ィンランドのトゥルクには最古の都市にも関わらず、これといった郷土料理や名物菓子がない。だからと言って食べ物が面白くないわけではありません。

「伝統菓子かどうかわからないけれど、最近出来たカフェがあるから行ってみるといいわ」

前回の「FOOD WALK(フードウォーク)」を紹介してくれた観光局のスタッフが手渡ししてくれた一枚のショップカード。そこにはおしゃれなインテリアの写真があるだけで、お菓子の‘におい’はなかったのですが…とにかく行ってみることにしました。

店の名前はGAGGUI(ガッグイ)。駅と町の中心くらいに位置する大きな通りに面した建物の1階、窓ガラスにGAGGUIのロゴが大きく描かれていました。別の窓には「Tea Coffee Cakes & stuff Takeaway」の文字と…あっ、ここのロゴデザイン、よく見ると二段重ねのケーキがデザインになっているじゃないですか!? これは何か期待できそうです。

GAGGGUIはお菓子作りの得意な姉妹が2014年に始めたカフェ。


ガーデニングテラスのような表の雰囲気から一転、白壁の店内には、北欧らしいシンプルな家具やインテリアに、ちょっぴりガーリーなエッセンスが入り混じり、私の部屋のような居心地の良さを感じます。正面冷蔵ケースには、ケーキとサンドイッチが並べられ、その上にはメニュースタンドがありました。
フィンランドやスウェーデンのカフェは、スターバックスのようなスタンド式チェーンカフェでなくても、はじめにレジでオーダーして支払いを済ませ、空いている席につくセルフスタイルが基本。ちょっと時間のかかるものは席まで運んでくれるし、お水も自分で好きなだけ汲んで飲むことができます。つまりフランスや他の西欧のように、いちいち席にオーダーや会計を呼ぶ煩わしさがありません。しかも食器の片付けは不要。これは本当に楽ですよ!

明るい雰囲気の店内。それぞれデザインの違うテーブルと椅子が置かれている。

手書きのケーキとサンドイッチのメニュー表。


コーヒー豆は、前回のFOOD WALKにも登場したTURUNのもの。

冷蔵ケースのホームメイドケーキとサンドイッチ。
飾り気がないと思いきや、よく見るとトップに粉砂糖で模様がつけられている。


て、どれにしようかな? ショーケースのケーキは見るからにモダンなスタイル。この日はチーズケーキのヴァリエーションが中心でした。ベリー好きの私は迷わずブルーベリーチーズケーキをチョイス。しかもチョコレートとの組み合わせなんて夢のよう。食べてみるとその口当たりは滑らかでバランスが良く、一体感がありました。ところどころで爽快な香りが…なんとミントが潜んでいました。こういった隠し味のセンスににっこり。

もう一皿ケーキを食べたいところでしたが、それ以上に興味をそそられたのがサンドイッチ。フィンランド西海岸の黒パンといえばサーリストライスレイパ〜「群島のパン」という名の糖蜜と麦芽が入った黒パンは、甘いけれど魚介やチーズ、ハムなどの塩味タンパク質にとても良く合うのです。GAGGUIではパンもお店手作り、しかも具がちょっと地中海イメージだったので頼んでみました。フェンネル入りのサラミとフェタ、サラダ、オリーブオイルなどの具も意外なことに相性ばっちり。ちなみに選ばなかったもう一種類はフォカッチャサンド。この地でもイタリアンの人気は不動なのですね!

ガナッシュ重ねのブルーベリーチーズケーキ(手前)

サーリストライスレイパのオープンサンドイッチ。お皿がかわいい。


さらに驚いたのがコーヒー。今どきのカフェらしく、エスプレッソ系の他にドリップコーヒー系、エアロプレス、ケメックスなどの抽出方法が選べるようになっていましたが、コーヒー好きな私は、お店の方おすすめのコーヒーショット(THE COFFEE SHOT)で淹れてもらうことにしました。この方法は私も初耳初体験です。何でもコーヒーショットとは、オーストラリアのバリスタチャンピオン・ファイナリスト(2011年と2013年)のMatt Perger氏がMahlkonig(マールクーニック)社のコーヒーグラインダーとのコラボレーションで考えられた淹れ方で、エスプレッソマシーンで300mlのコーヒーを抽出し、それをさらにドリップフィルターにかけるというものです。何でわざわざ二つの方法を合体させたのか、深い意味は素人にはわかりませんが、高性能なグラインダーで豆を挽くことによって、両機器のいいとこ取りをしてコーヒーの甘さや香りを引き出すらしいのです。ポットサーヴィスのコーヒーショットは、程よい酸味とまろやかな味わいでしたよ。

コーヒーショットで淹れたポットサーヴィスのコーヒー。

椅子の色と壁の絵がすてき。


お店の方にコーヒーショットについて説明してもらう。


「Varfor Paris,vi har ju Abo」壁に掛けられたこの言葉の意味は何だろう…。


G
AGGUIでたくさんの刺激を受けた後、移築された18〜19世紀の建物と手工芸展示&実演がテーマのルオスタリンマキ野外手工芸博物館へ向かいました。その途中、博物館の少し手前の坂道にある一軒のお店がどうにも気になり入ってみることに。するとどうでしょう。先ほどのカフェGAGGUIで使われていたような器が並んでいるではないですか! 確認するとGAGGUIの食器はやはりこちらterraviivaのものとのこと。私好みの大人かわいい食器にとても興味があったので、この偶然がうれしかった! 表面のエンボス仕上げは、柄の美しいレース布を土に押しつけてから剥がして作ります。奥のオープンアトリエで作業風景を見学させていただき、お気に入りを一枚持ち帰ることにしました。手工芸博物館への道にふさわしいプロローグ、いい感じです。

博物館への通りに面したterraviivaのウインドウ。

絵付け作業がすすめられていた。


店内奥のアトリエには制作中のお皿がずらり。


アトリエのミニキッチンに貼られたオリジナルのタイル。こんな風にランダムに並べてもすてきですね。



こうして振り返ると、トゥルクは様々な文化を柔軟に取り入れ、オリジナリティを発揮する都市だなと思いました。まだまだ隠れた魅力がありそうです。



GAGGUIサイト
 http://www.gaggui.com/#gaggui-kaffela

terraviivaサイト
 http://www.terraviiva.fi/welcome/






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