リオネル・ローのラボ

バイヨンヌのマルシェの近くに店を構えるリオネル・ローですが、ラボはのどかな郊外にあります。フランスでは店舗は人の多い街中、ラボは郊外にという形式が多いですね。


リオネル・ローシェフ(左)とアシスタントのスタッフ(右)

ラボの2階に移動してリオネル・ローシェフに3つのお菓子をデモンストレーション形式で教わりました。皆で作業台を囲んで熱心にメモを取りながらの充実した時間です。

焼成前の生地 2種類の型で焼きます


まずはFondant à l'Orange(フォンダン・ア・ロランジュ)。
これは、前回のレポートで紹介したオレンジを使ったリング状の焼き菓子ですね!
バターリッチなオレンジ入りの生地にメレンゲを加えて軽さを出したパウンドケーキです。今回はお店で販売しているのと同じ浅いクグロフ型と、小さなパウンド型で焼きました。ちょっと面白いなぁと思ったのが、バターを半分はポマード状、半分は溶かしバターにして使用していたことです。おそらくふんわりした食感を残しつつ、バターの風味を活かすための手法なのではないかと思います。

焼き上がり冷めたらグラス・ア・ローを流します


オレンジピールとアーモンドでデコレーション

焼き上がり、上からグラス・ア・ローを全体にかけて、オレンジピールと皮むきしたアーモンドを飾ります。焼きっぱなしでも素朴な風合いがいいですが、こうやって最後に仕上げに一工夫すると、手土産にしたくなるような華やかさが出てきますね。



ショコラのカスタードを炊きます

続いて、ガトー・バスクです。今回はショコラバージョンのガトー・バスクを教わりました。まずはショコラのカスタードを炊きます。ここで驚いたのは材料に卵黄ではなく全卵を使用したこと。全卵を使うことで、あっさりした味になります。それから水分が多いので焼成しても固くなりにくいのだそう。

バスク生地をしこみ、休ませる 薄く丸く伸ばして使用する

ショコラ味のバスク生地を仕込み、休ませたのちに丸く伸ばします。

生地を敷き込みクリームをいれる


フォークで模様をかく

生地を型に敷きこんでクリームを絞り、蓋をします。
卵を塗って、フォークで表面に模様をつけて焼きます。



4つの状態のチェリーを使用 空焼きしたタルトにピスタチオクリームをいれる

そして最後は生菓子の紹介。
Tarte Brebis aux Cerises(さくらんぼ入りブルビのタルト)です。
タルト生地にピスタチオのフィリングを入れて、4つの状態のチェリー(グリオットピューレ、サワーチェリー、アルコール漬けのチェリー、セミコンフィのチェリー)を使用したゼリーに最後ミントのババロアを流しこんだ爽やかな味わいのタルトです。



チェリーのゼリーをセンターにいれる
ミントのババロアを静かに流します

焼きあがったタルトが冷めたらチェリーのゼリーを入れて、上からミントのババロアを流します。


周囲にたっぷりのピスタチオを飾る 球体状のミントのババロアをバランスよく飾ります

飾りには球体状に作ったミントのババロアをたっぷりと飾り、かなりボリューミーな仕上がりです。本来は羊(ブルビ)のミルクを使うそうですが、今回は時期的に入手できなかったということで代わりに牛乳を使いました。


全てのデモンストレーションが終わり、試食タイムに入ります!

全てのお菓子を作り終えると、お待ちかねの試食タイムです。
試食には、フォンダン・ア・ロランジュとさくらんぼ入りブルビのタルトは小さなポーションで作っていただいていました。

ガトー・バスクは、カソナードを使用しているからか、ホロホロとした軽い生地にチョコレートのビターな味がしっかり出ていました。ソフトな食感で日をおくとさらにしっとり感が出てきました。

フォンダン・ア・ロランジュは、アーモンドの風味にオレンジがマッチしていて親しみやすい味。上掛けのグラス・ア・ローのシャリッとした食感がアクセントになっています。これは、比較的シンプルなので良質の素材が手に入れば日本でも作りやすいですね。

最後、一番味が想像しにくかったさくらんぼ入りブルビのタルトですが、チェリーの深みある酸味とミントの爽やかさがマッチ。ただ試食分にはタルトとピスタチオの生地は入っていないので、本来のお菓子の構成とは違ったのです。
実際はどんな味だったんでしょうね。次回お店を訪れる機会があれば食べてみたいものです。






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