フォアグラといえば、まぎれもなくフランス料理の最高級食材。出てくれば嬉しいけれど、やっぱり気になるのはカロリー。もうちょっとヘルシーな気分で食べることができればいいのに……。そんな風に思っている人も多いのではないでしょうか。
まさにそんな思いにこたえるような動きがあったのです!
30年前以上前から、株式会社アルカンが日本に輸入しているフォアグラブランド「ROUGIÉ(ルージエ)」が、「ヘルシーフォアグラプロジェクト」を打ち出しました。

「ルージエ」について少しお話しすると、フォアグラを始め、トリュフなどフランス食材を卸しているブランド。ルージエのフォアグラは、1950年代に世界に広がり、現在では5大陸120カ国の高級ホテル、レストラン、食品店などで使われています。会社があるのはフランス南西部のペリゴール地方。言うまでもなく、フォアグラやトリュフの生産地として有名な場所で、ほかにワインでも名が通っています。フォアグラに甘口の白ワインを合わせることは王道ですが、やはりここは美味しい甘口の白ワインが数多く生産されています。

さて。「ヘルシーフォアグラプロジェクト」の具体的内容は?
フォアグラを、気にするほどのカロリーではない、軽やかな料理に仕立てようというプロジェクトで、フォアグラを使ったいくつかの料理のレシピが開発されています。
今回の試食会で発表になったのは、なんと、フランスの3つ星シェフ、ミッシェル・ゲラール氏のレシピでした。美味しく食べて太らない「キュイジーヌ・マンスール(痩身料理)」を発案したゲラール氏が手がけたのだから、味もヘルシーさも折り紙つき。代々木にある服部栄養専門学校で、ルージエの料理アドバイザーのジョスレン・ドゥミエ氏と学校のスタッフたちが再現してくれました。

会場となった服部栄養専門学校「テーブルドート」。この日は、まるでレストランのシェフズテーブルのような贅沢な空間に

ルージエの料理アドバイザーのジョスレン・ドゥミエ氏


食前酒として、甘口の白ワインがサーブされ、
「フォアグラとフルーツを組み合わせた料理には特によく合います」
と一言が。続いて、ルージエの方からこんなお話しがありました。
「ご存知の通り、フォアグラは、十数年前からアジア料理、特に和食でも多く使われるようになりました。独特の柔らかな食感とともに、他の風味を吸収しやすい性質が、和食の出汁にも非常に合うことが、人気の理由だと思います。重いという印象を持たれている方もいるフォアグラですが、実際は、調理法や使用する分量、合わせる食材によって、とても健康的で、バランスの取れた食材となることを知ってもらいたいと、このプロジェクトを企画しました」。

ルージエの輸出部長 ギィ・ド・サンローラン氏から今回のプロジェクトの説明がありました

まずは、食前酒の甘口の白ワインから


この日用意されたのは、2種類のコースでした。
渡されたメニューを見ると、前菜、メイン、デザートの3皿構成で、前菜、そしてメインにも、しっかりとフォアグラが使われる様子。にもかかわらず、コースで686キロカロリーと、740キロカロリーに抑えられているそう。デザートまで含めてのこのカロリーなのだから、それだけで嬉しい限り。カロリーだけでなく、栄養バランスにももちろん気が配られています。

早速、目の前のオープンキッチンからお料理が運ばれ出しました。

目の前で丁寧に仕上げられた美しいひと皿が運ばれてきます


前菜は「鶏肉とフォアグラのテリーヌ(205キロカロリー)」または「セップと桃のフォアグラテリーヌ(315キロカロリー)」。
特にカロリーの低い前者のお皿は、フランス・ブレス産の鶏胸肉とフォアグラテリーヌを組み合わせ、しっとりと仕上げています。鶏胸肉は、中心温度61度という細かさで調理しているとか! ソースは、エシャロットや醤油、タバスコ、トマトやチャービルの入ったエスニック調のソースと、茄子と白みそを合わせたペースト状のソースの2種類。
一言で食べた感想を言うと、とにかく軽くておいしい! さらっとしたソースからほのかに香る醤油は親しみやすさがあり、フォアグラと鶏胸肉の柔らかさは違和感なく一体に。白みそのコクとフォアグラには通じるところがあり、文句なく合います。ミックスグリーンリーフやせん切りの青リンゴも添えられているので、フレッシュ感も。見た目にも栄養バランスがとれているのが伝わってくる感じです。ゲラール氏が手掛けると、フォアグラテリーヌもこうなるのかと思わされる一皿で、まわりからも「おいし〜い」の声が飛んでいました。
桃のほうには、それに加えて「こんなに食べ応えがあるのにこのカロリーなんて!」という声がしきりに聞こえました。

メインは「和風だしでポシェしポワレしたフォアグラの野菜添え(293キロカロリー)」または「フォアグラ・ポトフ(255キロカロリー)」。
フォアグラ50gを使っても293キロカロリーという驚きの一皿は、歯ごたえを残す程度に軽く茹でたたっぷりの野菜とともに、しっかりとした和風だしで食べるという趣向。ポトフは、牛テールと鴨モモ肉を主体に作った肉団子の真ん中にフォアグラが入り、それを薄く切った輪切りの大根で包んでいます。こちらにも野菜がたっぷり。お肉たっぷりで満足感があるのに、このカロリーは心から嬉しい!

そしてデザートです。
「りんごとライムの軽やかスフレ(242キロカロリー)」または「桃のポシェ、ルッコラのシャーベット ミント風味の赤い果実のソース(116キロカロリー)」。
さすがにフォアグラは使われていませんが(笑)、いままでの流れと全く変わらない軽やかさで、非常にバランスのとれたものでした。そして、スフレも桃も、想像以上に大きかったのです! 運ばれた時の華やぎも文句なしでした。
レシピをみて、なるほどと思ったことが。いずれのデザートにも、まったく粉が使われていないのです。もたれない大きな理由はそこにありそう。フルーツを主体に、酸味や香りを上手に使い、味にメリハリをつけて仕立てているので、食べ心地は爽やか。後味はすっきり。とても心地のいい食後でした。

Menu



鶏肉とフォアグラのテリーヌ
野菜、茄子のピューレ《キャヴィア・オーベルジーヌ》 味噌風味




このひと皿に、炭水化物はたったの1.56グラムだそう! やわらかなフォアグラ、フレッシュの野菜、そしてカリカリのクルトンものって、食感にもメリハリが。




和風だしでポシェしポワレした
フォアグラの野菜添え




お皿の真ん中に、ドーンとフォアグラが。ポシェ(蒸し煮)したあと、さっとポワレしている。かなり力強い和風だしには、カボスやレモン果汁や生姜もはいっている。




りんごとライムの軽やかスフレ




ふわふわのスフレ。粉を全く使わないので、本当に軽やか。卵臭さもなく、ライムの酸味が際立った、超軽やかスフレ。こんな量もあっという間に食べ進んでしまう。



または・・・


セップと桃のフォアグラテリーヌ




桃の食感とセップの香りが印象的なひと皿。フォアグラのテリーヌが軽くて、フォアグラのお料理と言うよりムースのケーキを食べたような感じ。




フォアグラ・ポトフ




通常なら網脂で包んであるかと思うところだけれど、この透明感のある包みは大根! 味もしっかりしているのに、ひと皿食べても塩分は0.6グラム(食塩相当量)と聞いてさらに驚き。




桃のポシェ、ルッコラのシャーベット
 ミント風味の赤い果実のソース




ミントの香りとベリー類の酸味と甘さのバランスのいい爽やかなソース、フレッシュ感のある桃にルッコラの風味が加わり、新しい世界が広がったよう。





「ヘルシーフォアグラプロジェクト」に拍手を送りたいくらい、コースは大満足でした。
これからは、ここまで軽やかなフォアグラ料理が、多くの店に積極的に取り入れられていくかもしれません。いかに軽やかであるかということが美食の基準の一つ(しかも重大な)になるなんて、わたしたちも随分贅沢になったものです。
ひとつだけ注意すべきことがあるとすれば、軽やかであっても、おいしい料理にはついついワインも進んでしまうというもの。ワインやパンのカロリーは入っていませんので、あしからず!




panaderia topへ戻る