4月20日(木)から25日(火)にわたり、東京大丸デパートの特設会場で「パティシエのケーキ展」という催しが行われました。8階の催事場に東京各地に点在する11人のパティシエのケーキ屋さんが集合するという、お菓子好きにはとってもうれしい企画です。パナデリアがこのイベントを訪問したのは21日。金曜日の午後ということもあってか、会場内のお菓子屋さんの前にはたくさんの人が。

今回出店の11軒の中には、パナデリアで以前紹介させていただいたお店もチラホラ・・。そして顔見知りの職人さん、あこがれの職人さん自身がコックコートとコック帽を身につけ、そのお店の前に立ってお菓子を売っているんです。普段だったらなかなか見られない光景ですよね。(なんと、あの西洋銀座の稲村省三シェフがメロンパンを売っていたりするんですよ。)なんとなく、職人さん自身も、普段のお菓子を作るときの厳しい表情とは違って、和やかにお客さまとの会話を楽しんでいる様子。会場中央にはこだわりの紅茶とともに、各店舗で買ってきたケーキをその場で味わえるスペースも設けられていました。

我々も、どこのお菓子屋さんのケーキを食べるか、本当に迷いました。全部食べてみたいけど、なんせ胃はひとつだし……と、いうことで、今回は他のケーキたちを割愛し、先日パナデリアで紹介させていただいた「エバンタイユ」の本間シェフのケーキをいただくことにしました。丁度ショーケースの前にいらっしゃった本間シェフに伺ったところ「栗とカシスのタルト」は新製品とのこと。そこで、早速味わってみることにしました。


そして今回のイベントのもう一つの目玉は、そのパティシエたちの技術を目のあたりにできるという「パティシエのケーキ実演教室」。この日の講師は、パナデリアのチョコレート講習会でもお世話になった「テオブロマ」の土屋公二さん。

今回、土屋シェフが教えてくださったのは「マカロンバニーユ」と「マカロンキャフェ」の二種類のマカロン。これは土屋さんのお店で売られているものと同じものなので、お店のスタッフ用のルセットが配られました。土屋さん曰く「企業(?)秘密も書いてあります。」とのこと。美味しいマカロンを作るためにこだわった部分が、そのルセットには、書かれていたのですが、企業秘密なので、ここでは明かせません。(なんて、えらいんだ。パナデリア)そんな土屋さんの本格的ルセットを見ながら、講習は続いて行きます。

「フランスでは、マカロンの卵白は腐りかけがいいと、よく言われますが、実際は、けっこう沢山の菌がいるんですよね。マカロンは完全に火を入れてしまわないお菓子なので、そうなると危険。だから卵白は冷凍などしておいて、解凍をしたコシのない卵白を使ったり、とにかく卵は取り扱いに気をつけないといけません。」とか、「バニラを効かせるという時には、強い風味のあるものより、優しいふんわりとした風味が長く続くようなものを選ぶようにしてください。」という細かいことまで教えていただきました。生徒からの質問も相次ぎ、そんじょそこらの講習会よりよっぽど密度が濃いのでは…と思わせる講習会となりました。

それにしても生徒の皆さんの熱心さには本当に驚き!!でした。ここは、デパートなの?…もしかしたら、○○製菓学校?…なんて、思ってしまうほど、「普段、絶対お菓子作ってるな!!」と確信してしまうほどの、濃い質問の数々。おとなしかったのは、パナデリアスタッフだけでは?・・って感じでしたよ。ホント。

そして、その中の「お菓子作りで大切なこととは?」との質問に、「"とにかくあわてないこと" 計量をして、オーブンに火を入れて、… やることをやって、そこからお菓子作りを始めれば失敗はない。」と言う土屋シェフのお言葉。あたりまえのことのようですが、本当にそれが一番大事かもしれないとあらためて思いました。

たかがマカロン、されどマカロン。マカロンはフランスで言えば駄菓子だそうですが、とても難しいお菓子だそうです。でも、どんなむずかしいお菓子でも、素材をちゃんと理解して、何度失敗を繰り返しても作りつづけることによって、技術を身につけること。そしてできれば、自分の技術がいつも一定化できるところまで、作りつづけられれば、もっとお菓子作りが楽しくなっていくんだろうな…などと、土屋さんのお話を伺いながら、思ってしまいました。

土屋さんの、ためになる話、冗談まじりの楽しい話、そしてもちろん職人技を楽しみながらの講習会は、なんと2時間30分近くにも及び、これまた、ホントにここデパートだったの?・・という気持ちのまま会場を後にしたパナデリアでした。
こんなお得なイベント。ぜひまた企画してくださいね。大丸さん、よろしくお願いします。