ブルターニュのパティスリーで最も印象に残ったのがグラン・ド・ヴァニーユです。
カンカルの静かな街にある小さなパティスリーですが、そこには素朴で美味しそうな焼き菓子たちが並んでいます。

黄色がかわいいグラン・ド・ヴァニーユ外観

実はグラン・ド・ヴァニーユは前回紹介した料理人のオリヴィエ・ロランジェ氏とパティシエのヤニック・ゴティエ氏が共同経営しているパティスリーです。一見素朴なお菓子ながら、良質の素材にこだわって作った素晴らしいお菓子がそろっています。バターはボルディエのものを使っているということでなんと贅沢なことでしょう!(全てのお菓子に使っているかどうかはわかりませんが)


大きな迫力あるパン・デピス

お店に入ると、ど〜ん!と大きなパン・デピスが出迎えてくれました。
3種類あり、ナチュール(プレーン)とピスターシュ・シトロン(ピスタチオとレモン)、ジャンジャンブル・オランジュ(生姜とオレンジ)です。フランスではよくあることですが、プライスカードに1Kg当たりのお値段がかかれています。どうもこれが未だに慣れず、1Kgでこの値段と言われても大体1枚当たりの値段がわからないなぁ〜…っと困ってしまいますね。とんでもないお値段でない限り、「これくらい下さい(ジェスチャーで厚みを示しながら)」とか「1枚下さい」と言えばいいのですけどね。
それにしても、パン・デピスだけで3種類も揃えるところ、そしてカットした断面をむき出しにしたまま、というところがいかにもフランスらしい光景ですね。


名物のガレット・カンカレーズ

お店からは、厨房の様子がよく見えます。私達が訪問したのは大体15時くらい。そのためお菓子の仕込みや焼く作業は終わった時間で、この時はお店の人気商品Galette Cancalaise(ガレット・カンカレーズ)を包装しているところでした。シェフと1人の男性スタッフで黙々とガレットを箱詰めしていました。今回このガレット是非食べたい!と旅行前から思っていたのでちょっと興奮しました。


ふっくら焼きあがったパウンドケーキ 色合いが美しいマカロン

お店に並ぶのは基本的に焼きものばかり。ぷっくり膨らんだパウンドケーキはとてもいい表情。マカロンは、種類は多くないですが、とても丁寧に作られています。

クロワッサン


クイニー・アマン

ヴィエノワズリーもありました。クロワッサン、そしてブルターニュ名物のクイニー・アマン。どちらも小ぶりでちょうどいいサイズ。お値段もクロワッサンが0.9ユーロと、とてもお買い得ですね。クイニー・アマンは、表面にお砂糖のザラザラ感を残したタイプ。きっと食べたらジャリッとした食感とほのかな塩気がマッチするんだろうなぁ〜っと想像しました。
想像、というのもオリヴィエ・ロランジェ氏のレストランでたっぷりランチを食べた直後、しかもワゴンデザート全制覇したあとに、このお店を訪問したため、既にお腹いっぱいの状態だったのです。
今となっては食べておけばよかった!というものばかりですが、いろんなお料理やお菓子を食べたいフランス旅行では常に食べ続けているので、毎度こういうことがあります。


美味しそうなアイスにもそそられます

焼き菓子だけではなく、アイスもありました。夏の期間だけかもしれませんが、とても美味しそう。フランボワーズやショコラ、ピスターシュなどの定番もいいですが、やはりブルターニュらしい「キャラメル・ブール・サレ(塩バターキャラメル)」が気になりますね。


牡蠣のマークがカンカルらしい缶 ガレット・カンカレーズ

お土産に買った、ガレット・カンカレーズは割れないように大切に日本に持ち帰りました。
とはいえ薄くてもろい生地なので、何枚かは割れていたのですが。これはお味見用ということで。私は自宅で軽く焼きなおして食べました。フランスで売られているサブレなどを日本に持ち帰った場合は軽く湿気をとばし風味を戻すという意味で、ちょっとだけオーブンで焼きなおすと美味しく頂けます。バターの甘い香りと程よい塩味、ザクッとした食感が魅力的なサブレでした。当時はブルターニュでしか購入できないお菓子でしたが、現在ではパリにオリヴィエ・ロランジェのスパイス専門店「Epices Roellinger」ができたので、そちらで購入することもできます。


生姜とキャラメルのパウンドケーキ ざっくりした風合いが魅力

そして、数種類あったパウンドケーキの中から1つお持ち帰りしました。
基本全部茶色い焼きっぱなしのパウンドケーキだったのですが、特に自分が好きそうな「キャラメルジャンジャンブル」を選びました。ざっくりした質感の生地はほんのりキャラメル風味。中には生姜のコンフィがはいっています。
この生地のざっくり感、決して乾燥しているわけではなく粉の粒子が粗い感じがとてもフランスらしくてよかったです。どうしたらこんな質感を出せるのだろうか…、と感じさせてくれるパウンドです。

今回は、惜しくもこの2種類の焼き菓子しか食べられなかったのですが、もっと他のお菓子も食べたい!と思う素敵なお店でした。きっと他の焼き菓子やヴィエノワズリーも美味しいに違いない、と思います。カンカルを訪れる際には是非行ってみてくださいね。

カンカルまで行けないわ〜っという方には、パリの「Epices Roellinger」もオススメです。
ガレット・カンカレーズの他にキャラメル・ブール・サレやオリヴィエ・ロランジェ氏がセレクトした産地別のバニラがあります。もちろんお料理用のスパイスも種類豊富に揃っていますので、見るだけでもとても楽しめると思います。


Grain de vanille
 グラン・ド・ヴァニーユ

 12, place de la Victoire, 35260 Cancale

Epices Roellinger
 51,bis Rue Sainte-Anne 75002 Paris







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