「アニバーサリー」 本橋 雅人 氏
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1959年、埼玉県生まれ。19才のとき埼玉のケーキ店に入る。
後、原宿「マロン」で3年、調布「スリジェ」 成城「マルメゾン」で修業後、銀座「カフェブラン」のシェフとして5年間勤務。
31才のとき「アニバーサリー」をオープン。


アニバーサリーとは記念日という意味。記念日を大切に楽しく過ごせるよう、お菓子でそのお手伝いができたら...との思いからこのお店は生まれました。
店内は、そんな本橋シェフの思い溢れるシュガーアートケーキでいっぱい。高さ50cm程の大きなウエディングケーキからかわいらしいベビーシューズまで「こんなのもシュガーでできるの?」というほど様々なメモリアルケーキがディスプレイされています。

本橋シェフがシュガークラフトに興味を抱いたのは、今から12年ほど前、27歳頃でした。ウエディングケーキはケーキ屋さんにとって一度は作ってみたいもの。それにはまず、デザインを知らなければと勉強しているとき初めて、イギリスのシュガークラフトに出会ったそう。「当時、日本のウエディングケーキはイミテーションだったんです。それも結婚式場がやっているだけで街のお菓子屋はやっていなかった。そういうお店がないからイミテーションを使うのであって、誰かが本物のケーキを提案していかなくては...こんなきれいなものだからもっと勉強して広めたい。」そして渡英。
イギリスには全てオーダーで作られる記念日専門のお菓子屋さんがあるのに触れ、ただショーケースを構えてお客さんを待つのではなく、そこをめざしてお客さんが来てくれるような、特徴を持ったお店を作りたいと思ったそうです 。

本橋シェフはお菓子を二つに分けて考えています。記念日のお菓子はおいしくて、見た目にも夢があるもの。そしていつも食べるお菓子はシンプルでおいしいもの。実際華やかに彩られたシュガーアートケーキに対し、ショーケースに並んだ生菓子は素材を生かしたシンプルなものばかり。「普段のお菓子に余計なことをしてしまうとおいしくなくなる。」と洋酒なども極力控え、素材そのものの風味を大切にしています。またよそにないスタイルで(例えば丸いショートケーキやフルーツの入ったチョコなど)提供するよう心がけています。「自分で商品を作り上げ育てていく、その過程を楽しんでいるんですよ。」

「アニバーサリー」では、土日ともなると1日30台〜40台もウエディングケーキをつくるそう。「うちにとって40台でもお客様にはひとつしかないもの。一日が終わるまで安心できないですよ。」
これからも本橋シェフは、記念日を祝う人々の夢を叶えてくれる職人さんでありつづけるのでしょう。

取材日 1998年

本橋シェフの秘密