早速、基礎コースの1回目の様子をお伝えします。

今回のテーマは<基礎の生地> 。日本人が好む代表的なパン、パン屋さんで一番の売り上げを占めるであろう食パンや菓子パン、ブリオッシュ生地のバラエティブレッドを学びました。
ベースの生地は3つ。
1.食パン生地とそのアレンジ
2.菓子パン生地
3.ブリオッシュ生地
まずは菓子パン生地の仕込みをします。
菓子パンの生地は力をつけるために、中種製法をとります。使う小麦粉はベルムーラン、保水性が高く、ふわっ、もちっとした食感と甘さがでる強力粉で、関谷シェフのお気に入り。ナノシュのパンは、この粉なくしては味がでないそうです。

菓子パン生地の中種を仕込みます。卵は卵黄のみ使い、卵白の代わりに水を混ぜ調整。


本捏ねでは、油脂にバターとショートニングをブレンド。
「バターだけだと、生地が固くなってしまうのです。それにショートニングを入れることで、のびもよくなるのですよ」と関谷シェフ。なるほど、それぞれの持ち味を自分の作りたいパンのイメージに取り入れていくのですね。そうして捏ねあがった生地はちょっと固め。
「石窯は高温で焼くために、あえて生地は固めに作ります。でも普通のオーブンで同じことをやったら、火ぶくれして中まで火が通りませんよ」
石窯ならではのレシピというのも、知っておく必要がありますね。

菓子パンの生地は石窯向きに固めに。


この菓子パン生地からは、2種類、アレンジ版を入れて3種類の菓子パンを作りました。
ひとつはメロンパン。お店では一日何度も焼くという人気のメロンパンに、さらに手を加えチーズクリームを絞りサンドしたミルキーメロン。そして、チョコチップを折り込んだふわふわショコラの3種。

メロンパンの成形は、平らにしたクッキー生地に丸めたパン生地を押し付けて・・・


天板に並べたら、思い思いに表面にメロンの筋を描きます。




手にとって底部分以外にクッキー生地を伸ばしていきます。素早くしないと生地が切れてしまう。


焼きあがると、また違った表情になるのが面白い。


メロンパンを真ん中で折って、クリームを絞るだけで、またひとつ違う菓子パンの出来上がり。ぐっとお菓子らしくなるミルキーメロン。

ローラーでのばした生地にチョコチップを挟んでまたのばして・・・。

粉をまぶすと一見切り餅とか豆餅?みたいなルックスに。パン生地にいろいろな表情が生まれていきます。



次は食パン生地です。
食パンはストレート法で仕込みます。関谷シェフの食パンは、粉は1種類だけしか使わないのですが、酵母はイーストやルヴァン種など3種類もブレンドします。酵母のブレンドで味の個性を出すこともできるのですね。おっと、ここでハプニング! ルヴァン種がどこにもありません。どうやら運び忘れてしまったようです。しかし、ここで立て直すのがプロ。すぐにルヴァン分の水を計算し、足してミキサーを回しました。

発酵後の食パン生地の中身はこんな網目状に。


ふわっと弾力のある食パン生地は丸めて型入れしホイロをとって焼き上げます。


食パンの生地は空気を抜いて平らにしたら折りたたんでくるりコーン型のように成形。


石窯の中で蓋をとって焼きあがりを確認。


3斤型には6個並べます。


焼き上がり。ハプニングなく仕込みをスムーズにできれば、きれいなエッジができたはず、と関谷シェフ。


この生地でのアレンジはねぎみそパン。胡麻油で炒めた長ネギを、白ゴマとともに生地に混ぜこみ、分割したらラフに天板へ。真ん中に肉味噌を絞ります。ちょっとお好み焼きみたいなルックスです。

ねぎ味噌パンの真ん中にハサミを入れ、肉味噌を絞る位置を作ります。


香ばしく焼きあがったねぎ味噌パン。



ひと息ついたところでランチタイム。パナデリア特製とうもろこしのスープとサラダ、季節のフルーツ、焼きあがったねぎ味噌パンもいただきました。



3つ目はブリオッシュ生地。
バターをたっぷり使うブリオッシュ、でも普通に作ると日本人が好まないバサっとした生地になってしまいがち。しっとりふんわりやさしい口当たりに持っていくために、いくつかの工夫がありました。伸展性を良くするためにモルトを加えたり、カルピスを混ぜて発酵の手助けとすることです。お菓子寄りのブリオッシュは副材料も多いので、酵母の力になるものが必要なのですね。室温の状態では扱いにくいブリオッシュ生地は、分割し丸めて冷凍しておけば、仕込む分だけ出してすぐに作業にとりかかることができます。当日は生地の仕込みは行いましたが、前日に関谷シェフがお店で仕込み丸めたものを差し替えで使いました。

丸め段階で冷凍されたブリオッシュ生地。


このブリオッシュ生地で2種類のパンを教えていただきました。
ひとつめは、かぼちゃのモンブラン。10月といえばハロウイン、季節感もありますね。かぼちゃはクリームとして上に絞るだけでなく、かぼちゃ入りアーモンドクリームを包み、高さのあるカップに入れて焼き上げます。型を使うとパンにも別の顔が出てきます。お菓子っぽいルックスは、思わずナイフ&フォークで食べたくなるケーキのよう。パン屋さんがモンブランを作ったらこうなるのですね。


アーモンドクリームにかぼちゃを混ぜてフィリング作り。
1つずつ丁寧にグラムを確認しながら包餡。
高さのあるカップにするりと入れてホイロへ。


焼きあがって冷ましてからトップにかぼちゃクリームを絞ります。
粉砂糖を振るったらケーキのようなリッチ感に。中身はかぼちゃ餡ではなくアーモンドクリームというのも、ケーキっぽいですね。



ふたつめは、南の島のブリオッシュ。こちらも型を使ったユニークなもの。プリンカップのような型に、カラメルソースを流し、バターを入れてからココナツをまぶした生地を置き、ホイロをとってから石窯へ。天板で蓋をして食パンのように上部を平らにするのですが、関谷シェフ、途中オーブンを開け、天板ごとひっくり返しました。こうすることで型の底に敷いたカラメルソースが溶けて全体にまわり、こんがり色をした島の焼きあがりです。

カラメルソースとバターを敷いて、まるでカスタードプリンを作るかのような仕込み。


途中、火傷しないよう、慎重に天板ごとひっくり返します。




丸めた生地にココナツパン粉をまぶしてカップに。


焼き上がりを型から外すと、香ばしい南の島のブリオッシュの出来上がり。


今回は3つの生地から、7種類の変化に富んだパンが焼きあがりました。生徒さんもプロを目指す方が多く、てきぱきと作業をこなしていく姿は頼もしい!

南の島のブリオッシュ(左)とふわふわショコラの断面。


ナノシュのパンはネーミングにやさしいリズムがあります。お店に並べたとき、気を引くネーミングはお客様の気持を食べたい方向へ導きますよね。技術だけでなく、運営のセンスも大事なのだと思いました。11月はフランスパンを中心としたハード系の生地を学びます。次回の報告もお楽しみに。






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