フランスの地方を旅する時に、必ず訪れるのがマルシェ。
今回のブルターニュの旅では「Rennes(レンヌ)」のマルシェを訪れました。
レンヌはブルターニュ地方の中心地でパリからTGVで2時間程度で訪れることができます。
私が訪れたのはレンヌの Les Marche des Lices(リス市場)。
毎週土曜日の午前中に開催され300ものお店が集まるということで、地元や観光客にも人気の大きなマルシェです。

マルシェといえばやはり色とりどりのフルーツ!
フランスのフルーツはいつ見ても心が踊るような気持ちにさせてくれます。
それは、日本にはないフルーツがあったり、日本のフルーツとは色や形がちょっと違っていたりするからでしょうか。いつもわくわくした気分でフルーツ売り場を見て回ります。
手の中に収まりそうな小さなリンゴやぺしゃっと平たい桃、たっぷりのアプリコット。
そして、パイナップルやメロンやチェリーがなどたくさんのフルーツが並びます。
フランスだと量り売りなので好きな数だけ選べるのがいいですね。

リンゴや平たい桃ペシェ・プラ、アプリコット


夏らしくメロン、パイナップル、チェリー


そして、目を奪われたのがたくさんのアーティチョーク。
日本ではほとんど見る機会がないアーティチョークですが、ブルターニュは名産地ということで大きく立派なアーティチョークが盛りだくさんに並んでいました。生で見るのは初めてだったのでかなりのインパクトがありました。
そして、殻付きのくるみもお菓子を作る私にとっては気になるもの。
マルシェではこういったナッツやドライフルーツ、バターなどを売っているので、お菓子に使える良質な素材が気軽に入手できるのはなんとも羨ましい環境ですね。

くるみの左隣りにはジュ・ド・ポム(りんごジュース)が。ブルターニュにはりんごも多いので、地元のりんごジュースでしょうか?自家製のような雰囲気がただよいます。大きな瓶ですが1本で2ユーロ。りんごが豊かな土地ならではのお得感がありますね。

山積みのアーティチョーク


りんごジュースとくるみ

そしてブルターニュらしいのが、ガレット&クレープの屋台!
大きな車の中には、ずらっとクレープパンが並んでいて、中では蕎麦粉のガレットやクレープを次々に焼いていました。これはまさにブルターニュならではの光景ですね。砂糖だけのシンプルなクレープからチョコレート、コンフィチュール付きのもの、そして蕎麦粉のガレットもバターだけの簡単なもの、ハム、チーズ、卵などを使ったしっかり食事になるようなものまであります。
クレープを焼く様子を子供が見入っている姿がとても印象的でした。ブルターニュの子供達はこうやって小さな頃からクレープとガレットに親しんでいるのですね。

ガレットとクレープの屋台 たくさんの生地が焼かれています


ちょっと驚いたのが、マルシェでは先ほどの屋台とは別にガレット生地だけを売っていたことです。生地を焼いたものを何枚か折り重ねラップで包んだとても家庭的なもの。
きっと生地だけ買って、家庭で上に野菜や卵などの具材をのせて食べるのでしょうね。

ガレットの生地


マルシェは結構大きな規模で、フルーツやお野菜、パン、花、雑貨、日用品のお店で賑わっています。その中でスイーツを探していたところ、やっと見つけました。「 La Cour d'Orgeres」というお店です。調べてみるとキブロンのコンフィチュール専門店のようです。ここではたくさんのコンフィチュールが並びいろいろと試食することもできてとても楽しかったです。ここで購入したブルターニュの蜂蜜はとてもコクがあって美味しかったので、また出会うことができたら蜂蜜はもちろんコンフィチュールもいくつか購入してみたいなと思っています。

コンフィチュールの横でちょこっと置いてあったのは大きなフィナンシェとガトー・ブルトンでした。
素朴な焼き色ですが、きちっと整った形ですね。この時は購入しなかったのですがどんな味だったんだろう?と今になって気になっています。

ブルターニュのコンフィチュール専門店 コンフィチュールの他に素朴な焼き菓子も


それから、こんな可愛いお菓子もありました!
牛の形をした焼き菓子。こういうお菓子はあまり見かけないし、お値段も1ユーロくらいと安かったので、見た目で即購入。フロマージュブランを使ったお菓子ということでしたが、お味は…あまり甘くもしょっぱくもなくちょっとゴワゴワした食感でした。もしかしたら何かおすすめの食べ方があったのかも?
でもとにかく、旅行先では食との出会いも一期一会。気になったものは出来る限り食べることが大事ですね。

牛型の焼き菓子が珍しい!


散策していると、トルコ菓子のお店を発見。カダイフやパータフィロのような薄い生地とローズを使った見慣れないお菓子たちに興味津々。油で揚げたものが多く、一瞬餃子のようなお料理にも見えますがれっきとしたお菓子です。トルコ菓子は糖分と油分が多いので、一瞬戸惑うんですが…。でもいろんな文化のお菓子に触れることはとても楽しいことです。

トルコ菓子も売っています


マルシェを歩いていると所々からいい香りが漂っています。食材のお店だけではなく、お惣菜を売っているお店もあるからなんです。
こちらはアジア系のお惣菜。先ほどのトルコ菓子もそうですが、フランスのマルシェとはいえフランス系の食だけではなくいろんなカルチャーがミックスされているのが面白いところ。とくに中華料理はフランスでも人気の様ですね。

アジア系のお惣菜からいい香りが…


そしてブルターニュといえばやっぱり魚介類。
魚には詳しくないのですが、他の地方よりも種類豊富な魚介類が揃っているような気がしました。
さすがにマルシェだけあって、ゴロゴロっと無造作に積まれている感がありますが…。結構高級食材の部類に入るのだろうな、と思うカニもてんこ盛りの状態。

カニが無造作につまれています! ブルターニュのマルシェは魚介類が豊富


カニの他にはカンカル特産の牡蠣。カンカルはブルターニュの北部に位置し、フランスでも有数の牡蠣の名産地として知られています。カンカルの牡蠣は数十年前絶滅の危機にあったのですが、その危機を救ったのが日本の三陸海岸の牡蠣だそうです。そのため、カンカルの牡蠣は日本の牡蠣の子孫ともいえます。そう考えると遠く離れた地域ながら温かいつながりを感じますね。

そして、牡蠣と同じく有名なのがブルターニュのオマール海老。
少し青みがかったオマール海老はふくよかな体つき。
料理人や料理が得意な方だったらきっとこのオマール海老を見たら、どんな料理にしようかな?と思いを巡らせるのでしょうね。
つい先日テレビで見ましたが、ブルターニュのブレストには江戸前寿司のお店があるそうです。
寿司を握っているのはブルターニュの方(奥さんは日本人)。
「Hinoki」 http://sushinoki.fr/
海外で流行っているSUSHIではなく、あくまで江戸前寿司にこだわったスタイル。

店主はフランスでお寿司に使える魚介類は中々少ないと言っていましたが、その中でも出来る限りお寿司に合うような食材を手に入れられるよう努力されていました。それができるのも海の幸が豊富なブルターニュだからこそなのでしょうね。

カンカルの牡蠣


ブルターニュ産オマール海老


マルシェを歩いていると、その土地の特産物や旬のフルーツに出会えるのがとても楽しいところ。
そして、食材だけではなく素朴な地元の料理やお菓子があるので、その土地の食文化を知るにはまずマルシェ
に行くのがおすすめです。その土地のもの、旬の食材をこれだけ一斉に見ることができるのはマルシェならではの特権ですから。
ブルターニュの玄関口レンヌを訪れる際には是非マルシェ(リス市場)の日程にあわせることをおすすめします!






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