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日本人は外国の食を取り入れるのが好き。
例えばフランスのフォションやエディアール、イタリアのペック、イータリー、英国のフォートナム&メイソン、アメリカのディーン&デルーカなど、名だたる欧米のグルメストアが日本に進出するごとに、その国の食材、食文化が人々の好奇心を掻き立ててきました。

次なる国はスペイン。この4月24日、スペインの食文化を背負って立つグルメストアが、二子玉川ライズ・ショッピングセンター・テラスマーケットに日本初上陸を果たしました。それがマドリードに1931年創業の「パステレリア・マヨルカ」です。

外からガラス越しに見えるパンコーナー。

お店のおすすめをプレゼンテーション。

オープン記念の「Liberty Bell×Mallorca」の刺繍入りキャンパスバッグ。エンサイマーダなどマヨルカのアイテムをデザインしたかわいいトートは早くも品薄状態だとか。


旅好きの人がマヨルカと聞けば、思い浮かぶキャッチが‘ヨーロッパのハワイ’。バルセロナの南、地中海に浮かぶマヨルカ島は、ショパンが病気療養のために愛人ジョルジュ・サンドと過ごしたことでも有名ですが、太陽を恋い焦がれるドイツや英国など北ヨーロッパからの定期&チャーター便が数多く発着する一大リゾートなのです。その帰路、多くの旅行客が手に提げているのがエンサイマーダというマヨルカの伝統菓子。発酵生地にラードを塗ってくるっと棒状にした生地を、とぐろを巻いた形にして焼き、砂糖をふりかけたエンサイマーダは、見た目のインパクトと食べやすさで恰好のお土産になるのでしょう。

創業者ベルナルディーノ・モレーノと妻のマリア・ガルシアは、このエンサイマーダをマドリードで販売することにちなんで、店名を「パステレリア・マヨルカ」と決めたそうです。スペイン本土の人々に、‘いつでも出来立てのエンサイマーダを楽しんでもらいたい’という思いで始めたところ、あっという間に評判となり、その後も常に旅とイノベーションを重ね続け、マドリード近郊に11店舗を構える王室御用達のグルメストアへと発展していったのです。その「パステレリア・マヨルカ」が、スペイン国外で初めて店を構えたのが、東京・世田谷区の二子玉川駅前。いわゆる都心のデパ地下ではない、住宅街隣接のショッピングセンター路面に開いたのは、本国スペインの「パステレリア・マヨルカ」が高級住宅街にあるこだわりのグルメストアで、常に職人が作りたての美味しさをお届けするという世界観を伝えられる場所だから、と株式会社マヨルカ・ジャパンの代表取締役社長・多代圭悟さん。

それではパステレリア・マヨルカの扉を開き、店内をみてみましょう。
マーケットの棚に陳列されているのは、スペインワインやワイン周りのグッズ、ワインのお供になりそうな魚介の缶詰、ソース、ジャム、チーズや生ハムなど。パステレリア(パティスリー)の冷蔵ケースには、お店のベストセラーであるオペラの他、洗練されたケーキたち、その横にはバラエティ豊かなチョコレートが並びます。どことなくフランス菓子っぽさを感じるのは、製造責任者のミゲル氏がルレ・デセールの会員だからでしょうか。

お手頃でクオリティの高いスペインワインや、おしゃれなデザインのワインオープナーなどワイン周りのグッズも揃います。

パスタス(焼菓子)や様々なジャム類も豊富に店内を彩ります。中にはスペインっぽいオリーブのジャムも。


プロの職人が無添加で作るデリカテッセンには、ポテトアリオリサラダ、トルティージャ(スペイン風オムレツ)など、スペインを代表するメニューや健康にも配慮した野菜ふんだんなお惣菜の数々が目にも鮮やかに配置されています。出来立てのトルティージャやハム、チーズ等を自家製パンに挟んだスペイン式サンドイッチ'ボカディージョ'には目移りしてしまいそう。

そしてパナデリア(パン)コーナーには、エンサイマーダをはじめ、スペイン産マルコナアーモンドから起こした天然酵母のパン・デ・ラ・カサ(田舎パン)や、日本店オリジナルの食パン〜スペイン産ハチミツ風味角食パンなど、ここならではの品が目をひきます。そのほかバゲット、クロワッサン、チョコレートクロワッサンといった世界的定番があるのもうれしいですね。


ルレ・デセール会員でもあるミゲル氏の作るチョコレートは、それぞれの具材によってカカオを使い分けるこだわりの品。スペインからの直輸入品です。

ケーキは普通サイズの他、パステレス(プチケーキ)もあるので、気になる味を多種食べたい向きにはうれしい。右上がコロンビア産コーヒーを使ったお店自慢のオペラ。

マルコナアーモンドから起こした酵母で焼くパン・デ・ラ・カサ(田舎パン)は、ほんのり酸味があるシンプルな食事パン。大きさも選べます。

日本人には欠かせない食パン、スペイン本部に提案しつつ、やりとりの上完成させたそうです。

ボカディージョの一種。写真は一口サイズですが、お店にはMサイズ、Lサイズと3つの大きさがある。お腹の具合によって選べるのが新しい。


6種類のエンサイマーダはオリジナルBOXに詰めればちょっとしたお土産に喜ばれそう。あっ、これどこかドーナツに似ている…と思ったのは私だけでしょうか!? くるっとしたルックスも、食べた感じもイースト系のふんわりドーナツを思わせます。 聞けば6種類のうち、スペインで実際売られているのは2種類(プレーンとアーモンドペースト入りのトルテル)だけで、具材のトッピングされた4種類は日本限定オリジナルなのだとか。見た目も楽しくおいしさを広げる工夫は日本ならでは。うれしい特典ですよね。クラシックなデザインの赤い紙箱もなんと日本のオリジナル。スペインがそのまま来た雰囲気を醸しつつ、日本のサーヴィスに合った演出をするところはさすがです。


看板商品のひとつ、エンサイマーダ。ふんわり甘い香りが漂ってきます。

ラードを塗って巻き込んだエンサイマーダの断面は少しデニッシュのような層が出来ています。バターとは違ったこくのある風味が魅力。

エンサイマーダ6個入りボックス。左上から時計回りにクレマ(バニラ風味の濃厚バタークリームサンド)、プレーン、チョコラテ(ベルギー産チョコレートがけ)、トルテル(スペイン産マルコナアーモンドペースト入り)、ナランハ(香り高いオレンジピールのせ)、クランベリー(ドライクランベリーとなめらかなクリームチーズ入り)。

日本用のデザインボックス。八角にしてマヨルカ島のエンサイマーダ箱の形を取り入れたのでしょうか。

マヨルカでもうひとつの人気菓子トリハ。いわゆるスペイン風フレンチトーストで、日本人が好むテイスト。


左奥にはカフェ&バーコーナーがあり、カフェやスペインワインとともに、店内のパンやケーキ、タパスやお料理がいただけます。そういえば、スペイン人は一日5食っていいますよね(笑)。朝、昼、夜とその間、一日を通し気軽に立ち寄れるお店は今まであまりなかったスタイル。これからの季節、ショッピングがてら二子玉川の緑を眺めながら一杯、なんて気持ち良さそうですよ。

スペインはパエリヤと生ハム、アヒージョくらいと思っているみなさん、まずはエンサイマーダやボカディージョでスペインの食の豊かさに触れてみてください。


パステレリア・マヨルカ
 http://www.pasteleria-mallorca.jp/





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