取材・文 浅妻 千映子  


すっかりおなじみとなった「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」。
フランスで、アラン・デュカスが代表を務める「コレージュ・キュリネール・ド・フランス」から始まったこのイベントは、日本でも今年8年目を迎えます。

今年の開催日は、9月22日(土)〜10月8日(日・祝)の17日間。
参加しているフランス料理店で手ごろなコース料理を食べられるほか、フランスからの来日シェフが参加するガラディナーや、地方の人気シェフの料理を東京に居ながらして楽しめる企画など、密度の濃い17日間となっています。
嬉しいのは、ダイナースクラブカードを持っていなくても利用できること。優先予約はできませんが、同じように、お得にレストランを楽しむことができます。

開催に先だって、フランス大使館でプレス発表会、大使公邸でパーティーが行われました。

プレス発表会では、長年このイベントを引っ張っているグランシェフや、フォーカスシェフと呼ばれる、今年スポットの当たった若手シェフがずらり。

8年前の開催当初、「フランス料理を食べたことのない人も、ぜひこの機会に」と、フランス料理のすそ野を広げることは、このイベントの大きなテーマでした。
いま、「地方のレストランでも、その手ごたえをしっかり感じている」
と、ずっとこのイベントを引っ張ってきた鹿児島「ミディソレイユ」の上柿元勝シェフが熱く語りました。ちなみに、上柿元シェフは、フランス語でパラン=ゴットファーザーと呼ばれているほど、このイベントに力を尽くされています。





「ミディソレイユ」上柿元勝シェフ


何しろ、全国で約600軒のフランス料理店が参加し、5万人もの人々が、それらのレストランに足を運んでいるのだから、すそ野の広がりは実感としてあるのでしょう。
そして、このテーマを引き継ぎつつ、この数年は、若手シェフの育成と日本の食材も大きなテーマとなっています。

今年フォーカスされた16人の若手シェフの自己紹介では、イベント期間中に出すコース料理に組み込みたい和食材を、それぞれが自分の言葉で語りました。

例えば、北海道は札幌にある「コートドール」の下國伸シェフ。鮭トバと、キハダの実、それから北海道が一大産地であるゆり根を使って、北海道、そしてアイヌの伝統文化も大切に料理を作りたいとのこと。キハダの実とは、シケベリとも呼ばれる、胡椒のようでもベリーのようでもある実で、古くから鹿肉と合わせて使うことが多いそうで、聞いているだけで、出てくる料理が楽しみになります。

「コートドール」下國伸シェフ

青森県の「ボワラ」の清水桂シェフは、地元のフジツボを使いたいと意気込んでいました。また、愛知県の「レスト ケイ ヤマウチ」の山内賢一郎シェフは、発酵文化豊かな名古屋を背景に、酒かすや味醂かすを積極的に使いたいそうです。

「ボワラ」清水桂シェフ 「レスト ケイ ヤマウチ」山内賢一郎シェフ


他にも、地元の野菜や魚介を使いたいという声は多く、日本は本当に食材に恵まれていると、シェフたちの話を聞きながら思わずにはいられませんでした。そして、それらの食材をフレンチの手法を使い、どのように表現していくのか。まさに、シェフたちの腕の見せ所。イベント開催に向けて、今から準備を怠らない若いシェフたちの姿は、見ていてとても頼もしいものでした。

さて、フォーカスシェフの中には、フランス人シェフも入っています。この日は来日していませんでしたが、発表された2人は共に女性。一人は、プロヴァンス「ローベルジュ・ドゥ・サンレミ・ドゥ・プロヴァンス」のファニー・レイシェフ。写真を見ると、ソバージュヘアでちょっぴりワイルド。地中海の食材をふんだんに使った料理が得意で、なんと、海軍にいた経歴もあるそうです。
もう一人は、「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」のジェシカ・プレアルパトシェフ。ミシュランガイド三つ星の数少ない女性シェフ・パティシエで、シンプルでピュアなデセールがお得意だそう。
二人は、9月15日、16日に表参道のミーレのサロンで行われる「ラ・ターブル・ドゥ・ダイナースクラブ@ミーレ」で料理を披露するほか、9月18日に東京、20日に大阪で行われる「ガラディナー」にも登場します。

プロヴァンス「ローベルジュ・ドゥ・サンレミ・ドゥ・プロヴァンス」ファニー・レイシェフ 「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」ジェシカ・プレアルパトシェフ


さて、記者会見後のパーティーでは、フォーカスシェフである、広尾「アムール」の後藤祐輔シェフが大仁牛と春菊、椎茸を合わせてすき焼風味の料理を提供したり、日比谷「レストラン トヨ トウキョウ」の大森雄哉シェフがイチゴとフェッタチーズを盛り込んだ雲丹のサンドイッチの一皿を出したり、中目黒「クラフタル」の大土橋真也シェフが白ビールのムースを添えた稚鮎のフリットを出したりと、早速、和食材を生かした料理がたくさん並びました。
どれも、ますます、ダイナースクラブ フランス レストランウィークが楽しみになるような味ばかり!

「アムール」の後藤祐輔シェフのお料理

「レストラン トヨ トウキョウ」の大森雄哉シェフのお料理

「クラフタル」の大土橋真也シェフのお料理


今年は日仏友好160年にあたり、ますます両国の絆を深めるとともに、ダイナースクラブ フランス レストランウィークも盛り上げていきたいと、開催者らからのスピーチも。 昨年以上のペースで参加店も増えているとのこと、この秋は、例年以上に盛り上がりそうです。

予約期間等、詳しいことはHPで。参加店舗はまだ増えていくようです。なかなか行けずにいたお店に足を運ぶいい機会にもなるかもしれませんね。



 www.francerestaurantweek.com
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