「料理は素材ありき」。
洋の東西を問わず、おいしい料理への第一歩として料理人たちが一番に挙げるおいしい料理のための条件は、よい素材との出会いだそうです。
そんな料理人とよい素材、生産者、そして食べ手を結ぶイベントが、9月24日から10月7日まで開催された「フランス レストランウィーク」なのです。
今年2回目を迎えるこのイベントを目前にした9月20日、アンスティチュ・フランセ東京の庭園にて開催された「岩手県『ロレオール』伊藤勝康シェフのマルシェ』に参加してきました。


当日来場したシェフたち。錚々たるメンバーが並びます。青木シェフからのご挨拶も


この日は、伊藤氏を中心にフランスから来日したティエリー・マルクス氏(シュール・ムジュール・ティエリー・マルクス、マンダリン・オリエンタル・パリ内)、青木定冶氏(パティスリー・サダハル・アオキ・パリ)、小島景氏(ベージュ アラン・デュカス 東京)など、日仏の著名なシェフが来場し、東北からやってきた出展品を使った料理やお菓子を作り、その展示と共に、参加者に試食がふるまわれました。
この日の出展者は、青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島から計17社。
商品も、リンゴ、黒にんにく、あわび茸、サーモン、日本酒や麹、酒かすなど、たくさんの素材が並びました。
その商品の展示と、そしてその商品を使ってシェフたちが作り上げた作品(お料理)18品が、会場に並べられました。

サダハル・アオキ、青木シェフは、菊池貞三&岩泉産業開発の素材を使った「わさび風味のマカロン」を。程よいわさびの風味が、上品に口に広がるマカロンです

岩手県「菊池貞三」の暮坪かぶ。一見小さな大根のようですが、葉はかぶです。原種に近いかぶのため、細心の注意が必要となり、数量が限定されるそうです

ジャン=ルイ・ノミコス氏の「暮坪かぶのラビオリ ワサビ風味の毛ガニ詰め 甲殻類のヴィネグレットソース」。ワサビで風味をつけた毛ガニの詰め物を、12時間マリネした暮坪かぶの薄切りにはさみ、ラビオリ仕立てに

ティエリー・マルクス氏は、「山野りんご株式会社」のりんご「茜(あかね)」を使って「りんごとパンデピスのプレッセ」を。りんごのシャリシャリ感が残るマーマレードのような甘いジュレを、パンデピスで挟みました

山野りんごの「茜」は、紅玉の子であり、硬めの果肉と爽やかな酸味が特色で、生食、料理、製菓、ジュースなどと、利用価値の高いおいしいりんごです。果皮は紅玉ゆずりの爽やかな紅色なので、皮ごと煮込むときれいなピンク色のジャムができます

ドミニク・コルビ氏は、八幡平サーモンなどたくさんの素材を活かした「八幡平サーモンのミキュイ りんごとサルナシのチャツネ 黒ニンニクのソース」を。一晩マリネしたサーモンを低温で、1時間半火を入れ、さるなしジュースで煮込んだリンゴのチャツネとコクのある黒ニンニクのソースを添えて

八幡平サーモンは、「清水川養鱒場」が丹念込めて育てた虹鱒(ドナルドソンニジマス)のブランド名で、餌、環境、品質にこだわった絶品の虹鱒なのです

狩野美紀雄氏の「短角牛の浅沼醤油もろ味噌漬け たたき風」は、もろみ入りマヨネーズとわさびのマヨネーズ2種のソースを添えて

「浅沼醤油店」のエゴマ醤油は、大豆・小麦を使用せず、岩手県産の無農薬エゴマを主原料に醸造した醤油風調味料です。その他にもエゴマスタードやエゴ麻〜油など岩手の食材を活かした加工食品が並びます

小島景氏は、「マッシュファミリー有限会社」の白神あわび茸を使って「あわび茸の栗の葉包み焼き」を。栗の葉の香りがあわび茸のおいしさを引き立てる秋の味覚いっぱいの一品

福島県の「株式会社 こぶしの里」からは、さるなし100%のジュースが出展。さるなしとは日本古来から生息しているマタタビ科の果実で、なんとこのさるなしがニュージーランドに渡り、品質改良されたものがキウイフルーツだそうです。収穫時期も短く、収穫後も追熟後わずか3日しか食べられないという貴重なさるなしを、生絞りでストレートジュースにしました


さて、最後に「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」について、説明をさせていただきます。
これは、2010年6月にフランスで開催されたレストランウィーク「Tous au Restaurant」(みんなでレストランに行こう)というイベントをベースに、日本でも2011年から日仏の料理人たちが、フランス料理の今を伝えるべく、そのすばらしさを広めていこうということで始まったものです。
また、先の震災を受け、フランス料理を通じて、日本を元気にしていこうと、被災地支援につながる意味合いも含んでいます。
この「フランス料理で日本を元気に!」してくれるイベントのメインは、日本全国の参加店舗、542軒において、ランチが2012円、ディナーが5000円で楽しめるというもの。
普段、なかなかこの値段ではいただけないお店で、手軽に気軽にフランス料理に触れる機会が持てるということで、大人気のイベントなのです。
また、今年はイベント中に、子供たちにも本物の素材、おいしさに出会える機会を・・・ということで、9月29日と30日の2日間、通常入店の対象とならない小学生がフレンチレストランにお出かけすることができました。
また、「こども料理教室」も開催され、子供が家で作ることができるフランス料理を、有名シェフが教えてくれるという贅沢なひとこまも。
今年はすでに終わってしまいましたが、日本におけるフランス料理の発展のためにも、これからも長く続けてほしいイベントです。
来年はぜひ、皆さんもご参加ください。

「フランス レストランウィーク」の詳細はこちらから
http://www.francerestaurantweek.com/




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