Text by Chiemi Sasaki  


新米、新じゃが、新酒…旬を先取りする初物には心が躍ります。ワインだってボジョレー・ヌーヴォーあり、最近では小麦ヌーヴォー使用のパンも登場しています。お菓子だって旬の果物でできないこともないけれど、
もっとベーシックな部分でヌーヴォーと呼べるようなもので人々をわくわくさせたい。そんな新発想をかなえたのが「アンリ・シャルパンティエ」。同ブランドの代名詞ともなっているフィナンシェに、今年8月中旬に収穫されたばかりの初摘みアーモンドだけを使用し、香り高く焼き上げたアーモンド・ヌーヴォー限定品として「初摘みアーモンドフィナンシェ」が登場しました。‘初摘み’と聞いただけで心そわそわ、スタンダードなフィナンシェとどう違うのかも興味があるところですよね。そこで「銀座メゾン アンリ・シャルパンティエ」ではアーモンド・ヌーヴォー解禁を記念し、もっとフィナンシェの魅力を知ってもらおうとプレス向けフィナンシェセミナーを企画。そのセミナーにお邪魔してきたので、様子をお伝えします。

銀座メゾン アンリ・シャルパンティエ

セミナーの会場となった1Fのバーメゾン

「初摘みアーモンドフィナンシェ」は1個売りの他、デザインパッケージ入りも



会場は銀座2丁目にある「銀座メゾン アンリ・シャルパンティエ」。今年4月にオスマン様式のパリのアパルトマンをコンセプトとした銀座店がさらにモダンを深めグランドオープン。セミナーは入り口すぐ左に新設された、お酒とスイーツを楽しむコンセプトの「バーメゾン」にて行われました。
カウンターテーブルに用意されていたのが、フィナンシェ3種類と材料になるアーモンド3品種4種類。アンリ・シャルパンティエの定番フィナンシェと、初摘みアーモンドフィナンシェ、そしてこれもまた新登場となるディープローストフィナンシェに使われるアーモンドを粒の状態でテイスティングしてみるというものです。
まずは初摘みアーモンドフィナンシェで使われるノンパレル種。カリフォルニア産では最も流通量の多い品種で、甘さも香りもニュートラルですが、一番早く収穫できる(早生)品種というメリットを生かし、9月初旬に粒のまま空輸。生地に混ぜ込む直前に皮を剥き粉に挽くという時間差のない工程にすることで、フレッシュで豊かなアーモンドの香りを引き出すことができるといいます。粒のままではさほど特徴を感じないノンパレルがどう化けるのかが気になるところです。
次に定番フィナンシェに使用されるカリフォルニア産のフリッツ種皮なしを試食。ノンパレルより香ばしく甘く感じます。そして同じく定番にブレンドされるスペイン産マルコナ種は、ソフトな食感と甘さが際だちます。
最後にディープローストフィナンシェに使われるフリッツ種の皮つきを試食。少々皮の渋みと青っぽさも感じましたが、他品種よりもアーモンドらしい香ばしさが際立つ特徴が、ディープローストによってフィナンシェにどのような深みを与えるかが楽しみ。

フィナンシェとフィナンシェに使われているアーモンド4種類のテイスティング

初摘みアーモンドフィナンシェに使われるノンパレル種 よく見るアーモンド形をしているフリッツ種。香ばしさで定番フィナンシェに使われる

マルコナ種は丸みをおびていて甘い。定番フィナンシェに使われる 皮つきフリッツ種は特徴を生かしてディープローストフィナンシェに

個包装された3種のフィナンシェ



そしていよいよフィナンシェの試食、同時に「フィナンシェとお酒のマリアージュを楽しむ」体験です。「まずはフィナンシェの袋を開封した瞬間の香りを嗅いでみてください」。
なるほど、ファーストインプレッションは香りで決まる。ワインを抜栓したコルクを嗅ぐように、袋に入ったままのフィナンシェを鼻元に近づけます。するとどうでしょうか。さほど特徴のないノンパレルが、驚くほどイキイキとしたアーモンドの甘い香りを放ったのです。ボジョレー・ヌーヴォーのような、新鮮だからこそ弾ける美味しさが、初摘みアーモンドフィナンシェにはありました。その後に開けた定番マルコナ&フリッツ種のフィナンシェのバターリッチな風味との違いは明らか。面白いですね。一方ディープローストフィナンシェは、香ばしいアーモンドの芳醇な香りにうっとり。ほんのり忍ばせた塩が、後味にじんわり甘さを感じさせます。同じ材料、同じレシピで作ってもアーモンドを変えるだけで味の幅や季節感が表現できることがわかりました。
そして大人のお楽しみ、お酒とのマリアージュへ。1杯目はモエ・エ・シャンドンのシャンパーニュと合わせてみます。万能といわれるシャンパーニュですが、人によっては合わないという意見もあるそうです。でも雰囲気はやっぱり最高。定番フィナンシェの発酵バターやナッツの香りでいただくとうっとりです。2杯目はウィスキー、山崎12年です。立ち上るヴァニラ香がどのフィナンシェにもぴったり。特にディープローストフィナンシェのキャラメル香とのマッチングが印象的でした。
実はこの「フィナンシェとお酒のマリアージュを楽しむ」という企画は、「銀座アンリ」にてアンリ・シャルパンティエのお菓子の新しい楽しみ方を学ぶ「école de Henri(エコール・ド・アンリ:アンリのお教室)」の第1シリーズとして、8月29日(土)から毎週土曜日に開講しているプログラムのダイジェスト版。実際には70分でフィナンシェ基礎講座、フィナンシェ素材体感、8種類の洋酒とマリアージュ・テイスティングができる充実の内容。会費もお手頃とあってすでに12月5日の終了日まで満席。ただしキャンセル待ちもできるそうなので、興味がある方は直前のチャンスにかけてみては!?


最後に「サロン・ド・テ」で供される秋の新作デセールから、「初摘みフィナンシェのデセール」を試食。初摘みフィナンシェの生地をオーダー後に焼き上げる贅沢なプレートにはプレーンの他、栗とチョコの2つの味わいが。焼きたてフィナンシェはエッジがカリッと香ばしく、中心はふんわり。添えられたキャラメルアーモンドのパルフェとの温冷ギャップも楽しい。ちなみに栗とチョコのフィナンシェが山崎12年と絶妙なマリアージュ! 最後までフィナンシェ三昧な発表会でした。

フィナンシェとのマリアージュに登場のモエ・エ・シャンドンのシャンパーニュ

焼きたてはここだけの贅沢「初摘みフィナンシェのデセール」。お酒とのマリアージュを楽しみたい

バーメゾンのお酒。たまにはスイーツをお酒と楽しんでみては

尾ア顕一マネージャーの軽快なレクチャーも楽しみな「école de Henri(エコール・ド・アンリ」の「フィナンシェとお酒のマリアージュを楽しむ」教室


アンリ・シャルパンティエのフィナンシェは今年、年間販売数でギネス世界記録に認定されたそうです。(23,664,327個/2012年10月1日〜2013年9月30日)
フィナンシェ販売40周年となる2015年、新たな記録とともに新たな提案からも目が離せません。初摘みアーモンドフィナンシェは9月23日から10月13日まで3週間の期間限定販売。続くディープローストフィナンシェは10月14日から12月31日の期間限定販売。いずれもアンリ・シャルパンティエ全店舗とオンラインショップで展開。みなさんもアーモンドの違いで季節を感じてみてはいかがですか。

10月14日から販売開始となる「ディープローストフィナンシェ」


アンリ・シャルパンティエ公式サイト
 http://www.suzette-shop.jp/henri




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