サン・マロの街を歩いていると、一見地味ながらとても素敵なパティスリーを発見しました。
ここは写真を見返してみてもまた行きたい、食べてみたいと思うお菓子が本当にたくさんあります。
サン・マロは観光地として人気が高いので観光客のお土産としてのお菓子屋さんが多いのですが、この「Boulangerie Patisserie Guihard」は、まさにフランスのお菓子屋さんといえる伝統的なお菓子、そしてブルターニュの郷土菓子が揃っています。

サン・マロでシックなパティスリーを発見

大きく焼いたファー・ブルトン! 素朴な焼き色が魅力のガトー・ブルトン

まずびっくりしたのが大きく四角に焼いた「ファー・ブルトン」!
日本でよく見るファー・ブルトンは1人サイズの小さな丸いものが定番ですが、このファー・ブルトンは大きな天板でそのまま焼いて長方形にカットしています。こんなに大きく焼いたファー・ブルトンを見るのは初めて!しかも四角というのがとても新鮮な驚きでした。
そしてこんなに大きく焼いて、数多くカットするということは、それだけ定番で売れているということなのでしょうね。日本ではまだまだあまり知られていないお菓子ですが、ブルターニュではきっとあたりまえのおやつのように親しまれているのでしょうね。

そして焼き色が美味しそうな丸い焼き菓子は「ガトー・ブルトン」です。
ガトー・ブルトンはどこのお店でも見るというわけではないのですが、ブルターニュの郷土菓子の1つです。
粉主体の生地にプルーンを入れることが多く、見た目や生地の素朴な感じがバスク地方の郷土菓子ガトー・バスクにもとても似ています。


ブルターニュ名物のクイニー・アマン 三角形のクイニー・アマンは珍しい

日本でも一時期ブームになって知名度があがった「クイニー・アマン」もブルターニュのお菓子です。バターのお菓子という意味があり、その名の通りバターたっぷりの発酵菓子です。クロワッサンやフィユタージュのようにたっぷりのバターを折り込んで、仕上げにお砂糖をたっぷりと付けて焼きます。そのためバターとお砂糖がたっぷりなのでとてもリッチな味わいです。
ブルターニュでは大きく焼いているタイプを良く見かけます。こちらでもアルミのお皿に入れた状態で焼いた素朴なクイニー・アマンが並んでいます。・・・と隣に目をやるとなんと三角のクイニー・アマンを発見!これは大きく伸ばした生地を三角にザクザクとカットしてそのまま焼いた感じですね。丸いクイニー・アマンより小さめで、1人用のサイズなのだと思います。


ザクッと香ばしいパレ・ブルトン 塩味があとひくキャラメル・ブール・サレ

ブルターニュの郷土菓子はまだまだ続きます。
厚焼きのサブレ「パレ・ブルトン」です。たっぷりのバターに少し塩をきかせて甘じょっぱくザクッとしたサブレです。このお菓子はよくブルターニュ土産として、いろんなメーカーから缶入りや箱入りで売られているくらい人気の高いお菓子です。
ブルターニュ西部のカンペール焼きのお皿に並べてあるというところも素敵ですね。

そして、塩とバターが豊富なブルターニュらしいお菓子がもう1つ。
「キャラメル・ブール・サレ」です。塩バターキャラメルといえばわかりやすいでしょうか?
ほろ苦くて柔らかいキャラメルにバターのコクと塩味の旨味を加えたお菓子です。
このキャラメルもブルターニュのあちこちで見かけます。塩が入ることで、バターやお砂糖の味をより一層引き立てています。あとひく美味しさが魅力的ですね。


華やかなアントルメ

ブルターニュの郷土菓子の焼き菓子を中心に紹介してきましたが、Guihardには生菓子も揃っています。
アプリコットやりんごを焼きこんだタルト、イチゴたっぷりのタルト、ショコラのムースなどのアントルメが華やかに並んでいます。


丁寧に作られたプティ・ガトー フランスの伝統的なお菓子が揃う

プティ・ガトーは、とてもクラシックなお菓子が揃っていて、見ていて嬉しくなる品揃え。
パリ・ブレスト、フレジェ、サントノーレ、ミルフィーユ(しかも伝統的なフォンダン仕上げ!)、エクレアなどいわゆるフランスの伝統菓子が並んでいます。その1つ1つの仕上げも丁寧なのが印象的。どうしても地方のパティスリーに行くと仕上げが雑だったりすることもあるのですが、こちらのお店はとても丁寧に作られているのが印象的です。1つ気になったのはパリの老舗パティスリー「ストーレー」と同じスタイルのババ・オー・ラムがあった事。ストーレーで修行経験のある職人さんがいらっしゃるのかな?とついついそんなことまで考えちゃいました。


ヴィエノワズリーもふっくら美味しそう!

ひと通りお菓子をみて、ふとショーケースに目をやると、おやおやヴィエノワズリーも美味しそう!パン・オ・レ、ブリオッシュ、クロワッサン、パン・オ・ショコラ、パン・オ・レザンなど、定番のヴィエノワズリーが揃っています。どれもふっくらと美味しそうな表情!
お店はそれほど大きくはないのですが、中に入っていみるとこんなに種類豊富なお菓子やパンが揃っていて、しかも全て美しく美味しそうなものばかり。実はこの日はあとでしっかりランチを食べる予定があったので色々と買うことができなかったのです。でもこうやって写真を見返すとどれもこれも美味しそう。次回サン・マロに行くことがあれば真っ先にここでパンとお菓子を買ってじっくり味わいたいものです。


バターを目指してボルディエへ 美しいブルーの外壁が目印

お菓子の話が続きましたが、ブルターニュといえばバターが有名。
その中でも「ジャン=イヴ・ボルディエ」のバターはフランスのみならず日本でもその名を聞いたことがある方は多いと思います。伝統的な製法で時間をかけて撹拌の作業を行うボルディエのバターは一流のホテルやレストランからも評判が高く、その美味しさは格別です。

そのボルディエのお店がサン・マロにあるということで、楽しみにしていたのですがなんとこの日はお休み!!
定休日ではなかったのですが、臨時休業なのかバカンスだったのか…。
楽しみにしていただけ残念な気持ちでしたが、お店のショーウインドウに飾ってあるバターの木型を撮影。
せっかくブルターニュまで来たのにこのままでは残念すぎる〜っと思っていましたが、この後ボルディエの商品を扱っている他のお店を探して訪問できることになりました!ボルディエのバターはパリでも購入はできるのですが、やはり現地でどんな風に作られているのか、どうやって売られているのか実際に見てみたいですものね。


ショーウインドウにディスプレイされていたバターの木型 こちらの木型は購入できるよう

最後におすすめのショップを1つ紹介します。ブルターニュの素晴らしい料理人でスパイスの魔術師といわれるオリヴィエ・ロランジェ氏。以前ミシュランで3つ星を獲得するほどの実力ある料理人です。そのオリヴィエ氏によるスパイスの専門店がサン・マロにあります。


スパイスの専門店 エピス・ロランジェ

洗練された雰囲気の中、オリヴィエ氏がセレクト・調合した種類豊富なスパイス並びます。珍しいスパイスやオリジナル配合のスパイスが多く、料理に疎い私にはどうやって使えばいいのか分からないものが正直ほとんどなのですが、店員さんに聞けば色々とアドバイスしてくれるそうです。お菓子好きな方は産地別のバニラを買ってみるのも面白いかも知れませんね。オリヴィエ氏のお店は現在パリにもありますので(EPICES-ROELLINGER PARIS 51 bis, rue Saint-Anne 75002 PARIS)ブルターニュまではいけない、という方は是非パリ店を訪れてみてはいかがでしょうか?ボルディエのバターを使ったサブレやキャラメルなどのお菓子も販売しています。



この日のサン・マロはとってもいいお天気に恵まれました。
今回は食べ物中心にサン・マロを紹介しましたが、太陽の日を浴びながら青い空に美しい海を眺めながらのんびり過ごすだけでも心落ち着く場所です。あるシェフ・パティシエはここから眺める夕陽がとても好きだと言っていました。私はまだその光景を見たことはありませんが、夕陽に照らされた海とサン・マロの城壁の美しさを想像するだけでもうっとりします。
日本ではあまり紹介されることが少ないサン・マロですが、自然と歴史を感じながら食も楽しめるところです。ブルターニュに行くなら是非足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?


Boulangerie Patisserie Guihard
 1 rue Pourpris 35400 Saint-Malo, Bretagne, France

LA MAISON DU BEURRE - JEAN-YVES BORDIER
 9 rue de l'OrmeIntra Muros 35400 Saint-Malo, Bretagne, France

EPICES-ROELLINGER
 12 rue St Vincent, 35400 Saint-Malo, Bretagne, France






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