Text by Chiemi Sasaki  


「木頭ゆず」〜このブランドを知る関東の人はさほど多くはないのでは? 実は日本の柚子の大半が「木頭ゆず」からの株分けと言われています。色形美しく、傷ひとつない「木頭ゆず」は、そのほとんどが料亭、旅館といった高級店で柚子釜などに使われているそうです。そのため一般には知られていないのかもしれませんね。

そもそも「木頭ゆず」の育つ木頭(きとう)とはどんなところなのでしょうか? 木頭情報発信サイト「ぬくいぜんか」によると、「四国のチベット」「消滅する可能性のある村13位」「平家の落人伝説の村」のキャッチで紹介され秘境ムード満点。98%が森林で、実際最寄りのコンビニまで車で1時間かかるというのだから、都会に住む者には生活の想像もつきません。でもだからこそ、ゆずのある伝統的な日本の食文化が残っているのですね。「かきまぜ」は木頭でゆずを使った代表料理。いわば五目ちらしのようなもので、土台となるすし飯を作る際、柚子果汁をお酢の代わりに使います。昔からおもてなしやお祭り、お正月など人が集まる時に季節の旬のものを入れ「かきまぜ」を作るそうです。

柚子畑の風景 香り高い木頭ゆず


柚子は日本人に欠かせない柑橘ですし、和食が世界文化遺産に認定された今、海外からの注目度も高い農産物。そこで「木頭ゆず」のすばらしさを、まずは日本人に知ってもらいたいと、「木頭ゆず」の応援団〜徳島県・木頭ゆずクラスター協議会〜が動き出しました。この秋から、都内各所で「木頭ゆず」を使ったスイーツフェアを開催するにあたり、試食会が開かれたのでご紹介します。

手間暇かけて栽培された木頭ゆずとゆずスイーツたち。料亭に行く高級品だけあり、抜けるようなイエローが美しい



一品目は絞りたての木頭ゆずを炭酸で割ったドリンクと「柚子フリーズドライ」。爽やかな香りと酸味で喉を潤し、種なしの柚子をそのままフリーズドライにしたスライスを少しちぎって口にすれば、ゆずの香りと酸味そのものが口のなかで広がります。厚さ約1cm、直径5cmほどのスライスは甘みも何も加えていないので、紅茶やサイダーに浮かべる以外にも、お料理やお菓子にも使えそう。またクリスマスのオーナメントとしてツリーに飾ってみるのもアロマティックでいいですよね。

お次は「木頭ゆずのガトーウィークエンド」と「タルトフロマージュ(木頭ゆず)」。一般にはレモンをきかせるフランス伝統菓子ガトーウィークエンドを、木頭ゆずの果汁と皮をたっぷり使って仕上げたそう。生地を覆うアイシングシュガーにも柚子果汁が使われ、爽やかな香りとともにしゃりっと崩れる食感としっとり感がたまりません。タルトフロマージュはタルトのざっくり感が人気のタルト専門店「タルトソレイユ」が作ったもの。柚子果汁とピールの爽やかな風味を濃厚なクリームチーズに混ぜ込んだなめらかなフィリングとのコントラストが楽しめます。

そしてキューブ状の冷菓「コロコロシャーベット(柚子シェイプ)」が登場。ネットに収まった産直柚子を模したユニークな入れ物に入ったシャーベットは、木頭地区の契約栽培柚子果汁と山の湧水、国産粗製糖、国産無漂白寒天などシンプルな材料だけで作ったこだわりの品。それだけに固めだけどナチュラルな味が心地よい。一口サイズというのも食べやすくどこか懐かしい感じがします。

ゆずサイダーと「柚子フリーズドライ(柚冬庵)」。ちぎってそのまま食べたりサイダーに入れてみたり、使い方はあなた次第 「木頭ゆずのガトーウィークエンド(市岡製菓)」(左)と「タルトフロマージュ〜木頭ゆず〜(タルトソレイユ)」(右) 「コロコロシャーベット〜柚子シェイプ〜(きとうむら)」はパッケージがユニーク



最後は木頭ゆずジャム3種類の食べ比べ。一口にジャムといっても、作り手によってかなり表現が違います。皮の苦味の抜き方、切り方、砂糖の選び方がみな違うので、びっくりするくらい好みが分かれると思います。パンに塗るか、ヨーグルトに入れるか、お茶に、はたまたウイスキーなどお酒のお供に合わせるかなど、用途でも使い分けができそうですよ。会場となった銀座のジンジャー 銀座本店特製のリコッタパンケーキと合わせて好みのジャムを見つけるという試みとともに、それぞれ意見が飛び交い盛り上がりました。

左からチャンクしっかりで粗目糖の甘さこっくりの「ゆずマーマレード(黄金の村)」、ピュレに近い「木頭ゆずとはちみつジャム(柚冬庵)」、苦味がきいた大人味の「柚子マーマレード(きとうむら)」


銀座のジンジャー 銀座本店特製のリコッタパンケーキと柚子ジャムをあわせて


会場内にはこれらスイーツと「木頭ゆず」のディスプレーとともに、柚子果汁しぼり道具がありました。最初に供された柚子サイダーは、てこの原理を利用したこの道具で手絞りされたのです。帰りがけちょっと体験させてもらうと、優しく果汁が流れ出すと同時に、立つ香りの気持ちいいことったら! 木頭が秘境のイメージから、柚子絞り、香り漂うなごやかな場所へと変化していきました。

会場にディスプレーされた木頭ゆずを絞るイメージポスター。雰囲気あります 会場に持ち込まれた絞り機実物



冬至の柚子風呂、お正月の柚子釜など、冬の香りを運んでくれる柚子。紹介したスイーツはネットでも注文できますが、11月下旬までの期間限定で、「木頭ゆず」スイーツのフェアを都内数か所で開催中です。ぜひこの機会に、木頭へ旅する気分で足を運んでみてはいかがでしょうか?


木頭ゆずフェア
日程:2015年11月1日(日)〜12月31日(木)
内容:ガトーウィークエンド(1200円税込)、
タルトフロマージュ木頭ゆず(バラ売り/250円税込)の店頭販売
場所:秋葉原「ちゃばら」
TEL:03-3258-0051(日本百貨店しょくひんかん)
アクセス:JR秋葉原駅 電気街口より徒歩1分
http://www.jrtk.jp/chabara/

メニュー提供:1
日程:2015年11月1日(日)〜12月31日(木)
内容:ガトーウィークエンド、タルトフロマージュ木頭ゆずを使ったデザートプレート
場所:秋葉原「ちゃばら」内 「徳島ダイニング」
TEL:03-3258-0051(日本百貨店しょくひんかん)
アクセス:JR秋葉原駅 電気街口より徒歩1分
http://www.jrtk.jp/chabara/

メニュー提供:2
日程:2015年10月19日(月)〜 なくなり次第終了
内容:期間限定でタルトフロマージュ木頭ゆずをお召し上がりいただけます(詳細調整中)
場所:銀座のジンジャー 銀座本店
東京都中央区銀座1丁目4-3 1階/2階
TEL:03-3538-5011
URL:http://www.cep-shop.co.jp/contents/ginza.html#access


ご紹介した商品は、下記でご購入いただけます。
有限会社柚冬庵http://yutouan.com/
株式会社きとうむらhttp://www.kitomura.jp/
株式会社黄金の村http://ogonnomura.jp/
株式会社ハレルヤhttp://www.hallelujah-sweets.com/okaimono/
*タルトフロマージュ木頭ゆずは、タルト専門店「タルトソレイユ」ページでも詳しくご紹介しています。
http://www.tarte-soleil.com/

徳島県・木頭ゆずクラスター協議会 facebookサイト
https://www.facebook.com/木頭ゆずクラスター協議会-932479030138291/
木頭ゆずの6次産業化や輸出などの新たな取り組みを促進し、地域農業の活性化を図ることを目的とする生産者や、販売加工企業、自治体等で平成26年5月につくられた団体です。

ぬくいぜんか(木頭情報発信サイト)
http://www.nukuizenka.com/
木頭の五目寿司「かきまぜ」のレシピも掲載されています。




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