・パティシエに抜擢。1999年にはホテル・ル・ブリストル・パリのシェフ・パティシエに。2007年にはラ・メゾン・デュ・ショコラのクリエイティブディレクターに就任。その後はコンサルティング業をこなし、2014年11月、モンマルトルに自身の名を冠したお店Pâtisserie Gilles Marchalをオープン。


会場は同ホテル2Fにある「カフェ」。実際に供されるのと同じ、ロビーフロア・2Fの店内です。今年の「ジル・マルシャル スイーツセット」のテーマは秋。柑橘類、スパイス、ショコラ、栗などを使ったデセール3皿とプティフールが、コース形式でコーヒーまたは紅茶といただけるというもの。冷菓やソースをお皿に組み立てる品々はイートインのないパリのお店では体験できない、このイベントならではの珠玉のコースです。


「ジル・マルシャル スイーツセット」¥3,500(4,158)


はじめに運ばれてきた<アミューズ>は、細身のグラスに入った「クレームブリュレ ヴァニーユ カフェ風味のショコラクレームのヴェール」。

ジル氏の大好きな金粉が縁にちょこんと飾られ、気持ちもキラリとアップ。下層のブリュレには黒いマダガスカル産バニラがたっぷり見え、見るからにおいしそう。
上層にはチョコレートクリームが1cmくらい。ブラジル産のコーヒーなどで一晩香り付けしたクリームとヴァローナの'カライブ'を合わせたクリームを入れて表面をキャラメリゼしたものだけれど、これがかなり印象的。パリンとスプーンで表面を割って掬い、口に運べばカフェとカカオの香りが限りなく広がり、なめらかなバニラのブリュレがやさしく舌をなでてくれます。

「(ここ1年の高騰で)今やサフランに次ぐ2番目に高価なスパイスとなったバニラをたっぷり使った」と、ジル氏の説明通り、ふくよかな香りにうっとり。見事物語に入り込むきっかけとなりました。


「クレームブリュレ ヴァニーユ カフェ風味のショコラクレームのヴェール」
マダガスカル産バニラの黒い粒々が贅沢に使われている。

デセールの内容について語るジル・マルシャル氏(右)と通訳の矢野氏。



2品目の<アヴァンデセール>は、「フロマージュ・フレとフロマージュ・ブランのクレーム シトロンソルベにシトロンヴェールの香り」。

煙をたてながら運ばれてきたデセール。グラスに仕掛けられたドライアイスがドラマティックな登場を飾ります。テーブルに着いてからよく見ると、白いシトロンソルベのトップには金粉、グラスの底にはレモンイエローの液体が! そしてほのかにレモンの香りが漂います。色付けしたレモン水をセットしたとジル氏。味だけでなく、視覚や嗅覚の演出で印象付けるなんてさすがです。

なめらかな口当たりのライム風味のフレッシュなフロマージュクリームに、シナモン香るサクサクのクランブルの組み合わせが心地よく、シトロンソルベの酸味がきゅんとアクセントに。五感が喜ぶ一品です。


「フロマージュ・フレとフロマージュ・ブランのクレーム シトロンソルベにシトロンヴェールの香り」
ソルベにはレモンのゼストもふんだんに使われ爽やか。


メインの<グランデセール>は「マロンパルフェ サブレクロッカンとエピスの効いたオランジュのソルベ」。

秋と言えば栗。日本人の大好きな栗のスイーツを、今年もジル氏は用意してくれました。ラム酒の香るフランス風のマロンクリームを絞ったマロンパルフェをほろほろのサブレクロッカンに重ね、トップにはカルダモンの風味をつけたオレンジのソルベ、オレンジコンフィが添えられ色彩豊か。マロンコンフィと金粉も忘れていません。
ジル氏のデセールらしく、別添えのマロンソースを好みでかけていただきます。アルコール分を飛ばし、ラム酒の香りだけを閉じ込めたマロンソースは、そのまま舐めたらびっくり。ラム酒がマロンの味を引きたててくれるのがよくわかります。
オレンジのソルベはぜひマロンパルフェと重ねて食べてみてください。カルダモンのスーッと抜ける清涼感が、濃厚なマロンパルフェに爽やかな風を吹かせます。


「マロンパルフェ サブレクロッカンとエピスの効いたオランジュのソルベ」
色彩も秋らしい。


この後試食会では<プティフール>2種の代わりに「ペストリーショップ」(ロビーフロア・2F)で販売のプティガトーから2種類を頂きました。

「タルト クール サクレ」は、焼き込みのタルトとムースのプティガトーを重ねたようなスイーツ。焼き込みには赤ワイン、スパイスでコンポートしたプルーンとイチジクをアーモンドクリームでタルトに。その上にはフランス人が大好きなキャラメルとミルクチョコレートのムースを薄いチョコレートを挟んで重ね、とろみをつけたキャラメルでコーティング。凝縮した赤ワイン煮のコクと香り、キャラメルのリッチでミルキーな甘さが深まる秋のひとときにぴったり。


「フィーヌ シャンパーニュ」は、いわゆる泡のシャンパーニュを指すのではなく、コニャック地方のブランデーの一種のこと。ヘーゼルナッツのダックワーズ、ヘーゼルナッツをキャラメリゼしてコニャックを加えたプラリネ風味のバタークリーム、ヴァローナのチョコレート'カライブ'を使ったサヴァイヨンショコラで包み、艶やかなグラッサージュでコーティング。昨年のグランデセールで供されたサヴァイヨンショコラが、プティガトーに入っていると思うと懐かしく、コニャックの香り高いプラリネクリームとの組み合わせは新鮮且つとても親しみやすいテイストです。たくさんの要素が詰まっているのに、口の中にいれての一体感は感動もの。チョコレート好きならきっと頷くと思います。


(左手前から時計回りに)タルト クール サクレ ¥600(648)、フィーヌ シャンパーニュ ¥600(648)、シャルロットマロン ¥700(756)、オペラ ¥580(627)


フェアは、「ジル・マルシャル スイーツセット」の他、焼菓子やプティガトー、塩味のセイボリーも味わえる「ジル・マルシャル アフタヌーンティーセット」が「ラウンジ」(1F)にて、14:00〜17:00まで、またプティガトーやカヌレ、予約制のケークがお持ち帰りで楽しめるロビーフロア・2Fの「ペストリーショップ」( 10:00〜21:00)でも展開します。


「ジル・マルシャル アフタヌーンティーセット」¥4,000(4,752)

カヌレ(2個入り¥1,000 税別)

ケーク エキゾチック(3日前までの要予約 ¥3,300税別)


フェアは、11月18日まで。スイーツの魔術師が表現する秋を、ぜひ味わいにいらしてください。


( )内は消費税、またはサービス料・消費税が含まれたお支払い金額です。

 詳細は下記サイトをご覧ください。


ハイアット リージェンシー 東京 レストラン&バー
 www.hyattregencytokyo.com/restaurant

Pâtisserie Gilles Marchal (パティスリー ジル マルシャル)
 http://gillesmarchal.com





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