取材・文 佐々木 千恵美  


日本におけるBean to barの先駆けのひとつ、「Minimal -Bean to Bar Chocolate- (以下、ミニマル)」が、10月10日、東京・日本橋小網町にあるflat5を会場に、冬のギフト、クリスマス2018、バレンタイン2019を発表しました。
一歩中に入ったとたん、やわらかい光と居心地の良さを感じる空間。グリーンやインテリアもさりげなく置かれ、キッチンカウンターまで設置されたここは、デザイナーが集まるコワーキングオフィス&シェアスペースとのこと。異業種から起業し、新しいチョコレートの楽しみ方を提案するミニマルらしい発表の場ですね。


2014年富ヶ谷に創業し、今年で4年。5年目のテーマは、ミニマルという店名にも表われているLess is more(シンプルに本質を突き詰めることで新しい価値を見出す)という原点回帰。

「良質な素材開発への探求、産地と連携した素材開発〜フィリピンのダバオで、2015年から実現したいフレーバーを求め、農園と一緒に醗酵、乾燥の開発実験を行って来た。国際的品評会でも、エントリーした品が受賞し、世界で認められるようになった。」

代表の山下貴嗣さんは、これまでの歩みを含めながら語ります。

Minimal代表の山下貴嗣さん。


「素材を活かす製法開発の追求〜ナッティー、フルーティー、セイバリーという、創業時から積み上げてきた独自のフレーバー官能項目を、今は製法に活かそうとチャレンジしています。シングルオリジンで豆のポテンシャルを活かすことから進んで、カカオ豆それぞれの良い点を組み合わせることで、単一ではできない新しい香りを表現できる新しいフレーバーを追求していきたい。」

テーブルには試食用のチョコレートが配られました。

試食に配られたブレンドチョコレート。部分によって溝のデザインが違うので舌に当たる味わいも微妙に違うというモールドを使っている。


山下さんによると、「CLASSIC」というラインのブレンドで、ミルクチョコレートのような、カカオにバニラの甘さが加わったようなテイストとのこと。昔から食べ慣れたホッとするチョコレートの風味に、後入れの砂糖がザクザク…。シチリア島モディカの伝統製法を思い出します。
カフェに入ればそのお店独自のブレンドコーヒーがあるし、お味噌も2、3種類あわせた方が味わい豊かになるのだから、良質のカカオ豆を使うBean to barであればこそのブレンドがあっても良いはず。ボルドーの有名ワインやシャンパーニュのように、ブレンドがメゾンの味となっていることを考えると、ブレンドというのは、実は経験とセンスと使える駒がないと出来ない、とても難しい業なのです。


そして季節のテーマは「カカオ豆の豊かな風味を多様な商品でお届けする」こと。

「タブレットチョコレートだけではどうしても間口が狭い。もっと気軽に、いろいろな人にカカオ豆の豊かな風味をお届けできないかと、昨年からベイクドチョコレートやガトーショコラなど焼き菓子を展開しています。」

反響は予想以上で、この夏再販したガトーショコラはわずか2日で完売したそうです。確かに、チョコレートよりも見た目のボリュームがありネーミングも親しみやすく、プレゼントにも喜ばれそう。

オンラインショップ限定「ガトーショコラ」
約20×5p 3,250円(税別)  10月10日〜12月12日 限定200個  お届け日限定 なくなり次第終了。


来年1月2日には、新作「クラフトチョコレートクッキー」が発売されます。カカオ豆の違いを食べ比べるソフトタイプの2種類は、誰にでも食べやすい「NAUTTYフレーバー」、ベリーのような酸味が慣れると癖になる「FRUITYフレーバー」のチョコレートフィリングを薄いクッキー生地で包んで焼き、個包装にしたもの。
イメージとしてはカントリーマアムを思い起こさせる、ちょっと懐かしいホームメイドのやさしい食感、味わってみるとカカオの芳醇な香りが飛び出しサプライズ。楽しくもこだわりを感じるクッキーはギフトにもぴったりですね。

「クラフトチョコレートクッキー」
16個(各8個ずつ) 2,700円(税別)  1月2日〜  各店舗、オンラインショップにて


富ヶ谷で創業してから4年経ち、現在は工房、店舗も4つに増えたミニマルですが、立地による地域性がはっきり出るようで、店舗にあった限定商品を展開しています。

特にギフト需要が多い銀座店の限定は「チョコレート焼き菓子セット」。外はサクサク、中はしっとりガナッシュの「ベイクドチョコレート」、カカオ豆の違いを食べ比べる2種類の「チョコレートクッキー」、カカオ豆の酸味が香る「ニブメレンゲ」、ハイチ産カカオ豆をローストした香り高い「カカオニブ」をひとつの箱に詰め合わせた、カカオの香りを存分に楽しめるセットです。

銀座店限定「チョコレート焼き菓子セット」
ベイクドチョコレート2袋、NUTTYクッキー40g、FRUITYクッキー40g、ニブスナックメレンゲ40g、カカオニブ80g 3,500円(税別)  10月13日〜


デパ地下店、しかも駅までのアクセス途中にある池袋店は、オーセンティックなお客様が多いことから、店内厨房でパティシエが焼き上げる「クラフトチョコレートカステラ」を限定品として販売。老若男女誰もが好きなカステラをテーマに、ミニマルらしいカカオ豆の香りを吹き込み、焼くことでブランデーケーキのような香りが広がります。底のザラメとチョコレートが食感と味わいをさらに豊かにしています。これは手土産としたらサプライズですね。
また、イートイン席では、丸山珈琲の豆から作ったコーヒーゼリーを加えたチョコレートパフェや、週末限定の焼き菓子「ティグレ」も好評だそうです。

東武池袋店限定「クラフトチョコレートカステラ」
1本 2,000円(税別)  10月20日〜


富ヶ谷店の限定はチョコレートが香る月替わりスイーツ。富ヶ谷はミニマル1号店ということもあり、マニアックなリピーターも多いので、パフェもスイーツも創作的なもので楽しませてくれるのだとか。

4店とも都心にあるとはいえ、それぞれの場に合ったチョコレートの新しい楽しみ方を提案されているのも今の時代ならでは。その特徴を踏まえて訪ねるのも楽しそうです。


そしてクリスマススイーツの発表です。
今年は生ケーキが富ヶ谷店限定で登場。内容を聞いただけでレア感大ありな「Minimal クリスマスケーキ2018」は、コロンビアのアルワコ族がつくるシングルオリジンのカカオ豆でホワイトチョコレートとダークチョコレートを作り、その2種類を使ったスペシャルなチョコレートケーキ。
そのままプレスしたカカオバターは、色は茶色でなくとも香りは芳醇(一般に流通しているカカオバターは脱臭処理されている)。希少なアルワコ族のカカオ豆を存分に堪能できる、贅沢かつレアな一台に仕上げられた「Minimal クリスマスケーキ2018」。予約は12月2日スタートで限定100台。富ヶ谷店にて指定日受け取りが条件ですが、競争率は高くなりそうです。

「Minimal クリスマスケーキ2018」
直径12p 5,000円(税別)  予約期間12月2日〜12月20日  限定100個 なくなり次第終了。各店、オンラインショップでご予約受付。富ヶ谷屋本店での受け取り限定。
販売しているチョコレートよりも浅煎りしたカカオが混ざり、シャンパンやブランデーを思わせる華やかなカカオの香りが広がる。デコレーションのホワイトチョコレートも、土台のココアサブレも全てアルワコ族のカカオ豆から。


その前に発売されるのが「Minimalチョコレートテリーヌ」。
シンプルな竿状のテリーヌは冷凍された状態で受け取る(または届く)ので、冷蔵庫で2〜3時間解凍してスライスし、舌の上でなめらかな口どけとミルク感、コロンビア、シエラネバダ産カカオの広がる香りを楽しみます。ほんのり加えたコーヒー豆が味のアクセント。またグルテンフリースイーツとして楽しむことができるもうれしいですね。

「Minimal チョコレートテリーヌ」
3,250円(税別)  予約期間11月1日〜12月12日 お引き渡し日 11月24、12月22日  富ヶ谷本店、銀座店、東武池袋店、オンラインショップ各店または配送  限定470個 なくなり次第終了。
尚、富ヶ谷本店、銀座店、東武池袋店では、下記日程にて数量限定で店頭販売も行います。 富ヶ谷本店:11月17・18・24・25日・12月15・16日 銀座店、東武池袋店:12月22・23・24・25日


2019年バレンタインのラインナップも3つ発表されました。
まずはシグニチャーとなる「Minimal Works:Flavor 2018」。作品集をモチーフに、7種類の豊かな香りや味わいのチョコレートを、解説書ともいえる読み物と一体化し、本のようなパッケージに仕上げたもので、ミニマルの追及してきたフレーバーが堪能できる内容です。産地、製法、シングルオリジン、ブレンドなど様々な角度から、じっくりひとりで、あるいは仲間と語り合いながら楽しんでみては。

「Minimal Works:Flavor 2018」
5,500円(税別)6種×5g×3枚、1種×20g×1枚  販売開始日1月10日〜 富ヶ谷本店、銀座店、白金高輪店、東武池袋店、オンラインショップ

それぞれのチョコレートについて本の形式で解説されている。


2つめはミニマル初となる「Minimal生チョコレート」。ナッツ香とコク深い香りが特徴のコロンビア・トゥマコ産のカカオ豆から作ったシングルオリジンの生チョコレートは、なめらかで香り高いのに後味さっぱりの大人味。これまで食べてきた生チョコレートとはひと味違う、鼻に抜けるカカオの香りをはじめはそのままで、その後はインスピレーションを得たドリンクと合わせて楽しむなんてことも。

「Minimal 生チョコレート」
2,500円(税別)9粒  販売開始日1月10日〜  富ヶ谷本店、銀座店、白金高輪店、東武池袋店、オンラインショップ


3つめは「Minimal Tasting Set(バレンタインデーパッケージ)」。カカオ豆ごとの違いを楽しむ、ナッティー、フルーティー、セイバリーという3つのフレーバーを、ハレの日らしいデザインに仕上げてあります。

「Minimal Tasting Set(バレンタインデーパッケージ)」
2,130円(税別)9枚  販売開始日1月10日〜  富ヶ谷本店、銀座店、白金高輪店、東武池袋店、オンラインショップ


最後に発表されたのはMinimalカカオツアー。
ツアーと聞くと、カカオ農園に実際行くことかと勘違いしそうですが、実はカカオ産地12か所のカカオ豆で作ったチョコレートの頒布会。1か月に4枚ずつ、3か月で世界一周するというものです。
中には非売品も入ります。それは美味しいのに、収量が少ないために届けられない、美味しいのに、仕入れが不安定で届けられないチョコレートを届けたいがため。こんなところでもカカオを栽培しているとか、初めて聞く国のこと、その土地の事情を知るきっかけにもなるでしょう。

すでにこちらの受付は始まっており、評判も上々とのこと。
https://mini-mal.tokyo/collections/highly-recommended/products/cacaotournrmlp

「一緒に盛り上げて、ゆくゆくはチョコレートで未来を考える会にしたい。」と山下さん。

Bean to barというちょっと尖ったカルチャーが、裾野を広げ新たなスタイルと文化を創り上げていく段階に来たようです。

カカオ豆の豊かな風味を多様な商品で展開。チョコレートは人々のライフスタイルを豊かに彩る。



商品内容、販売期間、店舗など詳細は下記サイト等でご確認ください。

Minimal ‐Bean to Bar Chocolate‐
 https://mini-mal.tokyo/




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