チーズ工房の看板 自宅兼工房のような可愛らしい造り

フランスの食文化で欠かせないのが、チーズ。
バスク地方にも名産のチーズがあります。
それは羊乳を原料とした「オッソ・イラティ(Ossau Iraty)」。フランスのA.O.C.、EUのA.O.P.にも認定されているチーズです。バスク地方からスペイン国境付近のベアルン地方にかけて作られています。日本でも輸入物を見かけることはありますが、まだ日本にはあまり知られていないチーズの1つだと思います。
今回は、オッソ・イラティを作っている工房見学に伺いました。

原料は羊乳のため、多くの羊が


人懐っこい犬がいました

まずは、原料となる羊乳が必要なため、ここでは羊を飼っています。そういえばこの工房には犬がいたのですが、今思えば牧羊犬だったのかもしれません。
ピレネー山脈付近では牧羊が盛んなこともあり、その羊乳を使ったチーズが伝統的に作られています。


右のバスタブの様な容器に羊乳を入れる 羊乳を攪拌する器具

チーズの製造を行っているところも見学させてもらいました。この時は稼働しておらず清掃された後の美しい状態でした。最初に羊乳を大きな桶のような容器に入れ、凝乳酵素をいれて温めながら攪拌します。


カードを細かくカットする器具 専用の型

凝乳酵素により固まったもの(カード)を細いピアノ線のようなもので小さくカットし、温度を上げながらかき混ぜていき、カードの濃度を高めていきます。そして、専用のプラスチック製の型に入れ、水分を絞り出します。

塩水をはった容器


熟成室にはたくさんのオッソ・イラティが

最後に塩水につけて、発酵熟成させていきます。温度と湿度が一定に保たれた熟成室にはずらっとオッソ・イラティが並んでいます。
外からみた工房はとても家庭的で昔ながらの、という雰囲気でしたが、さすがに製造工場は現代的で衛生管理がきちんとされていました。

出来上がりのサイズは片手で持てるほどの大きさ。羊は牛に比べて乳量が少ないこともあり、一般的に牛乳製のチーズよりは小ぶりに作るそうです。

しっかり熟成されたオッソ・イラティ 黒サクランボや桃のジャム

工房で作られているチーズは、ジャムや蜂蜜とともに販売されていました。
やや黄色みがかった色で、中はもう少し白くきめ細やかなチーズです。それほど癖はなくマイルドなので羊乳のチーズが苦手な方でも食べやすいと思います。

その土地のもの同士を合わせるのは食の世界ではよくありますが、このオッソ・イラティも同様で、バスク地方の黒サクランボのジャムを添えていただくと美味しいです。黒サクランボジャムの他には、桃のジャムと蜂蜜もおいてあったので、きっとこの2つも相性が良いのでしょうね。

小ぶりのチーズとはいえ、1つが4〜5キロほどありそうなボリュームだったので、この時には購入しなかったのですが、工房の他でもマルシェやレストランでいただく機会は十分にあるので、是非バスクに行かれる方はオッソ・イラティ召し上がってみてくださいね。



オッソ・イラティについて(仏語)
 http://www.ossau-iraty.fr/






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