セ・ジュール

藤田 剛 氏

お店は19年目を迎えました。この数年間、内装や作っているケーキの種類などでの大きな変化はありません。
自分自身では、この3、4年、砂糖に少し凝っています。現在お店で使っているのは、黒砂糖、グラニュー糖、上白糖、三温糖、純の粉糖、コンスターチ入りの粉糖、カソナード、果糖の8種類。お菓子によって色々試してみると、素材がいかされてより美味しくなる組合わせってあるんですよね。例えばゴマやレーズンを使った焼き菓子。これには黒砂糖がぴったりきます。プリンには三温糖とグラニュー糖をブレンドしています。甘さも奥が深いですよね。

卵も最近変えたものの一つ。作り手としては、まず安全なものをお客様に提供するのが前提です。卵の菌は特に最近問題になっていますよね。自分でも色々なところから地卵なども取り寄せてみました。味だけでなく、安全性についても検討した結果、行き着いたのが「QCたまご」です。これは環境、餌などに気を遣った鶏が産んだ卵を、きれいに洗浄、消毒してから出荷してくれるんです。定期的に検査も行ない、サルモネラ菌汚染がないことも確認してくれています。店には週3回届けてもらっているので新鮮ですし、もちろん、味も美味しい。この卵に変えてから、特にストレートに卵の味が出るプリンの味が変わったと思います。ジェノワーズも、以前よりコシのあるしっかりしたものができるようになりました。

ケーキ作りで一番大切なのはバランスだと思います。甘さのバランス、重さのバランス、食感のバランス。クリームに果糖を入れてキレのある甘さにしたり、セミドライフルーツを生ケーキの生地に入れて食感を楽しんだり。ちょっとしたことだけれど、それぞれが大きな役割を果たします。今の時期は、和栗やイチジクなどの素材が食感も味も面白いですよね。

今、厨房は2階なのですが、いずれは売場と同じフロアで、お客様から見えて香りも伝わる、オープンなスペースでお菓子を作りたいと思っています。ビエノワズリもやっていきたい。これからも、お客様が安心して美味しい笑顔で食べてくれるようなお菓子を作っていきたいですね。
取材日 2000年10月


藤田さんの秘密