取材・文 浅妻 千映子  



「味覚の一週間」の一環として小学校で行われる「味覚の授業」。各地で、講師オリジナルな食材を使ったユニークな授業が行われている。

子ども達に、五感を使って5つの味を体験しながら、食べる楽しみを知ってもらう「味覚の一週間」。フランスで始まり、日本でも今年8年目を迎えました。

その一環として行われているのが「味覚の授業」です。
日本各地の小学校の3〜6年生を対象に、シェフやパティシエ、料理研究家などが学校に出向いて講師を務め、子ども達に「味」の不思議や楽しさを驚きとともに伝えてくれます。

今回は、たくさんの学校の中から、築地にある中央区の小学校の3年生のクラスで行われた授業をレポートしてきました。

3年生の教室で、主催者から児童に、味覚の授業についての説明が。さて今日の講師は?


講師は、カトリーヌ・ブレアさん。乳製品の美味しいフランスのノルマンディー地方出身のショコラティエで、近く、日本にお店を持とうと考えているそうです。
ショコラを使って、「酸味」「甘味」「苦み」「塩味」を伝えようと、ご主人、そして通訳のフランス人と共に、みんなの前に立ちました。
3年2組のみんなが、シェフの帽子をかぶって「ボンジュール!」とブレア先生を迎えると、ブレア先生も「こんにちは」とこたえて、とても嬉しそう。

シェフの帽子を片手に、子どもたちと挨拶をかわすカトリーヌ・ブレア先生。


早速、授業が始まりました。
まずは塩についてのお話が。
「みんな、塩と言って思い浮かぶ料理は?」
子ども達が答えます。
「フライドポテト」「おにぎり」「ステーキ」「おみそ汁」……。

「そう、しょっぱい料理ですよね。では、甘いものと塩を組み合わせたことはあるかな?」
「トウモロコシに塩をかけたことがあるよ」「スイカにもかけるよ」
「うんうん、塩は、甘いものをもっと甘く感じさせる役割もあるよね」

酸味や、苦みについても同じように子どもたちに思い浮かぶものを言ってもらうと、
酸っぱいものは、「レモン」「お酢」「梅干し」
苦いものは、「コーヒー」「薬」「チョコレート」「ライム」「ピーマン」「抹茶」
などが挙がりました。

舌の図を見ながら味覚についての説明をするブレア先生。通訳のフィリップ氏と共に。

「なぜ、そのような味を感じるのでしょう。舌には味覚を感じるところがあるからですね」と、舌の図を見せながらお話は進みました。

さて、ここからは、実際に味を体験します。まず配られたのは、塩。
「しょっぱい!」「塩からい」「おいしいよ」
子どもたちから声が上がります。


酸味を伝えるために、ブレア先生が作ってきてくれたのは、パッションフルーツのジュース。何も加えない果汁100%。

そして、ブレア先生がフレッシュなフルーツから手絞りで作ってきてくれた、パッションフルーツのジュース。
「酸っぱい!」「最初は酸っぱいけど、そのあとちょっと甘いよ」
感想はそれぞれですが、みんなしっかり酸味を感じ取っていました。

そして、ブレア先生お手製の、ムース・オー・ショコラが配られると、子どもたちの興奮はピーク! 学校でチョコレートが食べられてしまうのですから。
「おいしい!」「甘い!」
チョコレートムースを食べたことのない子どもたちもたくさんいましたが、みんな、チョコレートクリームは食べたことがあります。泡とクリームの違いも感じてくれたかもしれません。
そして実は、このムースには塩もしっかり入っていました。塩味、そしてショコラ本来が持つ酸味、トータルで感じる旨味。




配られたのは、カカオ100%のタブレットと、ホワイトチョコレート。ここから感じる味は……?



この後は、カカオ100%のタブレットショコラで苦みを感じ、ホワイトチョコレートで存分に甘味を感じ、みんな、納得しながら味覚の授業は終了しました。

最後は、ブレア先生を囲み、子どもたちは「C'EST MOI LE CHEF!」(私がシェフです)と書かれた帽子をポーンと放り投げ、パシャっと写真を一枚。


この帽子をかぶって子どもたちは授業を受けていました。気分はシェフ!


「また来てね」「お店を開いたら教えてね」
終わった後には、こんな言葉が自然に出てくる和やかな雰囲気。
今回の授業で、子どもたちが5つの味を感じ取って、これからもっと、食べる楽しみが広がりますように。


「味覚の一週間」の公式サイト
 http://www.legout.jp/



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