レコールバンタン主催の「Artistic Sweets Collection 2013」が、去る6月27日、東京ミッドタウンの「ビルボードライブ・東京」にて、開催されました。
「Artistic Sweets Collection」とは、レコールバンタンによる、スイーツで五感を魅了するコレクションイベント。第7回目となる今回は、「Bon Voyage! Sweets & The City」と題して、「クラブ デ シュクレ パリ」と「クラブ デ シュクレ ジャポン」のメンバーである一流シェフ達により、東京・ニューヨーク・パリ・ウィーン・バルセロナの5都市からインスピレーションを得たスイーツが紹介されました。

初めに、各都市をイメージしたフィンガーフードが配られました。


<東京>
海苔と明太子をパートフィロで包んだもの。
<ニューヨーク>
ティースプーンの上に、グラハムクラッカー、モッツアレラチーズ、ベジタブルゼラチンで固めた冷製トマトスープ。
<ウィーン>
バジル入りのシューに、ソーセージ、クリームチーズ、焼いたパルメザンチーズ、ドライトマト。
<バルセロナ>
ドライトマトとオリーブオイルを混ぜたブリオッシュ生地の上に、オリーブオイルの泡、そぼろ状のオリーブオイルをのせたもの。
<パリ>
薫製した豚肉を生クリームと牛乳に浸し、トーストの上にのせたもの。


<東京>(左)と<ニューヨーク>(右) <ウィーン>
<バルセロナ> <パリ>


どれも、個性的な味わいが光る品々でした。

最初に、壇上に登場したのは、2009年世界パティスリー日本代表、2011年クープデュモンドドゥラパティスリー日本代表を務めた、「レコールバンタン」パティシエの鍋田幸宏氏。自分の住んでいる街、東京を表現しました。
東京=おもちゃ箱というイメージから、テーマをおもちゃ箱として、色々な国の文化を吸収して受け入れた街、東京を、子供の頃に遊んだレゴで表現しました。そして、その中心には、東京のシンボル、東京タワーがそびえ立ちます。
お菓子は、タワーをイメージしたサブレアマンドが印象的。柚子の白いクリームにフランボワーズの赤が鮮やか。

「レコールバンタン」パティシエ、鍋田 幸宏氏の作品


次に登場したのは、ワールドチョコレートマスターズ、二度のWPTCなど、数々のコンクールで活躍し、世界に認められている、「アステリスク」のオーナーシェフ、和泉光一氏。
ニューヨークの街を、初めて訪れたとき、印象的だった、空港から見た街並みを色で表現。
メタリックな感じの立体的なオブジェの上には、さまざまな色があふれ、イエローキャブが走り、セントラルパークをイメージする緑、アメリカらしいM&M、上部には、パープルタウンをイメージした紫の花の飴細工、ニューヨークを象徴する自由の女神が飾られています。
お菓子は、アメリカらしいチーズケーキを車に見立て、マシュマロやM&Mが飾られたポップで楽しいデザイン。

「アステリスク」 和泉 光一氏の作品


三番目に登場したのは「Le Pont Artisans(エッフェル会)」を設立し、現日本支局長で、「パティスリーSAKURA」のシェフパティシエ、森大祐氏。
ウィーンの街を、音楽の街としてイメージ。楽器を作ってしまうと、楽器の街のようになってしまうからと、耳で聞くものとして、音楽を表現されました。
お菓子は、ショコラとアプリコットで味を構成。パチパチキャンディーを使い、口の中で音楽を感じられるように仕上げ、ショコラのパリパリ感と共に、食感を楽しめるようになっています。ドーナツ型ムースの上に、ピアノの鍵盤をイメージした白と黒のチョコレート。「僕の音楽が届くように願って」作られたお菓子です。

「パティスリーSAKURA」 森 大祐氏の作品


四番目に登場したのは、二度のWPTCで活躍された「ヒロコーヒー」シェフパティシエ藤田浩司氏。
ガウディのイメージ、明るく色彩にあふれたイメージを表現。大きく花開いたオレンジ色の花で、スペインの情熱、明るい太陽のイメージを表わしました。
お菓子は、バルセロナの伝統菓子をイメージし、アーモンドタルトには、油脂部分に、マシア(スペインの青々しいオリーブオイル)とスペイン産の良質なアーモンドを使い、上には、スペインでよくみられる青りんごを使ったムースジュレ。ムースにも青りんごを使った繊細な味わいのお菓子でした。

「ヒロコーヒー」 藤田 浩司氏の作品


最後の都市、パリを表現したのは、「アシッドマカロン」オーナーパティシエ、ジョナタン・ブロ氏です。
アレクサンドル3世橋でファッションショーというテーマでシックに表現されたパリ。
ルリジューズを、その語源である尼さんのイメージをより強く感じさせるデザインで仕上げ、橋の上に飾られました。
お菓子は、そのルリジューズが二種類。それぞれ、チョコレートクリームとキャラメルクリーム入りです。

「アシッドマカロン」 ジョナタン・ブロ氏の作品


途中、司会を務めた元フォションシェフパティシエ、現「エクレア・ド・ジェニ」 スイーツプロデューサーのクリストフ・アダム氏も、ステージで、缶に詰めた「ガトー・ド・ボワイヤージュ」のデモンストレーションを披露しました。缶の中に、ジャンドゥージャクリーム、モワルーショコラ、ミルクチョコレートのクリームを詰めた「携帯できる」スイーツです。食感として、ナッツやカカオ二ブのロースト、シュトロイゼル、彩りとして、メタリックな色のゼリーを加えた新しいスタイルのガトー・ド・ボワイヤージュ。これは、来シーズンに発表されるエクレアと同じデコレーションだそうです。

クリストフ・アダム氏の表現した携帯できるスイーツ「ガトー・ド・ボワイヤージュ」。これと同じデコレーションで登場するという来シーズンのエクレアが気にな るところ


作品がずらりと並んだところは壮観です。



今回のイベントは、「クラブ デ シュクレ ジャポン」の初めての発表の場でもありました。 スイーツの持つ「デザインのチカラ」をさらに底上げし、次の世代を担うパティシエの「創作」をサポートし、さらには、世界で活躍されるパティシエをもっと増やしたいという思いから、「クラブ デ シュクレ パリ」メンバーの支援のもと、準備を進めてこられたそうです。 スイーツ業界の活性化とスイーツデザインの普及・支援をしていくことを目的とし、パティシエ自らが最新のクリエイションでスイーツを表現していく。 イベントの他、パティシエ同士が交流・意見交換をして、互いに刺激しあい、高めあうことができるようなクラブをめざしていきたいとのこと。これからが楽しみですね。


「食」のデザインスクール レコールバンタン
http://www.lecole.jp/






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