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冬から春にかけて、果物コーナーを彩るのが日本の柑橘類。温かい気候で育つ柑橘類は、見ているだけで元気が出ますね。その中でもちょっと変わった食べ方と爽やかさで注目を集めているのが宮崎の日向夏(ヒュウガナツ)。文政年間(1818〜1830年)に、宮崎市で発見された伝統ある柑橘の一種。りんごのように外皮を剥き、綿みたいな白皮ごと果肉をカットしていただくと、ふわふわとジューシーさが口の中で交錯し、他の柑橘とは一線を画す美味しさ。そのままでいくらでも食べられそうな日向夏ですが、スイーツにしたらまた違った味わいが発見できそう。そんな夢が、アントルメグラッセという形で叶いました。表参道「グラッシェル」に、3月31日までの期間限定で宮崎産日向夏のアントルメグラッセ(アイスクリームケーキ)が登場。一年のうち宮崎県の食や観光などの魅力が最も充実する1〜3月を中心に、「おいしい」「たのしい」宮崎を発信するプロモーション「みやざきweeeek!!」がグラッシェルと組んで開発したスイーツです。

表参道の駅から歩いて数分、都会の喧騒を忘れさせてくれる一軒家スタイルのアントルメグラッセ専門店グラッシェル。成果発表会は2階のカフェで行われました。

このコラボレーション、単に宮崎の特産品を商品化しただけではありません。将来パティシエを目指す宮崎の学生に呼びかけ、宮崎の野菜、果物を使ったアントルメグラッセのイメージデザインを募集。その中からこれはと思う作品何点かをもとに、グラッシェルの江森宏之シェフがレシピを考案し完成させた「スイーツプロジェクト」というストーリーがあったのです。宮崎の未来を担う学生たちを巻き込むことで、単なる物だけのやり取りではなく、人々の意識も高まるすばらしい企画ですね。進めたのは一般社団法人・みやPEC推進機構。第1次から第3次産業まで全産業がスクラムを組み、宮崎の豊かな農林水産物を利用した製品づくりを通して、地域経済の活性化を図る取組みをしています。

スイーツプロジェクトは宮崎の3校〜宮崎調理製菓専門学校、日章学園パティシエ科、南九州大学で行われた。

今回使われた日向夏と黒皮かぼちゃ、「はじまり」酒のほか、金柑のたまたま、佐土原なす、カラーピーマンなど宮崎の特産品がずらり。

このスイーツプロジェクト成果発表会が、2月24日、表参道のグラッシェルであり、宮崎から戸敷市長をはじめ、生産者、プロジェクトに参加した学生の代表らを迎え、江森シェフによるアントルメグラッセがお披露目されました。その様子をご紹介しましょう。

宮崎の美味しい食材を発信していきたいと戸敷正宮崎市長。

グラッシェル・江森宏之シェフは、今年開催されるイタリアミラノ万博のWord Championship of Ice and Chocolate(世界15カ国)において、日向夏や津之輝(つのかがやきというオレンジ)を世界に発信していきたいと意欲的。江森シェフはこの大会でチームリーダーを務める。

はじめに日向夏100%ジュースと、ランチのためのソーセージ添えサラダが供されました。ジュースはもちろん、使われている野菜もソーセージも宮崎のもの。日向夏の果汁は爽やかに喉を潤し、野菜の瑞々しさが食欲を増進させます。

ほんのりゆずを思わせるビターな酸味が心地よい日向夏100%ジュース。

アントルメグラッセ試食の前に用意されたランチ。宮崎産の豚100%使用の株式会社ミヤチクのソーセージと、宮崎野菜のサラダ。佐土原なすのとろけるような食感に同席者全員が驚き。

そしてお待ちかねスイーツプロジェクトのアントルメグラッセ2作品の登場です。日向夏ともうひとつは黒皮かぼちゃ。「♪〜日向かぼちゃのよか嫁女」と、民謡「いもがらぼくと」にも唄われている宮崎伝統の小ぶりな黒皮かぼちゃは、煮物料理に使われるきめ細やかな肉質の和かぼちゃですが、今となっては希少で、参加した宮崎の学生さんさえあまり馴染みがないとか。上品な甘さの黒皮かぼちゃは、収量を制限したハウス内立体栽培によって完熟させ京都の料亭などへと出荷されるそうです。

アントルメグラッセの内容説明をする江森シェフ(左)と司会の岩切あけみさん。

手にもっているのは、日向夏と黒皮かぼちゃのアントルメグラッセ模型。

「300近い応募作品を見ました。個性的なものもありましたが、最終的には見た目でぱっと日向夏だ、黒皮かぼちゃだとわかる表現を選択しました」と江森シェフ。その言葉通り、日向夏のアントルメグラッセは、日向夏を横にカットした形をデザイン。皮の部分は実際日向夏の皮をすりおろし、アーモンド粉等と焼いた生地でできており、その上に日向夏のソルベ、日向夏コンポート、ヴァニラアイスという構成。一台にフレッシュな日向夏1個ほどを使っているそうです。頂いてみると、キレのある甘酸っぱさとともに、山椒を思わせるスパイシーな香りがほとばしり、フレッシュ感この上ないこと! ソルベにも果汁だけでなくすりおろした皮を混ぜているからだと思うのですが、これぞ旬のフレッシュフルーツでしか出せない味わいでしょう。

一方、黒皮かぼちゃのアントルメグラッセは、大きさを活かし、かぼちゃそのものを器として利用することにしたそう。オーブンで丸ごと蒸し焼きにしたかぼちゃの果肉をくり抜き、自家製ペーストにし、シナモン、アーモンド、キャラメルなどで風味づけしたアイスに、ヴァニラアイス、食感とアクセントにココアクッキーとピーカンナッツを重ねた形。繊細な和かぼちゃがほっこり栗のような甘さで和みます。皮ごとカットして供されたので丸ごと食べられるのかと質問が出ました。もちろん火を通してあるので食べられます。冷凍庫から出したてのアイスを食べる状態では皮の器はカチカチで食べづらいのですが、中身を食べ終えてからレンジでさっと温めれば、元の素材の味も楽しめますね。

試食用にカットされたアントルメグラッセ。手前が日向夏、奥が黒皮かぼちゃ。冷凍庫から出して、10分ほど室温で戻してからナイフで押切するときれいにカットできるそう。


3人の学生は、自分のイラストとは違ったけれど、イメージが形になるのはうれしい。実物を見て食べたら言葉を失うほど感動したと、それぞれの思いを語ってくれました。

日向夏と黒皮かぼちゃの生産者お二人からは、「忙しい時期だから宮崎で仕事をしたかったけれど、サンプルを見て東京に食べに行かなければと思った」「日向夏の奥深い香りが表現されていてよかった」と感動の声があがりました。

後方左よりグラッシェル江森氏、黒皮カボチャ生産者 長谷川氏、日向夏生産者 梅元氏、戸敷宮崎市長。前方はスイーツプロジェクトにてレシピイメージ考案した宮崎調理製菓専門学校、日章学園パティシエ科、南九州大学3校の学生さん。


今回は特別に生グラス(フレッシュアイスクリーム)の試食も4種類登場。日向夏、津之輝(つのかがやきというオレンジ)のソルベと宮崎茶、発泡清酒「はじまり」酒粕のアイスクリーム。いずれも素材の香りが存分に感じられ美味。「先日外国人に日本の食材を案内する機会があったのですが、とりわけ日向夏を大変気に入ったようです」と江森シェフ。宮崎から東京〜その先の世界に向けて、日本が誇れるフレーバーだと確信してもいいですね。

生グラス4種類。上から時計回りに日向夏、津之輝のソルベと発泡清酒「はじまり」酒粕、宮崎茶のアイスクリーム。最後に口にした酒粕アイスはパンチの効いた大人味。

この中では津之輝のみ、1階の生グラス売場で提供されている(季節や日によっては用意のないこともあります)。

素材はいずれもフレッシュなものを使う。味の定まった冷凍ピュレと違い、季節や個体差による風味の違いを感じるのも楽しみ。


只今グラッシェルで販売(もしくは通販)されているのは日向夏のアントルメグラッセのみですが、これがかなりの人気だそう。一台買っても1か月ほどは冷凍庫で保存ができるから、最初に適当な大きさに切り分けて、ちょっとずつ取り出せば、いつでもフレッシュな感動が味わえます。みやざきweeeek!!×グラッシェルは3月いっぱいまでなので、試してみたい方は急いでご予約を!

一台2500円(税抜き)と値段もお手頃な日向夏のアントルメグラッセは贈答にも自分用にも大人気だそう。



Glaciel グラッシェル
 http://www.glaciel.jp/

一般社団法人みやPEC推進機構
 http://www.miyapec.jp/

みやざきweeeek!!2015
 http://miyazaki-weeeek.jimdo.com/






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