フランスからスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路 |
スペインとフランスの国境近くの町Saint-Jean-Pied-de-Port。スペイン北部にあるキリスト教の聖地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」への巡礼路として知られる村です。サンティアゴとはキリストの12使徒の一人、聖ヤコブを指し、巡礼の道はこの聖ヤコブの墓があるというサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂に通ずる道なのです。この大聖堂で礼拝をおこなうことによって自分の罪が許されるとあって、ヨーロッパ各地から毎年多くの巡礼者が集まります。
この巡礼路はフランスからは主要な4つのルートがあり、このうち3つがフランスバスクのサン=ジャン=ピエ=ド=ポーを経由します。いわばここは、フランスからスペインに入る直前のスタート地点です。 また、サン=ジャン=ピエ=ド=ポーは2016年にはフランスの最も美しい村に登録され巡礼者の他に観光客も多く集まるようになってきています。 |
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この日は、雨がしとしと降る天気でした。快晴の日とはだいぶ雰囲気が違うのでしょうが、雨が良く似合う静かで落ち着いた村でした(バカンスシーズンは多くの巡礼者と観光客でにぎわうようですが)。村の中央付近には川が流れていて、川沿いには緑が茂り、とてものどかな情景。立ち並ぶ建物はバスク様式で、オレンジ色の屋根に白い壁、赤褐色の木枠が特徴です。 |
アーチ状の門が印象的 |
家の入口がアーチ状になっている素敵な建物を見つけました。扉は木製で、その周りに石を並べて…こういう建築は日本ではなかなか見られないので、とても印象に残っています。現地ではさりげない光景が、私達日本人にとってはとても新鮮に映りますね。 |
バスク発祥の履物エスパドリーユ |
多くの巡礼者が訪れる村なので、メインストリートにはお土産屋さんもあります。 バスク発祥の履物「エスパドリーユ」は、靴底がジュート縄、上部は木綿や帆布で出来ていることが多く、様々なデザインがあります。通気性がよく春夏によく使われる靴で、現在ではアメリカやヨーロッパを中心に人気を集めています。 そのため、バスクの観光地を訪れると、たいていエスパドリーユを販売しているお店を見かけることがあります。普段使いできるカジュアルなサンダルなので、自分用としてもお土産としてもおすすめです。 |
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それから、バスクのレストランでもよく見かける赤と青のラインで構成されるデザインの食器を扱うお店もありました。丈夫で実用的、素朴な雰囲気で、使い勝手がよさそうです。朝食にぴったりな雰囲気ですね。バスク好きな方は、是非この食器にバスク料理を盛りたいところですよね。
食器の上をアーチ状に覆っている篭の様なものは、バスクのスポーツ「ハイアライ(バスク・ぺロタ)」で使うセスタというラケットです。 球技の一種で、このラケットを使用し遠心力を利用して壁に向かって球を打つコートスポーツです。その球のスピードは非常に速く、時に300km/hを越すこともあるのだそう! あるお店でも、このラケットを飾りに使用して、バスクの十字架ローブリューの様にディスプレイしたものを見かけました。 |
巡礼者の荷物に注目 |
これは、街角においてあった巡礼者のリュック。リュックにはホタテ貝(フランス語ではコキーユ・サン・ジャック、スペイン語ではサンティアゴ)がお守りのように付けられています。聖ヤコブの象徴として用いられるのがこのホタテ貝。なぜホタテ貝かというといくつか説があるようですが、その中の1つには、伝説によると聖ヤコブの遺骸をのせた舟の底にホタテ貝がびっしりくっついていたのが由来だとか。 また、一緒に添えられている木の杖とひょうたん(昔は水筒として使用)も巡礼者のシンボルとなっています。 |
La Porte Sainte-Jaques サン・ジャックの門 |
メインストリートを歩いていくと、分厚い石造りの壁にある門があります。これはLa Porte Sainte-Jaques。ラ・ポルト・サン・ジャック、つまりサンティアゴへ通ずる門、ということでしょうか。この門を抜け、坂道を上がり城址の高いところに向かいます。 |
サン=ジャン=ピエ=ド=ポーの光景 |
高台から見た、サン=ジャン=ピエ=ド=ポーの光景。山バスクらしく、緑の中にオレンジ色の屋根が美しく映えています。少し霧がかったような風景が幻想的でした。 |
イバニャータ峠を表す表示 | 峠にあるサン・サルバドール・デ・イバネアタ教会 |
ちなみに(フランスからの)巡礼者はサン=ジャン=ピエ=ド=ポーを通り、ピレネー山脈の方へと進み、イバニャータ峠(標高1057M)に向かいます。今回私達はバスでイバニャータ峠に行きました。特に周りにはなにもない殺風景な峠ですが、巡礼者にとっては巡礼の1つの山場ピレネー越えをし、やっとここからがスペインに入り目的地に近づいているのを感じる意味深い場所なのだと思います。
今回は巡礼路としてのサン=ジャン=ピエ=ド=ポーを紹介しましたが、次回はこの地で見つけたお菓子や食のお店についてレポートしていきたいと思います。 |