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11月22日土曜日、3連休の初日夜に発生した長野県神城断層地震。テレビでも無残に建物が倒壊した白馬村・神城地区の映像が映し出されました。なんてことに・・・。その数日前、長野県のアンテナショップ・銀座NAGANOで、白馬村自慢のそば粉を作った白馬ガレット試食会に伺ったばかり。あのクレーピエさんたちは無事なのだろうか? 地震から10日ほどたった頃、心配で連絡をとってみると、ホテルペンション・アルピーヌの丸山柳子さんの声は落ち着いていました。

「私達のところは幸い被害もなく、スキー場オープンも宿泊もいつも通りやっております。ガイドブックに載っている白馬ガレットのお店も、みなさん普段通りです。いらしていただくことが白馬の復興につながりますので、どうぞよろしくお願いします」。

ホッとしました。直接聞き、胸につかえていたものが取れました。
あのニュース映像は白馬でも本当に限定された地域。大部分はトラブルもなく、観光客を迎える体制は整っているとのこと。クリスマスや冬休みを迎えるこれから、スキーや旅行の計画を立てている方はぜひ白馬ガレットを食事の予定に組み込むことを忘れずに!

さて、話が前後してしまいましたが、白馬ガレットって一体どんなもの?

ガレットとそばの実をデザインし、ブルターニュ地方の伝統的な書体を取り入れたHAKUBAガレットのロゴマーク。


言葉だけ聞いた瞬間、お菓子好きの頭の中には、多くの図が浮かび上がっていました(笑)。 何故ならガレットと名のつくものには、様々なお菓子、食べ物があるからです。そもそもガレット〜galetteとはフランス語でまるくて薄いものを指すことから、平たいパンケーキ、1月6日エピファニーのときに食べるお菓子ガレット・デ・ロワ、バターたっぷりのビスケット、そば粉のクレープなどの食べ物を指すようになりました。

サクッ、もちっと香ばしいフランス・ブルターニュ名物そば粉のガレットは、卵やハム、チーズ等の具をのせたおしゃれで親しみやすいフランス版お好み焼き。今や日本でも専門店ができるほどすっかりお馴染みですね。このスタイルを取り入れ、村特産のはくば蕎麦と地元産のトッピングにこだわり、白馬クレーピエが提供するのが白馬ガレットなのです。

白馬ガレットの定義
生地には、はくば蕎麦(粉)を使用する。
トッピング、フィリング(中身)する材料は、地元産(白馬産、大北産、信州産)にこだわる。
白馬クレーピエが提供するガレットである。

白馬クレーピエによって一枚一枚焼かれるガレット。

挽きぐるみのそば粉100%の生地は、一晩寝かせてから使う。


実はこのプロジェクト、7年前から始まっていました。原料の蕎麦だけ見れば信州全体の名物ですが、白馬村の特長は人口9000人ほどの村に600以上の宿泊施設(内訳はペンションが多い)があるということ。つまり、それだけプロの料理人が多いということ。それなら、この人材を活かさない手はないのでは? と、村の人たちが立ち上がりました。でもただ村の誰でも作れば白馬ガレットと名乗れるわけではありません。白馬村独自の厳しいクレーピエ認定制度を設け、そばやガレットの発祥、栄養価など知識の「そば学」習得と「ガレット焼成技術」受講および試験をパスし、「白馬クレーピエ」として認定された者だけが「白馬ガレット」を作ることができるのです。第7期生終了時点の今年、通産認定者は約107名、そのうちお客様に提供している店舗は40店舗。彼ら地元の宿泊施設や飲食店の料理人たちがガレット職人=クレーピエとして、それぞれに工夫を凝らしたガレットを提供しているのだそう。

白馬クレーピエに必要な「5か条」はコレ!
1挽きぐるみのそば粉100の生地で、美しい円状に焼成できねばならぬ!
2外はパリッと中はシットリで熱々のコンプレートを正しく焼成できる技術がなければならぬ!
3生地を折る、畳む、巻く、重ねるなどオリジナリティあるメニューを創作できねばならぬ!
4はくば蕎麦の香り、甘み、旨みを十分活かせねばならぬ!
5楽しく焼かなければ白馬ガレットではない! 常に笑顔と向上心でガレットづくりに励もう!

焼きあがったガレットに、信州のめぐみを盛り込んで行く白馬クレーピエ。


試食会のために白馬からやってきた白馬クレーピエは、プチホテル・アンシャンテの原真教さん、ホテルペンション・アルピーヌの丸山柳子さん、ベルクトール丸北の丸山枝利子さん。3名とも「白馬クレーピエ」第1期生のベテランです。彼らがそれぞれオリジナリティを盛り込んだ白馬ガレット4種類を、コース形式でいただきました。

白馬ガレットを作ってくださったクレーピエ3人。右から原真教さん、丸山柳子さん、丸山枝利子さん。


はじめに「白馬産ジビエガレット」として、食事系が2種類。一枚のガレットにハーフ&ハーフの形で盛り付けられた内容は、
鹿肉と信州産きのこのコンプレート〜卵、チーズ、鹿肉、きのこ類
白馬産信州サーモンのガレット〜卵、チーズ、自家製スモークサーモン、サラダ、手づくりオニオンドレッシング、青とまとの手づくりピクルス

白馬産ジビエガレットのハーフ&ハーフは試食会のみのコラボ。メイン食材以外にも、黒豆、そうめんかぼちゃ、蕎麦の実など、細かいトッピングが彩りを添える。


さくっと歯切れ良く焼けた生地に、赤ワインで煮込みしっかり味のついた鹿肉が良く合います。鹿肉は美麻から届いたものを使用。平成24年にジビエ普及を目的に、お隣の大町市美麻に処理施設が出来たのです。
そば粉の深い風味が、信州サーモンのとろける脂肪とマッチ。たっぷり盛られた野菜の彩で、一層おいしく食べられます。ガレットというと軽食のイメージですが、実際にはかなりボリュームがありました。

続く「デザートガレット」2種は1皿ずつ登場。
食用ほおずきのガレット・シュゼット風〜白馬産食用ほおずきソース、シロップ漬け、バニラアイス
信州産りんごのガレット〜手づくりりんごコンポート、手づくりりんごバター、白馬産アカシアの花の蜂蜜

食用ほおずきのガレット・シュゼット風は、生のほおずきの他、シロップ漬けやソースなどで食感や風味の違いも楽しめる。

ここ数年長野県でも栽培者増加中の食用ほおずき。南国フルーツのように遠くからでも独特の甘い香りを放ち、薄い袋を指で破ると、オレンジ色をしたさくらんぼ大の果肉があらわれます。トマト、オレンジ、マンゴーをミックスしたような甘酸っぱさが、キャラメル化させたシュゼットソースともっちりコクのあるガレットに絡みます。オレンジ色の果物とほろ苦いキャラメル、バニラアイスの組み合わせは鉄板!

白馬で栽培された食用ほおずきのシロップ漬けやソースは瓶詰めされ販売されている。色がきれい。



そして信州の果物といえばりんご! しめのガレットは信州産りんごをガレットと馴染むようコンポートやバターに調理する工夫がされていました。白馬産のはちみつがやさしい甘さを演出します。

信州産りんごのガレットは、やさしいりんごの味に水切りヨーグルトと貴重な白馬のアカシアはちみつを添えて。朝食にもよさそうな爽やかな味。

信州の旬のくだもの、りんごと食用ほおずき。


コース仕立てのガレットで食いしん坊のパナデリアもお腹いっぱい。こうしてみると、ガレットには白馬や信州の豊かなめぐみが盛り込まれ、森や畑に収穫に行ってきたかのよう。‘バスケット’になったガレットの中身を少しずつ探りながら、白馬を旅るすのも楽しい。そういえばグラスに注がれたシードルも長野産。海のない信州と、山地のないブルターニュとが農産物でつながる不思議。

白馬より少し南の安曇野・池田町にある福源酒造さんのルルベルシードル(Lulubell Cidre)。日本酒の蔵が醸造したシードルは、100%地元の林檎を使い、瓶内で発酵させた食事にもぴったりな辛口。

まるくて平たい粉ものは世界共通食べ物言語。スキーを楽しむ外国人観光客にも、白馬ガレットは評判だそうです。ウェブサイトで気になるお店をチェックして、白馬ガレットのはしご旅も楽しそう。次回はぜひ白馬の空気の中でいただいてみたいものです。

最後に、地震で被害にあわれた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

白馬のゆるキャラ‘ヴィクトワール・シュヴァルブラン・村男III世’フランス語を混ぜた長い名前は「勝利の白馬むらお三世」という意味で白馬スキー伝来100年を記念してペガサス座流星群からやってきた・・・そう。白馬に行ったら会えるかも!?



白馬ガレット公式サイト  http://www.hakubagalette.jp/

銀座NAGANO公式サイト  http://www.ginza-nagano.jp/





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