取材・文 佐々木 千恵美  


9月26日、ラ・メゾン・デュ・ショコラのクリスマスとバレンタインコレクション発表会が開催されました。会場は、渋谷のTRUNK HOTEL KEYAKI ROOM。センターにグリーンやキャンドルをあしらったシックで優雅なテーブルとライティングが、パリの雰囲気を感じさせます。

TRUNK HOTEL KEYAKI ROOM ウエディングにも使われるとあって演出もエレガント。


スクリーンが設置されたステージには椅子が2客。そうです、今年は本国フランスからM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)取得のシェフ・パティシエ・ショコラティエ、ニコラ・クロワゾー氏が来日し、直接コレクションの紹介をしていただくとともに、ショコラ愛好家でタレントの楠田枝里子さんをゲストに迎え、二コラ氏との対談が用意されていました。

はじめに二コラ氏、次にショコラ色の衣装で楠田さんが登場すると、会場からは盛大な拍手が。着席の前に、もっと椅子の距離を近づけたいと楠田さん。始まる前から熱いショコラトークが繰り広げられそうな予感が…。パリには何度も行っている楠田さんですが、二コラ氏と会うのは初めてなのだとか。


2007年M.O.F.(フランス国家最優秀職人章)ショコラティエ部門を獲得した二コラ・クロワゾー氏。長年メゾンで装飾の腕を振るってきた二コラ氏は、チョコレートの建築家といわれている。

初めて会う二コラ氏と握手を交わす楠田枝里子さん。


楠田さん「ラ・メゾン・デュ・ショコラは今年創業40周年、日本に上陸して20年ですが。」

二コラ氏「20年前は、私がラ・メゾン・デュ・ショコラに入って2年目でした。4年ほど修業したところで、ランクス氏に芸術的センスを認められたのです。」

二コラ氏といえば、毎年クリスマスコレクション発表会で展示されるアートピース。薄いチョコレートにミリ単位の穴をいくつも施し、組み立てていくち密で繊細な作品には、ずっと見入ってしまいます。

二コラ氏「いろいろなテクニックの中で、チョコレートに透かしを入れることを得意としています。2007年に取得したM.O.F.試験では、この透かし技術が高く評価されました。ラ・メゾン・デュ・ショコラでは年間4つ、クリスマス、バレンタイン、イースター、夏のコレクション用にアートピースを作っているのですよ。アイデアからだいたい1年がかりの仕事です。」

なんと、家を建てるのと同じくらいじっくり時間をかけるのですね。

ラ・メゾン・デュ・ショコラと二コラ氏の哲学を聞き出す。


楠田さん「今日はブルーのパンツにブルーの靴紐ですね。」

二コラ氏「よくお気づきですね。そのあたりもランクス氏から学んだことのひとつです。細かいことに気を使いなさいと。ランクス氏はチョコレートの魔術師でした。思いつきで作るので、レシピの再現が難しいという一面もありました。‘永遠に満足しない完璧主義’で、悪くはないねというのは、良くないという意味でした。10年一緒に仕事をしていたので、DNAの影響を受けないわけがありません。」

ラ・メゾン・デュ・ショコラのテイストを受け継いだ二コラ氏はいいます。

「上質のワインも品種をアッサンブラージュ(ブレンド)して作るように、ショコラも色々な産地のカカオを使う事を教わりました。」

ブレンドすることで、ファーストノート、ミドルノート、ラストノートの3段階で、香り、味わいの表現が豊かになるのです。もうひとつは味のバランス。酸味と苦味をあまり突き詰めすぎないこと。


ラ・メゾン・デュ・ショコラのギフトボックス。受け取った人が誰しも幸せを感じるシックなデザインと質感。


楠田さん「このメゾンをどう発展させようと思っていますか?」

二コラ氏「2012年からチーフクリエーターになりましたが、クリエーションには3つの軸があります。まずはランクス氏のメゾンらしいアイコンをキープしていくこと。でもこれがなかなか難しい。同じ味を、時代に合わせて味の調整をし、そのうえで昔ながらのお客様にも現代のお客様にも満足していただくことです。」

熱いショコラトークが続く中、新作の紹介と試食も行われました。

クリスマスコレクション2018年のテーマは「レーヴ ドゥ ノエル」。特別に製作されたアートピースは様々な仕上げの繊細な細工を施した78個のチョコレート玉でできた「サパン ビュル ドゥ ノエル」というクリスマスツリー。妖精の住む夢の世界を表現したクリスマスツリーには、78個のショコラボールのうち8個には妖精たちがクリスマスまでにプレゼントを用意する姿が、フレームアートのように立体的に作りこまれています。ちょっと時計のように見えるデザインもニコラ氏の仕掛け。クリスマスを待つ、わくわくする気持ちが伝わってくる素晴らしい作品です。


「サパン ビュル ドゥ ノエル」 高さ約80p、重量約5.5kg 非売品

製作には40時間。妖精が動き出しそうなボールに見入ってしまう。 水圧で精巧にカットしたロゴ。透かし技法がふんだんに使われている。



ショコラコレクションは3つ。妖精たちが魔法をかける夢と喜びをファンタジックに描いたデザインパッケージの「ショコラ カレンダー2018」、「レーヴ ドゥ ノエル」限定デザインパッケージボックス、夢見る妖精のデコレーションをあしらったプラリネのブシェ「リュタン レヴール」は食べるのが勿体なく思えるほど。

クリスマスコレクション2018 「レーヴ ドゥ ノエル」
2018年11月15日発売予定


「ショコラ カレンダー2018」 ¥9,000(税別)
12月1日〜24日の中にはお楽しみショコラが一粒ずつ入っている。味わいながらカウントダウンを。
「レーヴ ドゥ ノエル」メゾンの象徴的なギフトボックスを限定デザインパッケージで。


アタンション「レーヴ ドゥ ノエル」 16粒入 ¥5,000(税別)

トリュフ パルフメ「レーヴ ドゥ ノエル」 30粒入 ¥6,900(税別)

アソルティモン「レーヴ ドゥ ノエル」 約40粒入 ¥10,000(税別)



「リュタン レヴール」 110g ¥4,500(税別)
ミルクチョコレート、ホワイトチョコレートでできたリュタン(妖精)が、アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、オランジェット入りのプラリネ・ブシェにあしらわれている。


コレクション発表会では、「レーヴ ドゥ ノエル」の中からキト、アンダルシア、フィガロ レの3種類を試食させていただきました。

キト: 3種類のカカオを使い、カカオ65%ほどに。ダーク100%ではなく、ミルクをほんの少し入れることでまろやかに。

アンダルシア: レモンの皮で風味をつけたクリームを入れた爽やかなガナッシュ入り。ランクス氏はスペイン産レモンを使っていたが、二コラ氏は酸味の穏やかなフランス、マントン産を使用。

フィガロ レ: ミルクチョコレートのプラリネ。ナッツ感とソフトなミルクチョコレートの口当たり、ほんのり塩味も。




そしてバレンタイン2019年のテーマは「ヴェルティージュ ショコラ」。大好き(beaucoup)、情熱的に好き(passionnement)、狂おしいほど好き(a la folie)…揺れ動く想いを花占いにたとえて表現した4種類の限定レシピを、パリのメリーゴーランドをデザインした限定ギフトボックス入り3サイズと、大きなハート型のブシェに仕立てたプラリネで構成されたコレクションです。

バレンタイン2019年 「ヴェルティージュ ショコラ」
1月中旬発売予定

ヴェルティージュ ショコラ
4粒入 ¥1,950(税別) 9粒入 ¥3,250(税別) 16粒入 ¥5,000(税別)

ボークー ドゥ キャラメル〜大好き〜
とろけるようなガナッシュと、ほんのり塩を感じるクリーミーなトフィーがめくるめく甘美なキャラメルの味わいを繰り広げます。
パッショネモン ショコラ 〜情熱的に〜
ドミニカ共和国産のカカオのダークガナッシュを、パッションフルーツの薄い層で上下サンドした、フレッシュで甘酸っぱく情熱的なデュオ。
ア ラ フォリ プラリネ 〜狂おしいほど〜
アーモンドとヘーゼルナッツをたっぷり使った昔ながらのリッチなプラリネをハートにして。
パ デュ トゥー レゾナブル 〜欲望のまま〜
花びら占いではpas du tout(全然好きじゃない…)の台詞をpas du tout raisonnable (欲望のまま)として、どこまでもとらえどころのない、ふっとなくなってしまいそうなギモーヴをミルクチョコレートでコーティング。甘くクリーミーにとけあってまろやかな余韻。

ブシェ クール ア ラ フォリ 1個 ¥3,500(税別)
ホワイトチョコレートのプレートをのせたアーモンド&ヘーゼルナッツのリッチな味わいのプラリネのブシェ。





「サパン ビュル ドゥ ノエル」「リュタン レヴール」を前に記念撮影。
二コラ氏の頭の中では、すでに来年のクリスマス アートピースのインスピレーションは浮かんでいるのでしょうか?


コントラストよりも、寄り添うまろやかな味わい、時間とともに変化するアロマ。心地よいテクスチャー。創始者ロベール・ランクス氏から受け継いだクリエーションの哲学を、二コラ・クロワゾー氏のクリエーションで感じとってみてください。 


販売期間、店舗など詳細は下記サイト等でご確認ください。



ラ・メゾン・デュ・ショコラ
 www.lamaisonduchocolat.co.jp




panaderia topへ戻る