バイヨンヌの町から離れて向かったのは、ビダール(Bidart)。バイヨンヌから南西方向、大西洋側にその町はあります。


ムーラン・ドゥ・バシルー 外観 看板はバスク特有のフォントで書かれています


ここには運河の水を利用し水車で小麦粉やトウモロコシの粉をひいたパンやお菓子を作っているムーラン・ドゥ・バシルー(Moulin de Bassilour)があります。バイヨンヌからそれほど離れていませんが、辺り一帯はもう自然がいっぱい。緑に囲まれた静かな環境にこの水車小屋はありました。

実は、この場所を訪れる前に日本での菓子講習会で、あるシェフにこの店の話を聞いていました。
「水車小屋で粉を挽いていてね…」という言葉が印象的で、ちょうどその講習会の時に作ったのが、ガトー・バスクだったような思い出があります。

石臼を使って自家製粉しています

中に入るとお店の脇のうっすらとした場所に粉を挽いている石臼がありました。この木枠の中に大きな円形の石が入っていてこれを水車の動力を利用し粉を挽いています。お菓子やパンによって粉の粒子も変えて挽いているそうです。

家庭の台所の様な厨房 煉瓦造りの焼き窯


厨房を見学させてもらいましたが、こじんまりとしたスペースに木製の小さいテーブルがおいてあるのに驚きました。現代のパティスリーというと大抵ステンレス製の大きなテーブルや大理石の台があったりしますが、それとは違い家庭的な雰囲気でした。

そこに煉瓦造りの窯がありました。これは見学した当時、70年前から使っているという事でしたので、現在もし使っているとしたら現役80歳ですね。ガスで火をおこし、なんと300℃まで上がるそうです。最初は高温で焼くパンを入れて、その後から少しずつ温度帯の低いものを焼いていくそうです。

昔ながらの窯なので当たり前なのですが、もちろん温度計はついていません。職人の勘で焼くしかありません。


薄く平たいガトー・バスク こちらはさくらんぼジャム入り


厨房でガトー・バスクを試食させてもらいました。ここのガトー・バスクの特徴は薄いこと。
バイヨンヌで見てきたガトー・バスクは比較的厚いものが多かったのですが、ここは厚さが2p弱くらいだったでしょうか。ガレットの様な感じです。そして、食感がザクッと固めで、粉を感じる味わいが素朴でとても美味しかったです。

香ばしそうなバゲット ガトー・バスクと、上段にはパンが並ぶ


売り場にはパンとガトー・バスクが並びます。
アイテム数は多くなく、バゲットと、トウモロコシの粉を使ったパンと、もう1種類のパンかお菓子、そしてガトー・バスクがあるだけです。
それでも、地元のお客さんなのか、客足は途切れることが無かったように思います。

ガトー・バスクは1つずつ包んでくれる

この時はすでにおなかいっぱいでしたが、せっかくここまで来たのだからと思い、ガトー・バスクを1台買いました。
そうすると、販売の女性の方が薄い紙でササッと華麗に包んでくれました。
この女性のエプロン、よく見るとバスクの唐辛子ピモン・デスプレットでした!


素敵な包装紙は旅の思い出のひとつ さくらんぼジャム入りは丸い印付き

ガトー・バスクはこんな風に包んでくれました。包装紙にはこのお店の建物のイラストが描かれています。私はさくらんぼジャム入りを買ったので、中央に小さな丸い印がついています。お店によりますが、大体のお店ではカスタードクリーム入りとチェリージャム入りを区別するために、表面中央に丸い印をつけていました。


バスク生地で作ったサブレ 粗いお砂糖が入っているのが特徴


そして、ガトー・バスクと同じ生地を使ったサブレも販売されています。この生地には粗めのお砂糖シュークル・クリスタルが使われているので、食べたときにガリッとした食感がします。それがまた美味しい!

この旅行で、いくつかのガトー・バスクを食べましたが、ここのガトー・バスクはパン屋さんのガトー・バスクといった感じで、バターよりも粉を感じるものでした。それがまた新鮮に感じ、とても美味しかったです。
またバスクに行く機会があれば、ぜひ寄りたいところですね。次回はパンも食べなくては!と思っています。



Moulin de Bassilour
http://www.moulindebassilour.com/







バスク・目次に戻る