取材・文 佐々木 千恵美  


にんじんやジャガイモを収穫するように広げられた食べられる土。カラフル野菜とグリーンの葉物が敷きつめられたガーデンバーニャカウダ。多様性の時代にヴィーガンと日本食をかけ合わせた、主義に関わらず食べられて満足のもどき料理…。

斬新なアイデアで人の心を動かし、五感で感じる食の「体験型ケータリング」を提供するMo:take(モッテイク)がコロナ禍で逆風の中、あえて人を招いてアイデアを形にする場として、昨年12月15日、「食の発明」をしていく研究所「Mo:take LABO」を始動しました。


黒オリーブとツナを低温でじっくり焼いた食べられる土に、ひと口大にカットされた野菜がごろごろ。


野菜畑に来たかのようなガーデンバーニャカウダは、Mo:takeの看板メニュー。


日本×ヴィーガンの「MODOKI」。ウナギのかば焼き、ハンバーガー、焼き鳥…全てもどきで、肉食の人もヴィーガンの人もひとつの場で同じメニューを食べられるケータリングメニューとして開発された。


場所は代官山と渋谷の間、旧山手通り沿いのビル内。自然光がたっぷり取り入れられる明るい空間に、センスと機能を備えたキッチン付きスペースで、(1)レシピ、メニュー開発、(2)プロモーション企画、(3)イベント、コンテンツクリエイティブ、(4)商品開発という4つのソリューションにキッチンスタジオという空間をかけ合わせ、「食体験」を発明へアップデートしていくとのこと。

Mo:take LABOのキッチンスペースは、レンタルスペース・撮影スタジオとしても運営されています。


例えばPanaderiaで昨年秋に紹介した八ヶ岳生とうもろこしを使った「もろこしシェイク」も、Mo:takeがメニューを共同開発し、店頭にとうもろこし収穫体験を仕掛けるなど、新たな八ヶ岳の魅力を発信するサポートをしたものでした。
http://www.panaderia.co.jp/event_report/morokoshishake/index.html


食を「おいしさ」だけの切り口ではなく、産地の魅力と結びつけたわけですが、実はもっとひねった事例を実体験しながら紹介していただいたとき、自分の感性がざわめきだっていることに気づきました。

面白い!
誰かに話したい!

その最たるものが『宮川クリアプリン』。
メニューは字のごとく、透明なプリン。それが三重県伊勢市にある清流「宮川」の魅力をPRするために、映像などではなく、誰もが良く知る食べ物で表現したところが面白い。 通常透明ではないプリンが透明。だけど食べるとバニラ風味にカラメル、ぷりんとした食感もユニークで、SNSでも話題にのぼったそう。

「宮川クリアプリン」は、伊勢市を流れる「宮川」の水の美しさ、観光プロモーションのために開発され、SNSでも80%はプリンだとバズった話題作。


『KIKURAGEバーガー』は、日本での流通量がわずか1.5%という、こだわり無農薬有機栽培のおいしい食材「日本キクラゲ」訴求イベントのためのコラボ開発商品。
知っているようで知らないキクラゲの謎めいた部分を表すかのような漆黒のバーガーは、見た目にもインパクト大。お肉のパティまで黒くして、日本キクラゲのしゃくっとした食感とうま味もしっかり味わえる、記憶に残るバーガーです。

黒い食べ物には「 !? 」がつきもの。色から主張する「KIKURAGEバーガー」


伊賀といえば忍者、忍者は素早い動きをする、そのためには即エネルギーになるもち米をというストーリーで開発された『伊賀ライスムージー』。伊賀の “忍びの里伊賀” 創生プロジェクトとして考えだされた、お米の甘さが広がるぽってりなめらかなスムージーは、朝食にしてもいけそうなくらい満腹感が得られます。こちらもお米のプロモーションではなくて伊賀の魅力発信のための発明品。

容器デザインからも何か言いたそうな「伊賀ライスムージー」。左からプレーン、ほうれん草、バナナの3フレーバーをラインナップ。


自由な発想の食体験をツールとしたストーリーあるアイデアは、ひねり2つくらいある面白さ。おいしいの先に生まれるコミュニケーションが世の中を変えていくかもしれない。その過程を聞くだけでわくわくします。
やりたいこと、広めたいものがある方は、ぜひ一度Mo:take LABOとコンタクトをとってみては。そして何か語りたいフードやスイーツが生まれたら、私たちにも教えてください。


Mo:take LABO 概要

店舗名 Mo:take LABO
オープン日 2020年12月15日(火)
所在地 〒150-0035 東京都渋谷区鉢山町15-2 プラザ1000代官山4F
TEL 050-1709-0484
HP https://motake.jp/labo/




 

株式会社Yuinchu 代表取締役 小野正視氏

新卒でZoffに入社。その後、学芸大学のカフェにて店長を経験しKOMAZAWA LOCATIONSを立ち上げる。
IT企業にて代表の補佐をしながら、レンタルスペースGOBLIN.を立ち上げ、事業を引き継ぎ2012年8月に株式会社Yuinchuを設立。Mo:take は、その中のフードを担うコンテンツ。


 

Mo:take ブランドプロデューサー 坂本英文氏

都内イタリアンレストラン各店で10年ほど従事。飲食業界を別角度から見てみたいと考え、IT企業に転職。その企業内で立ち上がったレンタルスペースGOBLIN.に従事しながら、ケータリング事業を立ち上げる。現在、食に関わる様々なサービスを展開する「Mo:take」を牽引するヘッドシェフ・フードクリエイター。





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