パティスリー ラビュット・ボワゼ
塚田純一さん 
<経歴>
1967年生まれ。
ホテル西洋銀座でパン、フランス料理に合計3年。
その後パティスリーに転向し、4年。
明治記念館などを経て、98年9月に渡欧。
フランス、ベルギーで働き、2000年5月帰国。
ホテル西洋銀座で1年、
長野のルヴェルジュで半年。
2001年12月にパティスリー ラビュット・ボワゼ(都筑)のシェフに。
2002年秋の田園調布店オープンに伴い、こちらも担当。
  

父がパティシエだったこともあり、食べ物を作ることに興味があったんです。フランス料理には特に憧れがありました。だから、最初に志したのは料理のほう。でも、厨房の先輩とけんかしちゃったのがきっかけで、パティスリーのほうに移りました。

ここで見た、色鮮やかなムースにはショックを受けましたね。実は、親父が働いていたのも東京のホテルだったんです。そこでどんなケーキを作っていたのかはわかりませんが、少なくとも家にお土産や誕生日のとき持って来るのは、ショートケーキとか、スフレタイプのチーズケーキだった。西洋銀座のケーキを見て「親父のケーキって古いんだ」と思ったことは今でもよく覚えています。


西洋銀座では、稲村シェフのもとで働いていました。「当たり前の事を当たり前に」というシェフの言葉、壁に貼ってあったそれを書いた紙も、今でも良く覚えていることの一つです。そしてそれが、自分の中でお菓子作りの基本になっています。その上に技術だとか個性が積み重なって、今のお菓子がある。

今、シェフをしているこの店は、フレンチレストラン『ラビュット・ボワゼ』の姉妹店。店がオープンした前のシェフのときから、目指すケーキは皿盛りのデザートの延長ではないんです。テイクアウトし、家で、おやつや食後などいつでもみんなで楽しめるもの。そういう意味で、レストランの姉妹店であるという特徴は、直接はお客さんにみえないかもしれない。

でも、パティスリーよりもはるかに多くの食材を使うレストランの厨房が近くにあるのは、多いに意味のあることなんです。知らない食材や、森重シェフ(レストランシェフであり、オーナー)の、自然のものを使って五感に訴える料理を作るという考え方は、自分にとって刺激になります。すぐにそのまま自分のやっていることに取り入れることは少ないけど、頭の片隅に残っていて、何かというときふと出てくるんですよね。これが案外大事だったりする。いろいろやってみたいことも膨らみます。なかなか手が回らないというのが現状ではあるけれどね。
塚田シェフと森重シェフ


そうそう、自分がシェフになって、一つ変えた食材があるんです。チョコレート。それまではフランスのを使っていたんだけど、ベルギーのに変えました。ヨーロッパで修業していたとき、まずフランス、それからベルギーに入ったのだけど、ベルギーのチョコを食べたとき、「こっちの方が日本人好みだ」と思った。それが理由です。 田園調布は高級住宅街の印象もあるけれど、気取りすぎず、あたたかみがあって、多くの人に親しみやすい味を大事にしていきたいと思うんです。だから、訪れてくれる人に年配の方が多いのも嬉しいことなんですよ。


パティスリー ラビュット・ボワゼ
東京都大田区田園調布3−4−2
03−5483−3502  

塚田さんの秘密