取材・文 佐々木 千恵美  


巨峰、ピオーネ、シャインマスカット…、大きくて甘くてジューシーな日本のぶどう。でもぶどうの季節って夏から秋のほんの数か月。それ以外の季節にぶどうを食べようと思ったら、輸入の外国品種となるわけですが、房成りや粒の大きさなど、ほっそりバラっとした見た目からして何か違う。日本のぶどうみたいなのが食べられたいいのになって思ったことはないですか?

実は日本の生食ぶどうって職人技でできているのです。美しく美味しい粒なりの房に仕立てるために、農家が花や実を摘果しながらひと房ごとに丁寧な手入れをしてはじめてあの立派な房になるのです。

歴史をみてみると、戦前にアメリカ原産のデラウエアが導入されて以来、交配による品種改良が次々に行われるようになり、今や生食用ぶどう品種の原産数は日本が世界一といっていいほどになりました。それなのに9割が国内での消費で終わってしまい、海外での認知度はとても低いのだそう。

それは勿体ない話。日本の果物は世界に誇れるクオリティなのだから、日本の農業の可能性、将来性を見いだせないか。そこに着目し、誕生したのがぶどうの「極旬」ブランド。

日本とニュージーランド、地球の表と裏の両極で一年中、日本の熟練技術によって育てられた日本品種のクラフトぶどう。それが「極旬」です。


表旬の舞台はフルーツ王国山梨の中でも一番日照時間が長い北杜市。昨今人気No.1のシャインマスカットを2019年に設立したGREENCOLLARのファーマーが生産。
2月から4月の裏旬は日照時間が長く乾燥しているニュージーランドのホークス・ベイ地区。山梨で長年ぶどう生産に携わり、2014年にニュージーランドへ移住し、日本式ぶどう栽培を行う樋口哲也さんが巨峰とバイオレットキングを作ります。


裏旬のぶどう2種類は手前がバイオレットキング、奥が巨峰。

「こだわりはぶどうがしてほしいことをして、100%ポテンシャルを引き出すこと。最後は愛情がエッセンス」と、オンラインでのプレス発表会でぶどうの2拠点生産への想いを語ってくださった樋口哲也さん。


「赤ぶどうの王様」といわれるバイオレットキング、親はシャインマスカットとウインク。桃のように割れたお尻がハートに見えてかわいらしい。大粒種無しで皮ごとパリッと食べられるバイオレットキングはウインクの酸味の特性が良く出ていて爽やか。いわゆる ‘甘い ’ぶどうが苦手な方にもちょうど良いバランスで、スイーツにも使いやすそうです。


平成20年山梨生まれ、シャインマスカットを親に持つバイオレットキングの香りは、マスカットよりもりんごやサクランボのような、赤い皮の爽やかなフルーツのイメージ。


北半球と南半球を拠点にすることで、私達にとっては年に2回、旬の日本ぶどうが食べられるだけでなく、農家にとっては年間を通しての安定雇用が可能になり、若い世代への農業技術継承へとつながる可能性が見えてきます。そして海外での活動によって、日本の果物の認知度を世界に広めるチャンスを得ることへとつながります。

また、飲食店へは品質は同じでも大きさなどで基準に満たないぶどうを提供し、オリジナルメニューを創作することでお客さまは堪能でき、フードロスも減らすことができる取り組みもされています。試しにちょっと食べてみたい人にはうれしい企画ですよね。

六本木のミッドタウン東京近くにあるCAFÉ SANS NOM AKASAKA(カフェ サンズノム アカサカ)で今回いただいたコラボレーションメニュー「極旬バイオレットキングのレアチーズケーキ」は、淡い色が美しく、バイオレットキングの爽やかな酸味がクリームチーズにほどよく馴染んで滑らか。フードロスにしないために土台のアーモンド生地にも皮ごとぶどうを練り込んだというグルテンフリーのケーキは後味もさっぱり。なくなり次第とのことなのでお早めに。


「極旬バイオレットキングのレアチーズケーキ」780円(税込)は4月5日から登場。


「名前のないカフェ」という意味のCAFÉ SANS NOM AKASAKAはコーヒーとともにチーズケーキがおいしいくつろぎのカフェ。


もう一品、極旬バイオレットキングのブラウニーもあります。こちらもグルテンフリー、バター不使用で米粉と米油で仕上げてあり、ミルキーなホワイトチョコレートとぶどうの風味がいきています。

CAFÉ SANS NOM AKASAKA

 東京都港区赤坂6丁目16−4
 03-6435-5683
 https://cafesansnom.net/
 https://www.instagram.com/cafesansnom_akasaka/?hl=ja



ぶどうそのものが食べたい方には極旬オンラインストアでの販売もありますが、残念ながら今季の裏旬ぶどうは全て売り切れ。9月ごろスタートの表旬を待ちましょう。


このプロジェクトを仕掛けたGREENCOLLARは、三井不動産グループのスタートアップ。
不動産会社が何故かというと、農業は人が土地を有効に使うことで、農地の価値を高めることができるのではないか、雇用や農業の衰退など今の時代の社会問題解決にも通じるのではないか、これからの社会は地球規模で人間本来の豊かさを追求していく方向に向かっていくのではなどの考えに基づいてスタートアップをしたそうです。


農閑期の雇用問題を2拠点にすることで通年雇用へ。農業をあこがれの職業にしたいとGREENCOLLAR代表取締役の鏑木祐介さん。


今はニュージーランドに行くことはかないませんが、極旬を生む山梨のぶどう農園への訪問、イベントなどを今後は企画したいとのこと。コロナが少し落ち着いてきたら、一度訪れてみたくなりました。


極旬

 https://gokushun.com/
 https://www.instagram.com/goku.shun/





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