取材・文 下園 昌江  


ドイツのプレミアム家電ブランド・Miele(ミーレ)といえば、お料理、お菓子作りが好きな方であれば憧れの存在ですね!
ミーレはドイツで1899年に創業した家電ブランドで、 ビルトイン式の調理機器や食器洗い機をはじめ、ランドリー機器や掃除機などの多くの製品を取り揃えています。

今回はその中でも人気の高いオーブンを、イタリア人シェフのファブリツィオ・フィオラーニ氏が実際に使用したお菓子のデモンストレーションとテイスティングのプレス発表会が開催されました。


Fabrizio Fiorani(ファブリツィオ・フィオラーニ)氏 プロフィール
イタリア、ローマに生まれる。イタリア国内のトップクラスのレストランで修業を積んだ後、ローマの三つ星レストラン「La Pergola」でペストリー・スーシェフとなる。
東京の「Heinz Beck」開業メンバーとして来日し、2015年にはブルガリ東京・大阪レストランのペストリーシェフに就任。
2019年「Asia's 50 Best Restaurants」にてアジアのベストペストリーシェフに輝く。
現在はローマに拠点を置き、トップパティシエとして料理哲学と厳選した食材そのものの美味しさ溢れる一品を日々創りだしている。


ミーレ・ジャパン株式会社の松原社長(右)

ミーレ・ジャパン株式会社の松原社長の挨拶で発表会がスタートしました。
ミーレはアジアのレストランベスト50を決定する国際的なレストランアワード「Asia's 50 Best Restaurants」の公式パートナーでもあります。その縁もあって、2019年にペストリー部門でベストペストリーシェフに輝いたファブリツィオ・フィオラーニ氏と共に今回の会を実現することになったそうです。

フィオラーニ氏にとって、ミーレのオーブンはクオリティの高さを象徴するもので、焼き上がりが均一に仕上がるとのことでした。例えばシュー生地を焼く際に使用したスチームオーブンには全体に蒸気がでる機能があり、ほんの小さく絞った生地でもふっくらと大きく焼き上がり、焼きむらなく全体が同じように焼きあがるとのことです。


逆さまアップルパイ

今回の発表会ではミーレのオーブンを使用したお菓子4種類が紹介されました。
まずはサプライズの要素が詰まった「逆さまアップルパイ」。
名前の通り、逆さまに作られたアップルパイ。構成はとってもシンプルですが、グラスを逆さまに置くプレゼンテーションで、驚きとワクワクが一気に膨らみます。


食べる直前に逆さまにかえします

フィオラーニ氏が1つずつグラスを逆さまにかえしていきます。
そうするとキャラメルのババロアの上にりんごやサブレが着地します!こうして初めて完成するわけですね。
まろやかなキャラメルのババロアに、くるみ、りんごのソテー、サブレ(本来のレシピはパイ生地)が重なります。相性の良い素材の組み合わせなので、親しみを感じる優しい味です。


QRコードが印象的なシューティラミス

そして、こちらも見た目がユニーク!
やはりレストランでの経験がある方は、サプライズある表現がお得意ですね。

表面のQRコードを読み込むと、ミーレ・ジャパン株式会社のInstagramページにつながります。
本来は「シューティラミス」というお菓子でコーヒーのカリカリした甘い生地をシュー生地にかぶせて焼き、中にはマスカルポーネとバニラのクリーム・コーヒーのクリームをサンドして仕上げたものです。

元々は丸いシューがリング状にくっついて並んだパリ=ブレストのような構成ですが、今回は試食用にプチシューの中に濃厚なバニラクリームを詰めたものが提供されました。 小さいながらコーヒーの風味と濃厚でなめらかなバニラクリームを堪能できました。


レモンジェリーとドライフルーツのヘーゼルナッツケーキ

そして、イタリアらしい素材使いの「レモンジェリーとドライフルーツのヘーゼルナッツケーキ」。レモンの皮とヘーゼルナッツペーストを練りこんだパウンドケーキの中にはレモンのコンフィを入れ、焼成します。最後にピスタチオとヘーゼルナッツ入りのグラサージュをかけて仕上げます。
ヘーゼルナッツの香ばしい風味がふわっと漂い、レモンの爽やかな香りとマッチしています。
面白かったのが、このパウンドが提供されるお皿の代わりに、ピスタチオとヘーゼルナッツが入った
シャレ―を使用しているところ。この効果でより一層このパウンドケーキのナッツ感が高まったように感じました。

このお菓子に使用した型は調理器具の問屋街、かっぱ橋のお店で注文したものということでした。フィオラーニ氏は、日本のホームセンターや文房具店に行っては、いろんなアイデアを得たり、面白いものを見つけるのだそうです。枠にとらわれない柔軟な思考が彼の様々なお菓子の誕生へと繋がっているのだろうと感じました。


最後にデモンストレーションが行われました。
オーブンを使うデザートの代表的なものの1つ、スフレです。
今回はイタリアらしくリコッタを使用したスフレで、チョコレートスフレという名前はついていますが、チョコレートは使用せずココアパウダーを使い風味を出しています。

作り方はいたって簡単です。
リコッタ、卵黄、オレンジの皮、ココアをブレンダーでなめらかになるまで混ぜたら、卵白とグラニュー糖で作った柔らかいメレンゲを加えます。


ブレンダーで素材を混ぜ合わせていく 柔らかめのメレンゲを加える

途中パールショコラと塩を散らす カップの8分目ほど絞り入れる

グラニュー糖を内側全面にまぶした耐熱のカップに、スフレ生地を半分絞り、塩とパールショコラを散らします。再度スフレ生地を重ねて絞ります。
生地にはココアのみなので、パールショコラを使用し味のアクセントにしています。また塩は全体的な味に丸みを帯びさせるために使用しているそうです。


フィオラーニ氏の書籍「Tra L'onirico e Il Reale」

北斎の波からインスピレーションを得た作品

スフレを焼成中に、フィオラーニ氏の書籍「Tra L'onirico e Il Reale」の紹介がありました。
美しい写真と洗練されたデザインのレシピ本です。日本で仕事をしていたこともあり、北斎の波の絵にインスピレーションを得たデザインや、ドラえもんの形をしたユニークなお菓子の紹介などもあり、様々な分野から刺激を受けお菓子へとつないでいくフィオラーニ氏の感度の高さと柔軟性を感じさせるものでした。

またこのレシピ本の特徴的なところは、各材料の%表示があることです。
一般的にパンのレシピでは、小麦粉の重量を100とした%表示が一般的ですが、お菓子業界ではあまり材料の比率をレシピに表示することはありません。
フィオラーニ氏に伺うと、これがあることで、改めて自分で配合を認識しておくこと、そしてその配合を基にした時の味の感覚を知る事、そしてその配合をベースに別のお菓子にアレンジする際に非常に役に立つそうです。


仕上げに粉糖をかけます

ふっくらと美味しそうに焼きあがったスフレ

チョコレートスフレがふっくらと美味しそうに焼きあがりました。
180度で10分。途中オーブンを開けて天板を返すことなく、すべてが美しく膨らんでいます。通常のオーブンでは、どうしても焼きむらがあり焼成途中に天板を入れ替えたり場所を変えたりなどの工夫が必要なのですが、それが必要ないのがミーレのオーブンの優秀な点ですね。

熱々を口にすると、しゅわっとした泡の感覚に、ココアの風味、オレンジの爽やかさが抜けていきます。リコッタを使用しているため、少しミルキーな風味がしつつとてもさっぱりとした味わいでした。
こんな出来立てのデザートを家庭やレストランで提供されたら幸せな気分になりますね!


フィオラーニ氏と通訳の方  ミーレ・ジャパン株式会社のお二人

会の最後には、このイベントに関わった皆さんに感謝の気持ちを述べるフィオラーニ氏。
「ミーレは人と人とのつながりを大切にしているブランドです。ミーレ・ジャパン株式会社の松原社長は私と友達のような関係を築いて下さり感謝します。また今回のお菓子は約200種類の候補の中からミーレ・ジャパン株式会社の方がセレクト、企画し今日のために準備してくれました。実際お菓子を作ったのは私ですが、この数時間のために何日もかけて準備してくれたことに感謝します。」
そして、通訳の方やプレスの私達にも感謝を伝えてくださいました。

フィオラーニ氏は、技術やセンスが優れているだけではなく、人への感謝の気持ちや思いやりを大切にしていることを感じました。彼の周りにいる人々には皆自然に笑顔がうまれていました。お菓子だけではなく彼自身が人々の心を満たしていることを感じ、彼がベストペストリーシェフに輝いたのが納得できたプレス発表会でした。

発表会の終わりに、フィオラーニ氏にインタビューさせていただきました。

日本で仕事をしていた縁がある事で、日本の食材にも注目しているフィオラーニ氏。具体的にどのような食材に関心があるのか伺ってみました。
そうするとかき氷、それも天然氷のかき氷に興味があるそうです。また、黒糖にも注目していて、波照間島のサトウキビ畑に直接赴いた様子をスマートフォンの動画で見せてくれました。その黒蜜をを非常に気に入り、和三盆のアイスと合わせたデセールを自身のレシピ本にも紹介しています。それ以外にも高知県産の柑橘の餌を食べた鶏の卵は、柑橘系のデザートに使うとしっくりくるそうでよく使っていたそうです。


そして斬新なデザインが目をひくフィオラーニ氏のお菓子ですが、どんなところからインスピレーションを得ているのか質問したところ、20%は、アートや建築や自然から、そして80%は日々の仕事の中からアイデアが生まれるそうです。やはり外的な刺激も大切ですが、多くは日々繰り返して行う仕事の中で、より良いものを作り上げるという意識が新しいものを生み出すのだと感じました。

また、現在ではトップパティシエという存在ですが、子供の頃の食の体験が今の仕事に大きく影響している事も伺いました。「母は私に美味しいものを食べることを教えてくれました。私は、料理にせよお菓子にせよ、美味しいものを作るためには美味しいものを食べる経験が必要だと思っています。」と、熱く語ってくれました。

常に美味しいものにアンテナを張っているフィオラーニ氏ですので、今後どのような食材やモチーフが彼のお菓子に活かされていくのか楽しみです。


今回の様にプロの確かな技術に素晴らしい調理器具が備わったらもう完璧!ですが、ミーレのオーブンは、プロだけでなく料理やお菓子の初心者の方でも、様々なプログラムがあるので、それにしたがって調理すれば上手にできるというのが大きな魅力です。

オーブンというと「焼く」というイメージが強いですが、その他に、低温でローストビーフやドライフルーツを作ったり、鍋ごと入れて煮込んだり、茶碗蒸しやプリンのような蒸し物もできます。オーブンが温度と時間を管理してくれるので失敗することなく、且つその時間を他の事に回せるというのが嬉しいですね。

また、オーブンの周囲が熱くならないことにも気づきました。
通常のオーブンだと加熱中は、扉や周囲がかなり熱くなりますが、ミーレのオーブンは、周囲はほとんど熱くなく、やけど防止にもなるし、夏のオーブン料理も臆せず作れそうです。

実際使ってみないとなかなか分からない部分もあると思いますが、ミーレ・ジャパン株式会社では実際にミーレ製品を使って料理する体験会を定期的に開催していますので、興味のある方は体験会をお勧めします! 詳しくはミーレ・ジャパン株式会社のHPへ。



ミーレ・ジャパン株式会社
https://www.miele.co.jp/

ミーレ製品体験会について
https://www.miele.co.jp/domestic/feelmiele-2861.htm





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