取材・文 佐々木 千恵美  


チョコレート王国ベルギー。数えきれないほどチョコレート店がある中で、ベルギー王室御用達ブランド認定のGaller(ガレー)が、この春新たな企画と商品を、ベルギー王国大使館にて発表しました。

それはベルギービールとガレーチョコレートのペアリング。

ヒューガルデンやレフといった、ベルギービール愛好家なら誰もが知るブランドを扱うAnheuser-Busch InBevとのコラボレーションにより、チョコレート好きにも、ビール好きにも新たな世界が発見できるよう考えだされた飲み方、食べ方です。


多彩なバーやタブレット、エッグコレクションで知られるベルギー王室御用達ブランド認定のGaller(ガレー)。創始者のJean Galler (ジャン ガレー)氏は、パティシエの家系に生まれ、幼い頃から菓子店の手伝いをしていたこともあり、16歳でチョコレート作りを始めると、その世界にのめり込みました。スイスのバーゼル、パリのガストン・ルノートルの元で修業した後、1976年、21歳の若さでベルギー・リエージュに自身のブランド「ガレー」をオープンさせました。


チョコレートの楽しみ方のひとつとしてのドリンクペアリングは、ここ数年盛り上がりを見せていますよね。コーヒー、紅茶・日本茶・中国茶などのお茶類、ワイン、ウイスキーといったペアリングはこれまで何度となく展開されました。今では日本酒とのペアリングも話題によくあがるようになりましたが、ビールとなるとほとんど聞いたことがありません。

ビール=のどごし、切れ味、冷やして飲むという日本のセオリーからしたら、室温で香りを楽しみ、ゆっくり舌の上で溶かしながら味わうチョコレートは相反するものという概念があるからでしょうか。

ところがベルギービールの多くは、あまり冷やさずじっくり舌で転がしながら飲む旨みとコクのあるタイプ。だから口どけの良い同郷のチョコレートには合うはず。実は私自身もう10年も前からそう思って実践。合うと確信していたのですが、ベルギー人ショコラティエや現地の人に何度かビールとのペアリングはありかと尋ねると、決まって全員「ありえない!」と首を横に振り返されたのです。

そんな個人的経緯もあり、今回のペアリング提案にはびっくり。一体いつから考え方が変わったのでしょうか?

「ベルギーでも実は最近のこと。2015年頃からビールとチョコレートのペアリングは始まりました。それは科学者からの提案ではなく、個人のチョイスとして楽しまれています。」

答えてくれたのはガレーショコラティエで商品研究開発を担うロイック・デーメン氏。この日は体調不良で来日できなくなったガレーの創始者ジャン・ガレー氏のアンバサダーとして、ロイック氏が急きょ案内役を務めることになったのです。


Loïc Daemen(ロイック・デーメン)。
ナミュールのホテル専門学校で学んだ後、2007年〜2010年までベルギーで最初のコンパニョナージュとして、ラ・デジラッド(アニュ)、デルレイ(アントワープ)、ピエール・エルメ(パリ)、デルヴォー(シェネ)、ダルシー(ヴェルヴィエ)といったショコラティエで学ぶ。その後オーバーワイス(ルクセンブルク)にて商品研究開発。2013年にガレーショコラティエに入り商品研究開発、現在責任者を務める。


さあ、どんなペアリングが提案されたのか、3つの組み合わせを順番に紹介していきましょう。

今回ペアリングに使うガレーのチョコレートは創業当初からあるバーのミニシリーズ。スティック状のチョコレートにフルーツクリームやナッツプラリネ等のフレーバーフィリングが入った、風味豊かなチョコレート。現在11種類ほどあるバーシリーズは、プラリネとミルクチョコレートのバーからスタートし、40年経った今も人気に甘んじることなく新たなフレーバーの開発を続けているそうです。


パッケージの彩も美しいミニバーシリーズ。豊富な種類が個別包装されている点は、ちょっとしたプレゼントにもぴったり。



1つ目はヒューガルデン ホワイト × ピスタッシュ フレッシュ

「ヒューガルデン ホワイト」 オレンジピールとコリアンダーシードの爽やかな香り&フルーティーな甘さが女性にも大人気なベルジャンホワイト。
「ピスタッシュ フレッシュ」 ピスタチオフィリングを包み込んだホワイトチョコレート。

「まずはビールをひと口含んで、チョコレートを1/4位ずつ口の中で溶かしてください。さらにその後ビールを一口味わってみてください。」

ロイック氏から示された手順に従ってペアリングを進めると、チョコレートを食べた時は、ミルキーでリッチなホワイトチョコレートとサクサクしたピスタッシュの香ばしさに、ビールの酸味が爽やか。二度目はチョコレートの塩味、コリアンダーのスパイシーな刺激が強く感じられました。ビールの酸味も心地よかったです。ホワイトビールにホワイトチョコレートという同系色の組み合わせもポイントでしょうか。他のホワイトチョコレートでもやってみたくなります。

テイスティング方法について語るロイック氏。


2つ目はレフ ブロンド × レ クルスティヨン

「レフ ブロンド」 レフは700年以上の歴史をもつベルギーアビィー(修道院)ビール。ブロンドはその名の通りの色調で、苦味、旨味、酸味が見事に調和したビール。クリーミーでマイルド、かすかに感じるスモーキーなアロマが魅力。
「レ クルスティヨン」 クリスピープラリネが入ったミルクチョコレート。

まずビールを一口飲むと、クローブ、キャラメル、バナナのような香りの印象。次にレ クルスティヨンを一口。クリスピープラリネの香ばしさがレフ ブロンドの麦の香りと重なり、ミルクキャラメルのような香りが鼻から抜けます。再度ビールを含むとバナナやキャラメル感が一層増し、渋みもはっきり感じます。チョコレートと合わせることで、ビールの個性がはっきり感じ取れるのが面白い。

レフの専用グラスに注いで。ベルギーではビールのブランドごとにグラスの形デザインも違う。


3つ目はレフ ブラウン × カフェ リエジョワ

「レフ ブラウン」 フルーティーさとキャラメルのような甘味。コクがあるけど後味はすっきりドライ。様々な味わいが結晶したビール。
「カフェ リエジョワ」 カフェ リエジョワというデザートをイメージしたコーヒームース入りのダークチョコレート。

「軽めのエスプレッソコーヒーのよう」とレフ ブラウンを表現するロイック氏。ペアリングすることでカカオ65%くらいのカフェ リエジョワが85%ほどのハイカカオに感じるといいます。麦のロースト香が心地よく、本物のカフェ リエジョワを味わっているかのよう。これぞ大人の楽しみですね。

ガレー・ジャパン代表取締役ジャン・マーク・ウンス氏と共にレフ ブラウンの紹介。黒ビールのように苦くはなく、香ばしくフルーティーな甘みがある。


全てを合わせた後で、3種×3種でこっそり違う組み合わせも試してみましたが、これが微妙に違うなと感じたり、悪くないと思ったり。ビールとのペアリング、やっぱり楽しいじゃないですか!

ビール3種類各1本とミニバー3種類2個ずつがセットになったペアリングキットBELGIAN BEER × CHOCOLATE PACK。価格は1,980円(税抜)。販売情報については公式オンラインショップをご確認ください。


ありそうでなかったベルギービールとガレーチョコレートのペアリング。エキサイティングなひとときを、ご家族やお仲間と一緒にぜひお楽しみください。


3月上旬からはベルギー直送、ガレーのマカロンがバーとリンクするカラフルな色味6種類のフレーバーで公式オンラインショップ、百貨店などに初登場の予定。こちらもお楽しみに。



ガレー(Galler)公式オンラインショップのサイト
 http://www.galler.jp/

ビールに関するお問い合わせ
 Anheuser-Busch InBev
 (アンハイザーブッシュ インベブ ジャパン)
 0570-093-920




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