取材・文 佐々木 千恵美  


2021年12月1日(水)、帝国ホテル 東京のグルメショップ「ガルガンチュワ」が、本館1階から帝国ホテルプラザ 東京1階に移転、リニューアルオープンしました。

「帝国ホテルの味をご家庭で」をコンセプトに、1971年に誕生した「ガルガンチュワ」は、日本におけるホテルショップの先駆けだったそうです。
16世紀フランスの作家、フランソワ・ラブレーの小説に登場する美食家で大食漢の王様ガルガンチュワにちなんだ店名が表すように、当時の料理長、村上信夫氏を中心に試行錯誤で本格的なホテルの味をご家庭でも楽しんでほしいと、ビーフシチュー、ローストビーフ、ハンバーグステーキ、パン、ケーキ、アイスクリーム等の品を展開。フランス料理など今ほど一般的でなかった時代に、憧れのグルメショップとして人々を大いに驚かせ、話題となったそうです。ちょうど銀座にファーストフードの1号店がオープンした年でもあり、外食に新たな文化の波が起きていたんですね。

それから約半世紀、移転、売場面積を拡張しリニューアルオープンした「ガルガンチュワ」はどんな姿になったのでしょうか?
オープン前のプレス内覧会に伺った様子をレポートします。


開店初日オープニングセレモニーでテープカットの様子。左から2人目が東京料理長 杉本雄氏、3人目が東京総支配人 金尾幸生氏。両サイドにガルガンチュワの支配人。


帝国ホテルプラザ 東京1階、中心のエスカレーターを囲んでお店が並ぶ中、「ガルガンチュワ」は「エピスリー ガルガンチュワ」、「パティスリー ガルガンチュワ」、「カドー ガルガンチュワ」の3つの独立したエリアに分かれ、それぞれの入り口から入ることになります。

まず気づいたのはロゴのリニューアル。シンプルなモノトーンのデザインで、洗練されています。さらに店内も無駄な装飾はなく、コンクリートやブロックの壁に天井もむき出し部分のあるコンテンポラリーな内装の中にも、暖かい色味の自然素材を生かした空間が広がり、伝統的なラグジュアリーホテルらしいこれまでの優雅なイメージから一新。これには帝国ホテル、攻めているなと驚かされました。


Pâtisserie GARGANTUA パティスリー ガルガンチュワ

パティスリーガルガンチュワ外観


まずは一番気になるフレンチペストリー、ショコラ、アイスクリームなどが揃うパティスリー ガルガンチュワへ。奥行きのある店内にはL字にショーケースが設置され、入り口正面にはショコラとマカロンが並びます。

ショコラティエがコーティングのショコラの種類まで、センターのフレーバーによって組み合わせて配合するなど、一粒一粒こだわって仕上げたボンボン ショコラは、これまで詰め合わせのみの展開でしたが、新しいショップでは、1粒から買い求めることができるようになりました。これならコーヒーブレイクにちょっと1粒食べたい欲求が叶いますね。お隣のマカロンも1個から購入できます。


ショコラとマカロンが並ぶショーケース。どちらも1個から購入できるようになった。ボンボン ショコラのおすすめは10年熟成させたマダガスカル産バニラビーンズを中にもコーティングにも贅沢に使った「ヴァニーユ」。ボンボン ショコラは全部で9種類、1粒450円。ギフト箱は5個用400円、10個用500円、15個用500円。お好きなフレーバーを詰め合わせてみては?


奥へ続く長いショーケースには、クラシックなスイーツを現代風にアレンジしたケーキや、今をときめくフルーツを象ったガトーなど、見ているだけで心躍る品々が並びます。聞けば東京料理長、杉本雄氏とペストリー スーシェフの齋藤有希氏はパリのホテル、ル・ムーリスに勤務した経験があるとのこと。あ、それで!とわかる方は相当のスイーツ通ですね。フルーツの新鮮なおいしさを形とともに表現したガトーが有名となり、今や実力人気ともにナンバー1といわれるセドリック・グロレ氏の活躍する場として知られています。

昔ながらのラインナップから、パティシエの創作的な品にリニューアルしたケーキは、パリの最前線にも劣らない技術とセンスが光ります。


ずっと眺めていたくなる美しさ!
手前から酒粕使用のシフォン生地でベルガモットクリームをサンドし、ホワイトチョコレートでコーティングし、さらに国産ベルガモットをトッピングした「SHIRO 酒粕シフォン」1,500円。
低温で皮ごと煮込んだみかんのコンフィと生のみかん果肉を柑橘類の果汁で固め、周りをムース、ホワイトチョコレートでコーティングした「クレモンティーヌ」1,800円。
ピスタチオクリームを閉じ込めてサクッと軽い食感に焼き上げたパイに苺ジャム入りシューとピスタチオの飾りをトッピングした「サントノレ」1,600円など。


そしてスイーツも1個から気兼ねなく購入できるよう、持ち運びに崩れにくいスペシャルなオリジナルボックスを用意しています(有料)。やや大きめなので、1つのケーキを家族でシェアすることもできそう。
今現在は、お客様からのリクエストに応え、以前の店舗からの味であるショートケーキ、モンブラン、プリンも並ぶようになりました。



Épicerie GARGANTUA エピスリー ガルガンチュワ

エピスリー ガルガンチュワ外観


パティスリー ガルガンチュワのお隣にあるのが、デリカテッセン、ベーカリー、グロサリーが並ぶエピスリー ガルガンチュワ。
おうち時間が増え、外食でプロの美食を堪能できない日が続く中、心と身体を満たしてくれるのが、自宅では作れないホテルの料理人が生み出すデリのテイクアウト。

ホテルの伝統メニューから、サステナブルな視点を意識し、食材を余すことなく使う一品や、ヴィーガンメニューなど、繊細でバラエティに富んだデリが揃います。あらかじめパック詰めされた品もありますが、お一人でも手軽に選べるよう量り売りのスタイルも導入。あれこれ相談しながら注文して持ち帰り、自宅で本格的なホテルの味を頂けるのはうれしいですね。


量り売りのデリコーナーには、「ケールサラダ / ヘーゼルナッツ」800円 / 100gなど、彩り豊かな野菜を使ったサラダも並ぶ。

スクエア型がスタイリッシュなその名も「スティレ 生ハム / コンテ」1,500円(左)と、「スティレ オマール / ラディッシュ」1,300円(右)。食卓を華やかに彩ってほしいとの想いが込められた一品。


入り口付近のベーカリーコーナーには定番の食事パン、伝統のブルーベリーパイの他、ブリオッシュフィユテ生地の折り込みが美しい菓子パンなどバラエティ豊かな商品が新登場。つい見とれて選ぶことを忘れてしまいそうです。
塩味系でも、フランスのレスキュールバターを使ったクロワッサン生地にハムとベシャメルソース、グリュイエールチーズを包んで焼いたジャンボン・フロマージュ(600円)など、リッチで風味豊かなおいしさに思わず唸ってしまいます。


  
ブリオッシュフィユテ生地を使った美しいヴィエノワズリーの数々。 「ガルガンチュワ」の定番商品といえばこの「ブルーベリーパイ」760円(左から1、2番目) ブリオッシュフィユテ生地にりんごを並べた見た目にも繊細な「ポム」800円(左から2番目)


奥にはちょっとしたイートイン席もあるので、コーヒー、紅茶などのドリンクと一緒に一休みすることもできます。



Cadeau GARGANTUA カドー ガルガンチュワ

カドー ガルガンチュワ外観。

帝国ホテルの贈り物を全国に届けたいという思いから名付けられた「カドー ガルガンチュワ」。クッキー、ケーキなどの焼き菓子、チョコレートと、帝国ホテルオリジナルのレトルト商品、缶詰、冷凍食品、ワインやシャンパーニュ、エコバッグなどのグッズが揃います。遠方に住む大切なあの方への贈り物としても、ご自宅のストックとしても重宝しそうです。


ドン ペリニヨン ロゼを惜しみなく使用したケーキ「セレブレーション」23,000円は、付属のロゼシャンパンソースをかけていただく贅沢な一品。シャンパーニュとセットにして記念日にいかが。

クッキーや焼き菓子など詰め合わせギフトは、中の品が一目でわかるようにディスプレーされている。


オリジナルの冷凍食品は、1964年東京オリンピックを契機に、当時の料理長、村上信夫氏が開発・研究に情熱を注ぎ、1971年「ガルガンチュワ」誕生と同時に販売をスタートさせた歴史があるのだそう!


人気の「ブルーベリーパイ」も、オリジナル冷凍食品なら発送可能。1,400円(2個入)


ホテルショップ、ホテルオリジナルの冷凍食品開発、そしてバイキングスタイルの食事サービスも日本で初めて導入したなど、帝国ホテルは先見の明があるホテルだったのですね。

「正統が生まれ変わるとき、そこにはいつも時代の先をゆく新しいスタンダードが誕生します。」

第14代東京料理長の杉本氏が語る通り、リニューアルした「ガルガンチュワ」は、帝国ホテルの食に関する新たなチャレンジの場として、世の中にどんな化学反応を起こしていくのか、今後も目が離せません。



ホテルショップ「ガルガンチュワ」

 所在地:東京都千代田区内幸町1−1−1 帝国ホテルプラザ 東京 1階
 TEL:03-3539-8086(ガルガンチュワ直通)
 営業時間:10:00〜19:00

 URL : http://www.imperialhotel.co.jp
 Facebook: https://www.facebook.com/imperialhoteljapan
 Instagram:https://www.instagram.com/imperialhotel_jp_official




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