フランスバスクを後にしてバスで向かったのはアキテーヌ地方のダックス(Dax)。
バスクからみると北方に位置する町で温泉保養地として有名な地です。
町の中心にはライオン型の蛇口から温泉のお湯が流れている場所があり、直接触ることができます。日本人としては温泉と聞くと急に親しみがわいてきますね。


ダックスの温泉をちょっぴり体感


ダックス自体はあまり聞きなれない地名ですが「ダックワーズ」はお菓子好きな方ならもちろんご存知ですよね?
ダックスはダックワーズ(現地ではダコワーズと発音)発祥の地なのです。そんなこともあり、この町でダックワーズを探訪しました。

ダックワーズのアントルメ


ダックワーズのミニバージョン

町のパティスリーを訪れたところ、早速見つけました!
アントルメサイズで、クラシックで気品ある佇まいです。上面のホワイトチョコレートらしいプレートに「Dacquoise」と書かれています。
構成は日本でよく知られるものと同じで、アーモンドパウダーとメレンゲをあわせて焼いた柔らかい生地に、プラリネ入りのバタークリームをサンドしています。
こちらのお店にはアントルメサイズ以外に一人用サイズのものもありました。アーモンドの香りがふくよかで、バターのコクと軽さのある味わいでした。

日本では一般的に小さな小判型のダックワーズが浸透していますが、これは福岡のパティスリー16区の三嶋シェフが日本人向けに考案したもので、フランスで見かけることはありません。


ダックスでもガトー・バスクが人気の様でずらっと並んでいる光景が


バスクにほど近いこともあり、ここダックスでもガトー・バスクとベレ・バスクを見かけました。香ばしく焼かれたガトー・バスクがたっぷりと。他のパティスリーでも見かけたので、やはりガトー・バスクはこの地でも人気なのでしょうか。


ベレ・バスクも発見

ショーケースにひっそり1つだけ残っていたベレ・バスク。ベレー帽の形を模したチョコレートケーキです。このお菓子の事を知らなければ見逃すほどの地味な存在ですが、しっかりチェックしました!


パータ・フィロを使用したミディ=ピレネー地方のお菓子


それから面白かったのが、ダックスではこの地方以外のお菓子をあれこれ見かけたことです。フランスの地方に行くと他の地方のお菓子はあまり見かけないのですが、ここは例外の様です。これはミディ=ピレネー地方のクルスタッド。パータ・フィロという薄くぱりぱりした生地で具材を包んだ個性的なお菓子で、これはフィリングにプルーンを使用しています。


アニスやハーブなどの独特の風味が印象的な焼き菓子、パスティス


こちらも、ミディ=ピレネー地方のお菓子で、パスティス・ピレネーまたはガトー・ピレネーと呼ばれるものです。大きなブリオッシュ型でケーク生地を焼いたもので、パスティスというリキュールで香りづけしているのが特徴です。


フランス北東部アルザス地方のクグロフも


そして、こちらはアルザス地方の発酵菓子クグロフ。パリやロレーヌ地方でクグロフを見かけることはありますがアルザスから遠く離れたダックスで置いてあるとは驚きです。クグロフはフランス全土的にポピュラーなのでしょうか。またそんなことを意識しながらフランス地方を巡ってみたいと思います。


フランス南部のコンフィズリー、ヌガーとカリソン


そして、南仏のコンフィズリー、ヌガーとカリソン。
ヌガーは卵白と砂糖、蜂蜜がベースで、そこにナッツを加えた甘いお菓子で、モンテリマールがそのお菓子の産地として有名です。しっかり甘く日持ちもするため、お土産ものとして人気のようです。
カリソンは、エク=サン=プロヴァンスの銘菓。アーモンドと砂糖をベースにしたマジパン生地の表面を糖衣で覆った上品なお菓子です。ビアリッツのお店でもカリソンを見かけたので、フランス南部ではプロヴァンス以外でも比較的浸透しているのでしょうか。



ダックスのマドレーヌ専門店


それから、ロレーヌ地方発祥のマドレーヌですが、そのマドレーヌの専門店がダックスにありました。可愛らしい箱に整列したマドレーヌがディスプレイされていましたが、焼き色が淡いのにびっくり。写真で見るよりも結構白っぽいのです。

フランスに行く前は、フランスの焼き菓子というものはしっかり焼きこんでいるものだと思い込んでいましたが、実際行ってみると焼き色が浅目のものが意外に多かったのが印象的でした。もちろんお店によって異なるのですが、こんな風に些細なことでも実際現地に行かなくては分からないことはたくさんあるのだなと思いました。

このお店Maison Cazelleは、1906年創業のとても古いお店です。マドレーヌはフランス全土で親しまれているお菓子ですが元々はロレーヌ地方発祥のお菓子。そのお菓子が遠く離れたダックスで作られているのにはあることが関係しているそうです。それはオーナーの曽祖父が兵役義務によりロレーヌ地方のコメルシー(マドレーヌ発祥の地といわれる)に赴いたことにより、そこからレシピを持ち帰りダックスでマドレーヌを作ることになったことが始まりだったのだとか!

今では覚えていないのですが、なぜかこの時はお店に入らずマドレーヌを食べずじまい。次回訪れるときにはぜひマドレーヌを食べてみたいと思います。

さて、今回はバスクから飛び出してダックスのお菓子紹介となりましたが、次回はバスク地方お菓子の旅を振り返って最後のレポートにしたいと思います。



Maison Cazelle(マドレーヌ専門店)
6 rue de la Fontaine Chaude 40100 DAX






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