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| 取材・文 佐々木 千恵美 |
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6月に入り、雨の季節となった日本。何か爽やかな果物が恋しいところに「果物の女王」と呼ばれるマスカット・オブ・アレキサンドリアがお店に並びはじめました。 今年の初競りは5月27日。東京大田市場での最高価格は１房なんと10万円がついたとか。通常より大きいサイズとはいえ、１房およそ70粒くらいとすると、1粒当たり…驚きの1,400円超え！ 一体どんな方のお口に入ったのでしょうか！？ |
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| 岡山が誇るマスカット・オブ・アレキサンドリアを備前焼の器にのせて。宣伝部長はマスキャットちゃん。 |
| お金の事ばかり言うのも何ですから、この機会にマスカット・オブ・アレキサンドリアについて、岡山県農林水産部で大田市場駐在の大塚雅子さんに伺った豆知識をまとめてみましょう。 |
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| 種無しで甘く、皮ごとサクサク食べられることで人気のシャインマスカットは、マスカット・オブ・アレキサンドリアを交配し生まれた孫にあたると説明する大塚さん。 |
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＊ 岡山県が栽培面積シェア9割以上、生産量全国1位。 岡山以外はワイン用ぶどうとして栽培されている。しかし岡山のぶどう栽培面積のうちわずか4％、全国でみると0.3％と希少な品種。 ＊ 岡山のマスカット・オブ・アレキサンドリアの出荷時期は、5月〜10月。5月〜8月出荷分はハウスでの加温栽培を行うため、燃料代等が値段に反映される。9月〜10月出荷のものは自然のままの気温で栽培。このような栽培方法により長い期間出荷が可能に。 ＊ 食べ頃は、軸がきれいな緑色で、粒はエメラルドグリーンに琥珀色がかった澄んだ黄緑色で、ハリがあるもの。 ＊ 美味しい食べ方は、食べる直前に1〜2時間程度冷蔵庫で冷やし（氷水の場合は15分程度）、表面を水で軽く洗い、皮ごと口に入れ食べ、皮が気になる場合は種と共に後でそっと出す。 ＊ 追熟はしないので、新鮮なうちに食べることをおすすめ。長期保存する場合は軸を外して粒で冷凍。 |
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皮の表面に見える白い粉は汚れではなく、マスカット自らが作り出す果粉（ブルーム）で、病気を予防し鮮度を保つ働きをするもの。よって果粉がついている方が上質なのです。甘みや香りを感じにくくなるから冷やしすぎは禁物。皮ごと食べた方が香りやポリフェノールも摂取できるのでおすすめ。また、今どき珍しく種あり栽培なのは、種ありの方が、粒が大きく香りが強くて美味しいため。 気難しい女王を立派な房に育てるにはとても手間がかかります。余計な粒を間引く作業は4回。蕾の段階からはじめて、米粒の実の段階で200粒を80粒に、その1か月後80粒を70粒に、最後は白い果粉を落さず70粒から60粒に間引きをし、熟したところで房に触れないように収穫。移動で傷つかないよう箱詰めは畑のぶどう棚の下で行うことも。最後は選果場で潰れた果粒がないか目と匂いと舌で食味を確認するなど、五感を駆使してチェックをして市場へ。１房平均5000円から2万円するのも頷けますね。 |
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| 温室で手間ひまかけ育てられ、木箱詰めされた初物のマスカット・オブ・アレキサンドリア。 |
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今年のマスカット・オブ・アレキサンドリアは、4〜5月の日照が多かったため、糖度が高めに仕上がっているとのこと。 いただいてみると、パキっと皮が破け、ジューシーな味わいとともに、ムスクのように芳醇な香りがふわっと上がってきます。1粒あたり100〜200円だと思うと、3〜5粒でケーキを１つ食べたのと同じくらい幸せな気分になれます。以前は贈答用に求められていたマスカット・オブ・アレキサンドリアですが、昨年は自宅用に買われる人が増えたそうです。ちょっとしたご褒美スイーツですね。 |
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| 親指大ほどの一粒。果粉もあってハリがあり瑞々しい。 |
| フルーツ、スイーツとくれば、タルトやパフェ。去る6月8日(土)、9日（日）の2日間、銀座千疋屋、千疋屋総本店にて「岡山マスカットフェア」が開催され、岡山県産マスカット・オブ・アレキサンドリアを使ったパフェ、タルト、ブランマンジェの限定販売が行われました。パフェグラスに盛られたグリーンの粒が見ているだけで涼しげ。さぞ美味しかったことでしょう。 |
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| 千疋屋総本店の日本橋本店などで限定販売された岡山マスカットフェアの「マスカット・オブ・アレキサンドリアタルト」。アーモンドタルトにカスタードクリームとホイップクリームを重ね、5つの半割りマスカットをジュエリーのように並べて。 |
| 岡山のマスカット・オブ・アレキサンドリアのシーズンははじまったばかり。夏のギフトに、ご自宅用に、アイスクリーム等とデザート作りに選んでみてはいかがでしょうか。 |
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